TYi-144歩兵戦車

TYi-144歩兵戦車


TYi-144歩兵戦車は第二次世界大戦中のウマムスタン軍の歩兵戦車。初期生産型の重量が40tを超えたこと、主砲口径から重戦車と分類されることも多い。


開発

TYi-144戦車の由来は1930年代にウマムスタン陸軍歩兵科が計画した歩兵戦車計画に遡る。1930年代のウマムスタン陸軍では戦車運用は騎兵科が担っており、歩兵科が独自に運用できる装甲戦力は僅かであった。それに加えて1930年代末に製造、運用が始まったTYi-137戦車は非常に高価であったため、戦争が発生した時にウマムスタンが戦うことになる長大な戦線を支えるには適していなかった。第一次大戦後、戦線の構築を担当する存在として存在感を増していた歩兵科としては満足の行かない代物であり、これ以降歩兵科は独自の戦車開発を模索することになる。


1939年中にはいくつかの試案が提出されたものの、高価なTYi-137の生産に加えもう一種類の戦車を生産することに財務省が苦言を呈したこと、騎兵科の抗議により計画は頓挫した。そのためこの時の計画は技術の蓄積程度に留まった。


この状況は第二次世界大戦、特にエウ戦争の開戦に伴い急速に変わることになる。大戦中に列強各国が投入する戦車の数は数千、数万を数え、ここに来てウマムスタン陸軍は数を揃えることの重要性を強烈に意識することになった。ウマムスタン陸軍は生産コストが高いTYi-137とはまた別に生産コストの低い、大量生産可能な戦車の開発を考え始め、ここで注目されたのが先に頓挫した歩兵戦車計画であった。


1942年中には本格的な設計作業が開始され、1943年中頃までに実戦配備する計画であった。設計方針としてはコスト、および歩兵支援に有効な大口径砲の搭載が優先され、127mm以上の砲の搭載が要求された。


しかし、ここで大きな問題が発生した。陸軍の正式な要求は「TYi-137と最低限連携した運用が可能な時速30km以上を確保」であったものの、歩兵科が開発を主導したことにより試作車として完成した車両はいずれも低速で、最も速いイルドゥルム案でも歩兵戦車としては十分だと考えられた時速22kmしか発揮しないように設計されていたのである。


当然の事ながら陸軍内では論争が巻き起こった。騎兵科は「速度が倍近く違っては作戦行動に大きな影響が出る」として設計変更を求めたが、一方で歩兵科は「歩兵戦車として運用するならこの速度で十分である」「馬力の向上にはエンジンを二機積むか、あるいは航空機用エンジンを転用するしかないが、その場合元々の低コスト戦車という趣旨に反する」として反論した。最終的にTYi-137の製造が予想以上に順調に進んでいるため、しばらくはこれで戦車の数が確保できる見通しが立ったこと、連合国はいずれもウマムスタンと戦争する余裕はなく、新規のエンジン開発を行うのに十分な時間があることなどからイルドゥルム案を原型とした改設計が決定した。1943年末にはバタフシル重工製新型エンジンを搭載した試作車が製造され、これがコスト、性能ともに優良であったため採用が決定され、その後本格生産が開始された。


設計

本戦車はTYi-137とは対照的に徹底した低コスト化が図られている。TYi-137では各種希少金属が大量に使用されていたが、TYi-144では希少金属の量は大きく削減されている。また、バタフシル重工製BT-153エンジンは生産性、整備性共に非常に優秀であり、戦車の製造コストを大きく押し下げた。その他製造技術にも進化が見られた。TYi-137が骨組みの上に装甲板を貼り付ける構造なのに対して、TYi-144はこれまでに培った装甲板製造技術を活かして装甲板同士を組み合わせるだけの構造になっている。TYi-137との部品の共通化も積極的に行われた。その結果、速度面を除いて優秀な性能であり、44tという重量級の戦車であったにも関わらず、製造コストはTYi-137を下回る低コストな戦車となった。


設計思想もTYi-137と対照的であった。TYi-137が徹底的に小型化され被弾面積を小さくしていたのに対し、TYi-144は122mmという大口径主砲と継戦能力を両立するために大型化された。その大型化、重量化した車体を未舗装の大地でも運用するためチャーチル戦車を参考にした履帯の構造が採用され、推力重量比自体はあまり優秀でないものの十分な走行能力を持っていた。


主砲には122mm砲が採用された。当初は127mm以上の砲の搭載が要求されていたものの、兵站面から砲兵部隊との砲弾の共通化が望ましかったこと、122mmでも歩兵支援、および対戦車任務には十分であると判断されたことからこれ以上の大口径砲の採用は見送られた。装甲に関してはM4シャーマン、T-34はもちろんのこと、TYi-137およびパンターを凌ぐ装甲が要求されたため、全周45mm、砲塔正面120mmとされた。


