TSシュライグの話

TSシュライグの話

vヴェールとアレイスター出るから注意

R18注意!



「何がどうなってこうなったんですか?」

「ごめんね♡」

「ごめんね♡じゃないんですよどうしたんですか二人は」


焦るマスターとヴェールの前には真っ青な顔でへたり込む二人の精霊がいた。

一方は召喚士アレイスター、そしてもう一方はシュライグだった。

ただいつもの彼らとは大きく違うところがある。


「なんで二人とも女の子になってるんですかヴェール様ァ⁉」




ヴェールの言い分はこうだ。

ヴェールはいつもの小さな体に若干飽きてきていた。そのため精霊としている間ぐらいちょっと大きくなってもいいかなと思い、成長薬の研究を始めたらしい

「だってマスターこのごろ鉄獣とかオルフェゴールにお熱なんですもの。暇つぶしみたいなものよ?」

「面目ない……」

そして今朝試作品が完成した。のだが

「この作品は安定性に問題があってね……すぐ気化して爆発しちゃうのよ」

「それで二人が巻き込まれたってわけです?」

ヴェール曰く、それらの問題点を鑑み安全性の観点から一人で試そうとしたらしい。そこに怪しげな研究を進めていると聞いたアレイスターが押し入り、たまたまシュライグが前を通りがかったために二人に影響が及んだとのことだった。



「状況は理解しました。でもヴェール様がなんともないのはなんでなんです?」

「そりゃあ製作者だもの、防御手段ぐらい用意してるわ」

「……じゃあ二人はどうやったら戻るんです」

その問いかけにヴェールはあっけらかんと答えた。

「これから調べるわ」


その言い分に、アレイスターは思わずヴェールに対し怒鳴る。

「これからってなんだこれからって!僕たちはお前の道楽の被害を受けた。ここまでは許容しよう仕方あるまいそういうことにしてやろう。だがすぐさま戻すこともできんものを作成しあまつさえ試すなど魔導士としてどうなんだそれは!」

アレイスターの声はいつもの、低く落ち着いた青年の声よりも多少高くなっている。どうやらそのことを気にしているようで咄嗟に口を押える。そんなアレイスターにヴェールはこともなげに答えた。

「だーって姿が変わったところでできることは変わらないもの、お遊びなんだからちゃっちゃと試してみたかっただけよ……あと暇だし。」

マスターは胸を押さえてうめいた。罪悪感は多少感じているらしい。


開き直ったらしくぎゃいぎゃいと言い合うアレイスターとヴェールを横目に、マスターは先ほどから黙ったままのシュライグへと声をかけようとした……が。

「……ひっく」

「…………シュライグさん」

「……ますたー」

「………………えーっと」

「……おれ……どうなってるんだ……」

密着するほど近づかなければ聞こえないほどのか細い声でシュライグは問いかける。マスターは頭をおさえつつ答えた。

「非常に申し上げづらいのですが………………」

「あぁ」

「女の子になってます」

「………………ううぅ………………」

どうしたらいいかわからずおろおろするマスターをよそに声を抑えて泣き出すシュライグ。

そんな状況は様子を見に来たルガルが卒倒するまで続いた。



シュライグの現状を他のメンバーに伝えたマスターとルガルはマスターの自室で沈んだままのシュライグと向き合っていた。アレイスターとヴェールは共同で元に戻る方法を探す、といって研究室代わりの部屋にこもっている。そう伝えに来たハイネには疲労の色が見える。どうやらアレイスターも相当参っているようだ。魔術に造詣の深い彼がそんな状況ならば

「………………ひっく」

耐性のないシュライグがこうなるのは自明の理といったところか。

(どんな傷でも耐えるほどの精神力をもつ彼でも自身の体の変化には耐性がないんだろうか。)

マスターは他人事のようにそう思った。まあ実際他人事である。


シュライグとマスター、そしてルガルは黙ったまま座っていたが、その静寂をいの一番に破ったのはルガルだった。

「あーーーー、マスター?」

「……あっルガル、何?」

「ちょいとシュライグ頼んでいいか?」

マスターは怪訝そうな顔でルガルを見やったのち部屋の端まで移動し、シュライグに聞こえないように話しかけた。


「ちょっとルガル俺だけじゃ心配だからついていてもらってるんだぜ?ルガルにしかしゃべれないことだってあると思って、そういう場合に退散するのは俺だと思うんだけど?」

「あのなあ、シュライグはリーダーだぜ?それこそメンバーに弱ってるところ見せたくないってのがリーダーとしてのプライドってやつだろ。少なくともシュライグはそういうやつだ。仲間の俺が保証してやる」

