THE SECOND WAVE
稲生・紅衣・メメ・虎屋のスレ主「陛下の命により 志島カワキ バルバロッサ・バルバレスコ ヨルダ・クリスマス リリー・ラエンネック キルゲ・オピー以上5名を流魂街にて作戦を決行予定の死神に対する妨害作戦の人員として派遣することとなった」
直ぐに周囲はざわつき直ぐに「俺にも行かせろ」だのなんだのという声が上がりだしたが直ぐにハッシュヴァルト様が静め次の言葉を放った
「選別された理由は聖文字を使わずに一定以上の能力を発揮できる事のみ またこれは陛下自身がお決めになった事だ...その上で異論がある者がいるのなら名乗り出るが良い」
この言葉に対して異議を提示する者はいなかった
「死神は流魂街に潜む虎屋家に対し隊士のみならず一部隊長格を連れて捕縛に向かう...虎屋家は既に策を講じているが痺れを切らした志島家分家が虎屋家の安全を優先し死神に引き渡す可能性が出てきている」
観測した範囲でも倒れ疲弊していく仲間を沈痛の面持ちで見つめていた志島家分家は多い...たとえ自分たちの命が聖別によって消されるとしても虎屋家が死神の管轄に入り命が保証される状態になるのならと行動する可能性はかなり高いはずだ
「かつて志島家分家はカワキの居た本家と違い千年ほど前の大戦にて敵前逃亡を行った...彼らには今度こそ"最後まで戦ってもらう"
そのため先ほどの5名には志島家分家に扮して死神を襲ってもらう 全ての勢力から襲われることになるだろうが彼らなら問題ないはずだ」
死神は滅却師を疑っているのだ"死神に弓を引く"滅却師が居ればそれを求めていた敵として認識し確認などさておいて戦いに高じるのは目に見える
「死神はこの流魂街攻略の作戦において監視の目を大きく減らしている 虎屋家が執拗に監視を潰していたおかげで監視は無意味であり隊士間の伝達を優先する方針らしい そのため消尽点(ヴァニシング・ポイント)を使用し最終的に記憶を消す算段だ しかし出来る限り証拠は残さないように心掛けろ
零番隊は死神が瀞霊廷にて迎えるようだが...虎屋家の動向をみて動くべきだと陛下が仰っていた 必要があればこちらの存在が発覚しない程度に助力を許可されている」
一息に言い終わると直ぐに解散が言い渡され...案の定俺は呼び出しを喰らった
「なにやら大変そうですねえ...貴方はなぜ呼び出しを?」
「俺は零番隊の対策についてでしょうね キルゲさんも流魂街での戦いはお気をつけて」
─ルキアside─
「海燕殿に鍛えてもらった斬魄刀がこの始末とはな...」
流魂街への作戦に参加することとなったが...私は先の戦闘において屋根の上からの縛道を試みたところ見透かされた上に斬魄刀を奪われ今は...
「聞くところによると"もでる"とやらは西洋の剣らしいが...やはり元の方が良いな」
始解は問題なくできたがやはり変質した所は変わらず残っている 己の未熟さが振り払えないことが重なって見えるようだった
敵は捕縛しなくてはならないがどうにもならない場合は最悪斬って捨てる必要も出てくる 足取りは自然と重くなった
そうして作戦開始の現場に近づいた時 伝令神機がけたたましい音を立て始め周りの霊圧がざわつき始めた
「待て...これは"虚"の霊圧だと...!」
「あのクソガキがあ!この身が自由になればすぐに出も腹を引き裂いて内臓をひきずりだしてやるものをォ...!」
のっそりと虚が私の数尺先に姿を現した それと同時に中学生ほどの紫がかった少女も建物の影から躍り出てきた
「"動かないで"貴方には既に『虎屋家の命令を聞く』ってインプットされてるはずだから 申し訳ないけど私の命令にもしたがってもらうわよ」
虚に語り掛けこちらに向き直った少女は霊圧も体躯も貧弱そのものだったが
「あら ありがとう死神さん..."私の武器"を持ってきていただいて こっちにおいで~『袖白雪』!」
「な‼ どうしたというのだ袖白雪⁉」
呆気にとられた私は身をよじり逃げ出す袖白雪を止めることができずそのまま独りでに歩き少女の手の中に納まる様子を見るしかなかった
「貴方たちに一度返したのはなんだか知らないけど良かったみたい? あとまだ二代目の能力下にある物を持ってきてくれたし よほど急いているのね」
「どういうことだ...!確かに先ほどまで兆候などなかったはず」
「所謂二重人格みたいなものよ 斬魄刀としての人格と犬としての人格...犬格?まぁとりあえず今は可愛い生後一日のワンちゃんだから呼べば来るわ」
そう言いながら極彩色に光る飴玉を袖白雪に近づけそれを袖白雪が牙を剥いて噛り付いた
「この虚もだけど私の弟である五代目の能力で色々強制することができるの 例えばこんな風にね」
斬魄刀は西洋の意匠を残しつつも儚い美しさを持ってその身を白と変えた
「今から三時間後に強制する能力は終わる...つまり虚は野放しになるわ 私たちに構う前にそっちをどうにかするのがオススメよ?」
「貴様ら...一体どこまで死神を愚弄すれば気が済むのだ!」
「もうそこまでにしてくれ『相棒(クンペル)』僕らを生かすためにこれ以上君たちが手を汚す必要はない...!」
虚と袖白雪を持った少女を挟んで黒髪メガネの滅却師の少年が立っている
「もし嫌と言ったら?」
「君の手と足を撃ってでも止める...体育が万年低評価組の君では万に一つも避けられないだろう」
「なんで途中で煽ってんのよ!氷漬けにするわよ!!?」
弓をつがえ隙なく鎮座する滅却師と先ほどまでと打って変わってコミカルな少女がいる
「死神 この子は僕が直ぐにでも無力化する...どうにか虚を頼めるか?」
「とりあえず私は袖白雪を返して欲しいのだが...!」「...すまない 善処する」
色々と思うところはあるがもし彼が言うとおり滅却師が虎屋家を抑えてくれれば事態は収束するだろう...袖白雪も早く元に戻さなくては
だが彼の言っていた"生かすため"というのはなんだ...?彼らの裏に一体...
「ッ"あの子の目の前を凍らせろ"!』」
唐突に少女が考え込んでいた私に向けて袖白雪を振るう...私の一寸先には"滅却師の矢"が氷に閉じ込められていた
「おや...やはり侮れないね『第六感』というのは せっかくだしどこまで凌げるのか試すのも良いかもしれない」
はるか遠くからかなりの速度でその"滅却師"は来た
「誰ですか貴方は」「誰だお前は!」「誰なのだ貴様は!」
三者三様異音同義な事をその黒髪の女滅却師に向けて放つと
「嘘偽りなく...『志島』の滅却師さ 戦争をしに来たよ」
飄々としているのか無感情なのか分からない声が少しずつ怒声が響き始めた戦場にそっと置かれた