運用

TYi-144は後にウマムスタン軍の主力を担うTYi-145と共に1944年6月22日より始まるバグラチオン作戦で初陣を飾った。TYi-144を装備していたウマムスタン義勇軍第四歩兵師団はエイシン軍中央軍集団に攻撃を仕掛け、IV号戦車、パンター戦車の撃破に成功している。TYi-144とほぼ同程度の装甲を持ちながら時速60kmで走行可能なTYi-145の影に隠れてはしまったものの、十分実戦に耐えうることが証明された。


西部戦線でもTYi-144は運用され、1944年7月25日から始まるコブラ作戦に参加した。同車を装備したウマムスタン軍部隊は友軍の盾となりつつ、戦線の突破に貢献した。生産開始が遅かったこともあり、TYi-137に比べると目立たない存在ではあったものの、その重装甲と大火力は連合軍兵士から大いに頼りにされた。


1944年1月から1945年8月までに1万1362両が生産された。


戦後

連合国に供与された多くのウマムスタン兵器と同様、大戦後は世界各国に売却された。第一次オリエント戦争をはじめとする多くの戦争で運用され、その重装甲と火力、運用のしやすさから途上国の多くで長らく運用された。


ウマムスタン本国では速度性能の低さのため、これから進化するであろう他国の戦車に対抗するのは難しいと考えられたこと、性能の割に低コストなTYi-145への一本化が決定されたことにより戦後すぐに生産は打ち切られた。その後もエンジン換装型中心に運用はある程度続いたものの、1960年までには全車が退役した。


評価

それまで装甲戦力の支援を受けるのが困難であったウマムスタン軍歩兵部隊からは非常に好評であり、部隊の守り神として扱われた。一方で騎兵科からは「ウスノロ」と呼ばれ、装甲と火力は認められながらもあまり好まれなかった。


本車の評価は後の世においても評価が分かれている。ウマムスタン国内ではTYi-137と比較して低コストであり、なおかつ速度性能を除いて非常に優秀なことから高い評価を下されることが多い。一部の戦史研究家は、TYi-137での技術蓄積がなければTYi-144の開発は不可能であったことに触れつつも「真に第二次大戦においてウマムスタン軍が主力に据えるべきであった戦車」という評価を下している。


一方で国外ではTYi-137と比較して低コストではあるものの、44tというそもそもの重量によるコストからあまり高い評価を下されないことが多い。特にM4戦車を運用していたダートやT-34を運用していたウマエトではそのような声が大きく、「ウマムスタン軍のセクショナリズムの産物に過ぎない」と言われることもある。実際、TYi-144はM4シャーマンやT-34に比べると高価であり、費用対効果を考えるとこれらの戦車に比べて有用であったのかには議論の余地がある。しかし、その戦闘能力を評価する声、周辺国に比べ人的資源の乏しいウマムスタンが重装甲化していくのは当然であったという声も大きい。


余談

元々第二次世界大戦における戦争の超大規模化を意識し、大量生産を念頭に置いた戦車であったため、ウマムスタンがウマエト、ダートと開戦した時に備え大規模な生産計画が立てられていた。1944年度共和国国防方針によれば、1945年に連合国のいずれかと開戦した場合、年間でTYi-137を1万両以上(徐々にTYi-145への生産転換を進める)、TYi-144を1万5千両以上生産し、その他の戦車と合わせて2年半以内にウマエト、ダートと同規模の、4年以内に上回る戦車部隊を編成する予定であった。後にこの計画を見たダートの戦史研究科はこれに関して「ウマムスタン軍の狂気」とコメントした。


補足

>TYi-137よりも低コストなんてことある?

1945年時点でM4シャーマンのコストが(バージョンによるが)44,556–64,455ドル、M26パーシングが83,273ドル。パンターが125,000ライヒスマルク、ティーガーIが300,000ライヒスマルク。パンターが生産コスト自体は低い戦車であることを考えると、重戦車の生産コストは基本的に中戦車の二倍弱程度となるだろう。そしてTYi-137のコストは軍の要求の二倍以上(しかも中戦車を作るのは初めてだったからある程度緩い要求であったはず)。一方でTYi-144のコストは平均よりもやや安めな戦車を求めた軍の要求をさらに下回る価格であったことを考えると…うん…。

TYi-137高すぎ問題

こいつワンチャン重戦車並みのコストやぞ、それを3万両ってお前…


>1万1362両

上の理由から大量生産を予定したものであると予想。主力戦車の一角を担う。


>1944年度共和国国防方針

完全に妄想

でもできちゃいそうなんだよなあ…しかも戦車一両あたりの戦闘力は連合軍の主力戦車に勝るという

考えれば考えるほど当時のウマムスタンの産業部門、軍需部門が優秀になる


コイツの重量ってほぼパンターで、装甲や火力はちょっとパンターを凌いでるんだよなあ

速度は遅いとはいえ、こうしてみると恐ろしい戦車だ



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