「仲間の単語を出されちゃぐうの音も出ないぜ」

「だからこそ無条件に頼れるマスターが必要ってわけだ。そういうことだから俺は抜ける。後は頼んだ」

でも本当にダメそうなら呼べよ、と言ってルガルは部屋から出て行った。そういうわけで、マスターの部屋には座り込むシュライグとマスターだけが残された。

シュライグは相変わらず沈んだ表情のまま、そんな状態の彼にどういう言葉が適切か、マスターには判別がつかなかった。手持無沙汰になったマスターは何か飲み物でも取ってこようとドアノブに手をかける。そんな彼に背後から声がかかった。

「……マスター」

マスターはシュライグのほうに向きなおった。

「やっとしゃべってくれた……シュライグさん……調子は」

マスターの言葉はそこで途切れた。





シュライグは混乱していた。今朝からの珍事は今までの経験からも類を見ないものであり、自分がその当事者であることなど考えたくもなかった。ましてや仲間や敬愛するマスターに見られるなど許容できないことだった。

シュライグは考える。

(マスターが好きな”シュライグ”はもういない。じゃあここにいる俺は何者だ。かっこよくて強いシュライグ、それがマスターが俺を好きになった理由、ならそれがなくなった今の俺は何なのだ。)

昏い思考に脳が支配される。

(ルガルは部屋を出て行った。何やらひそひそ話していたが、こんな俺に失望したんだろう。それでもマスターはそばに残っていてくれるのか。)

マスターが何の気なしに部屋を後にしようとしたのは、シュライグがそんな思考に陥っていた時だった。

シュライグは衝動的にマスターの腕をつかみ、抱き寄せる。

「マスター」

マスターはシュライグとの身長差から、胸に顔を突っ込む形となった。いつものたくましい胸筋とは違い、引き締まりつつも柔らかな乳房にマスターの顔は包まれた。当然呼吸困難になったマスターは、苦しそうにシュライグの胴体をたたく。そのあまりにも小さい力にシュライグの口元は無意識にゆるんだ。ありとあらゆる脱出の試みはすべて無為に終わる。

「マスター、マスター」

シュライグは呼びかける。

「俺……」

自らの喉から出たとは思えないほど高く弱弱しい声に、シュライグは一瞬顔をしかめた。が、すぐに気を取り直して続ける。

「マスターは……こんな俺は必要としないだろう」

「かっこよくて好き、と言ってくれたな、もうそんな要素は俺にはないんだ」

「お前の望んだ”シュライグ”じゃないんだ、今の俺は」

マスターは答えられずシュライグの胸の中でじたばたともがいた。マスターの力ではシュライグの腕はびくともしない。逃れられる方法が見つからない。次第に酸素が失われていく。意識が薄れる。

シュライグは暴れるマスターを逃がさないよう腕の力をさらに強めた。女性となっても鍛えたものは変わらないらしい。その力にマスターの骨が、体がきしむ。

「マスターは必要としないのはわかってるんだ」

「でも俺はマスターのそばにいたい」

「それだけでいいんだ、だから……」

マスターの額にしずくが触れる。

「どこにもいかないで」

「すてないで」

「なんでもするから」

シュライグはマスターを呼び続ける。

「マスター……ますた、え?」

暴れていたマスターの腕がくたりと下がった。




マスターを窒息させたシュライグは半泣きで助けを求めた。その間に他の精霊に姿を見られる羽目にはなったものの、何とか救命には成功した。

マスターを診ているヴェールは呆れて言った。

「あんたね、戦闘員とモヤシの体力差を考えた方がいいわよ」

「……マスターは」

「問題ないわ、ちょっと酸欠で意識飛んだだけ」

胸で窒息するとかエロ同人かよ、と隣のアレイスターは吐き捨てた。彼もまだいつもの状態には戻っていない。シュライグはまだ元に戻る方法が確立できていないことを知り落胆した。

ヴェールはバツが悪そうに言った。

「……まああんたには悪いことしたわ、これはほんとにそう思ってるわよ、本当よ?」

「まあいい。ちゃんと治るのか、これは」

「治すわ……というか、戻り方はわかってるのよ」

シュライグはその言葉に飛びついた。

「どうすればいい!?」

戻ることができればマスターとの関係も元の通り……と行くかはわからないが。窒息させてるし。

「落ち着いて、でもその方法がまあ問題でね」

ヴェールが伝えた”戻る方法”を聞いたシュライグは啞然とした表情を隠せなかった。




マスターはその騒動のあった夜に目を覚ました。最後の記憶は胸に埋もれて窒息するとかいうフィクションのようなできごと。シュライグは何か言っていたようだが正直最後の方は意識がもうろうとして聞き取ることはできなかった。マスターは何か対応を間違っただろうかと考える。が、すぐにやめた。

「直接聞けばいっか」

そう思って体を起こしたマスターは、ベッドの脇に佇むシュライグを見つけた。

「おーシュライグさんや、調子は……まあよくはないだろうけど」

シュライグの状態を見てマスターは言いよどんだ。まだ戻る方法がわかっていないらしい。マスターは昼間の一件のことを聞こうとして、シュライグの目が完全に据わっているいることに気付いた

「シュライグさん?どうしたんですか」

「……マスターに頼みがあるんだが」

「何なに!?俺何すればいい?何ができる?何でもしちゃうよ!」

昼間何もできず昏倒したことを挽回したい気持ちが先走ったのか、マスターはつい口を滑らせた。

「何でも、いいのか」

「……できる範囲のことなら」

「……抱いてくれ」

「へ?」

脳が理解を拒む。

困惑を隠しきれず聞き返す。

「抱く……って誰を」

「マスターが、俺を」

「ハグってことだよね!?そうだよね!?」

「そうじゃない。セックスの意味だ」

「なんで!?なんで!?体をもうちょっと大事にしなさい!」

思わず的外れなことを口走る。

唐突にそんなことを言い出す奴ではない。何があったのかとぐるぐる考えるマスターにシュライグはヴェールから聞いたことを説明した。



「今回の作品はね、生体エネルギーを与えて体の成長を促すためのものよ」

「だから安定化が難しいのよ、一か所に集中させようとしてもエネルギーが霧散しやすいの」

「私は成長のために使おうと思ってたのだけど、二人には体の変化として作用したらしいわ」

「だから逆の反応を起こす」

「あんたたちの今の状態は基底状態とは違う。つまり修正力がつねに働く。まあ今回の作品はその修正力よりも大きな力をかけることで変化を促す仕組みなわけよ」

「だから修正力が作用して基底状態に戻るためのエネルギーを供給してやればいい

ってわけ」

「つまり性交ね」



「というわけだ」

「というわけなんだ……じゃないんだけど!?」

怒鳴りかえすマスター。当然だ。俺もそうするだろうとシュライグは考えた。

もちろんヴェールも急ピッチで戻す方法を考えてくれるそうだが、シュライグはこの状況が何日も続くことが耐えられなかった。そして、

「というかシュライグさんはそんな理由でいいの!?俺なんかで!?」

「マスターがいい。マスターにしてほしい。」

元に戻るとはいえ交わった仲になるのだ。無下にされることもなくなるだろう。

マスターとの”つながり”をより強固に、確かなものにしたいという欲望を、シュライグは抑えることができなかった。




シャワーを浴びて部屋に向かうと、シュライグはすでに待機していた。先ほど部屋に来た時点で準備はしていたらしい。マスターはシュライグに問いかける。

「ほんとに……俺で、いいの?」

「何度も言ってるだろう」

「でもさぁ、もっとこう気心の知れた仲というか」

「マスターがいい」

シュライグはマスターを見据えて言った。

が、すぐに自信を無くしたように続けた。

「でもマスターは嫌か、嫌だろうな。俺は……今の体はどうあれ男として付き合ってきたんだ。嫌に決まってる。すまないマスター。こんなことを押し付けて」

「……嫌じゃないよ」

マスターはシュライグを抱きしめて言った。

「俺はどんな姿でもシュライグさんのこと好きだよ」

「嘘だ」

「嘘じゃないよ」

マスターはシュライグの背を優しくたたきながら続けた。

「昼間言ってたことだけど……最後の方聞き取れなかったけど……ごめんね、不安にさせてたよね。確かにかっこよくて強いところが好きになったきっかけだけどさ、そういうんじゃないんだ、シュライグさんにはいつも助けられてるんだ、俺」

最初は強くなるためだった。でも接するうちにそれ以外にも惹かれていった。若干鈍いが、誠実で良いやつだ。

「だから、どうなってもシュライグさんのこと大好きだよ」

シュライグにはその言葉で十分だった。





シュライグはベッドの上でマスターに押し倒されていた。雌としての機能に作り替えられたシュライグの体は、マスターのそそり立つ逸物への期待を隠せず火照っていた。

「マスター」

シュライグの呼びかけに答えてマスターはシュライグの秘部に触れる。男だった時には存在しなかったソコはこれから始まる行為への期待感で濡れていた。マスターは片方の手でシュライグの乳房を揉みしだき、片方の手では秘部への侵入を開始する。傷つけないように気を使っているのか慣れていないのか、マスターの手つきは遠慮がちであり、無自覚にシュライグを焦らしていた。

「ひゃうっ」

不意に侵入する指を増やされ嬌声が上がる。シュライグは自分の喉からそんな声が出たことが信じられず思わず口を押えた。マスターはちらとシュライグの顔に視線を移したが、すぐに秘部のほぐしに戻った。

奥へ奥へ侵入するマスターの指に自分の膣内が絡みついていくのがわかる。シュライグはマスターの指から与えられるふわふわとした快感に浸っていたが、不意にその指が抜かれた。

その行為に疑問をうかべる暇もなく、マスターはシュライグの腰を押え秘部に自らの逸物をあてがった。

「挿れて……くれ、マス、タあっ⁉ひぐっ」

シュライグが声をかけると同時にマスターはゆっくり挿入を開始した。先ほどの指とは全く違う異物感にシュライグは悲鳴にも似た声をあげる。そんなシュライグにマスターは心配そうな視線を投げかけた。

「かまわ、ない、からっんっ、もっとおくっ、もっとおくにっ」

マスターを受け入れるだけでも多幸感で満たされる。つながっている感覚が心の渇きを癒してくれる。もっと、もっと欲しい。侵入されるごとに漏れ出そうになる声を抑えながらシュライグはさらなる快感への期待と不安に震えた。

奥に奥にと侵入していくマスターの雁首がシュライグの最奥に触れる。それと同時に

「~~~~っ!?」

電撃が走るような快感がシュライグを襲った。シュライグは声にならない悲鳴を上げる。脳髄がマスターのモノが与えてくれる快感に侵される。その反応を見たマスターは先ほどより少し激しく腰を動かした。シュライグに聞こえてくるのは結合部からのぱちゅぱちゅという水音とマスターの息遣い。激しい快楽の波に襲われるシュライグは、口を両手で抑えてその波を耐えていた。マスターはその手をばんざいの要領で上に押しのける。シュライグは筋力の差にも関わらずあっさりと腕を持ち上げられてしまった。それでも口を閉じようとするとマスターはシュライグの口に唇を重ね、舌を口内に侵入させる。そのまま長い口づけを交わす。一度こじ開けられた口は自分では閉じられなかった。

「ますた、あんっ、むりぃ、なんでえっ、あっ、やあああっ」

鳥類は仰向けになると抵抗できなくなる。シュライグはそんなことを誰かが言っていたことを思い出す。抑えていた嬌声もすべてだらしなく垂れ流さざる負えない。マスターの腰の動きと息遣いはより早く、激しくなる。シュライグは迫ってくる絶頂への恐怖から頭を振りながら叫ぶ。

「ますたっ、なにかっくるっやだあっ」

それと同時にマスターはシュライグの最奥を激しく刺激した。シュライグはその刺激に耐え切れず達し、それに合わせてシュライグは膣内のマスターのモノを締め付ける。マスターも同時に達しシュライグの膣内に精を注ぎ込んだ。




はじめての行為のせいかそこで二人とも気絶したようで、シュライグはそこから先の記憶はない。意識を取り戻したシュライグは、戻った自分の体と隣で眠るマスターを見つけた。

マスターとつながった感覚はまだ残っている。男に戻ったにもかかわらずシュライグは奇妙な充実感の中にいた。

マスターはまだ起きそうにない。

「すまない、マスター」

マスターの善意に付け込む形での行為。それでもシュライグは多幸感に包まれていた。

(許されるなら)

(こんな行為を強要した身が望むことでもないが)

「ずっとそばにいさせてくれ、マスター」

シュライグはマスターの額にキスを落とした。












おまけ


そんなことがあった後

「……シュライグさんやい」

「なんだ」

「距離近くない?」

シュライグはマスターのそばにずっとついて回っていた。食事はもちろんシャワーや就寝の時もついてきている。トイレやシャワーはさすがに外で待機していたが。

「嫌か」

「嫌じゃないけどさぁ……変な気分になるって言うか」

「嫌じゃないなら続ける」

「えー」

シュライグは微笑んだ。

(俺たちは一度とはいえつながったんだ。もうつがいのようなものだ)

(放さないぞ、マスター)







「ところで僕はいつ戻れるんだ」

「え~面白いからもうちょっとこのままでいましょうよ」

「い、や、だ、ね。僕はすぐにでも戻りたいんださっさと研究を進めるぞバカ」

「ふうん、戻りたいのね。ざぁんねん。ところで私が飲もうとしているこれは何でしょう」

「知るかバカ」

「性転換薬」

「は?」

「作り直したのよ、ちゃあんと制御できるような奴をね」

「お前……それ……」

「あんたには効かないのよ、アクシデントでの変化には使えない……つまり手っ取り早く戻るためにはどうすればいいか、わかるわね?」

「助けてくれメルカバ―!!食われる!!」

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