Swine Drunk.

Swine Drunk.

#伊原木ヨシミ

 鋭く空を切る音。

 柔らかい何かが叩かれる音。

 くぐもった喘ぎ声。

「うふ、だいぶ仕上がってきたわね」

 いまだ抜け切らないお嬢様口調で話す不良は、先端がハート型になった騎馬鞭を片手にヨシミの前に立つ。

 頑丈な鉄パイプを背面で抱くように後ろ手に縛られたヨシミ。その下着姿で局部以外を外気に晒されており、その白い柔肌には赤いハート型の跡がいくつもついていた。

 太ももに、首筋に、胸元に、腹部に。何度も繰り返し鞭を振るわれ、打ち据えられた筈のヨシミの表情はとろんと蕩け切っており、内腿を伝う粘性の体液がハートマークの上を流れている。

「不思議よね〜。痛覚と快感がごっちゃになっちゃう鞭なんて、ね?ヨシミさんっ」

 ビュッ、っと鞭が振るわれ、ヨシミの太ももに新たな刻印が刻まれる。

「くひゅっ!?♡」

 猛烈な快感と痛みが同時に襲いかかる。太ももが痛い。太ももが気持ちいい。太ももで絶頂している。太ももが絶頂している。

 訳のわからない感覚にヨシミの脳は困惑する。こんな感覚はおかしい、分かっているのに気持ちいいのは収まらない。

「んふふ、そろそろ上は脱がせちゃおうかしら」

 そういうと、ヨシミの背面に手が周りブラのホックが外される。大きいとまでは言えないものの、確かな膨らみが顕になる。色素の薄い、桃色のポッチが2つある純白のキャンバス。

 さてどう描いてやろうかと不良はくすくすと笑い、鞭の先端でヨシミの乳首を掠るようにして弄ぶ。

「んあっ♡くぅ……♡ん、ふうっ……♡」

 もどかしい刺激に対し、無意識に胸を突き出すヨシミ。もっと快感を、もっと刺激を。引っ掻いて。強くして。気持ちよくして。

 理性などとうに消え去り、恥もなくヨシミは快感を求める。徐々に鞭はヨシミから離れ、やがて痛いほど身体を突き出しても届かない位置にまで行ってしまう。

「んっ……!んっ!くっ!んんーっ……!」

 歯を食いしばりながらぷるぷると胸を揺らすヨシミを見て、歯茎を見せるほどに口角が上がった不良は思わず口元を手で隠す。

 あんなに睨みつけていた瞳は辛そうに細められ、キャンキャン喚いていた口は苦しそうにうめき声を出して、傷一つなかった肌は愛の刻印がいくつも浮かび上がっている。

「こら、せっつかないの」

 鞭が唸り、先端がヨシミの乳頭に強かに打ち付けられる。乳首を押し潰し、乳輪を覆い隠し、充血の跡がハート型のニップレスかのように肌を赤くさせる。

「ふぎゅっ!?♡♡♡お゛……ォ゛……ほぉ゛っっっっ?♡♡♡ぉ゛ーー……♡♡んぉ゛ーーっ♡♡」

 身体の芯に響く痛打にヨシミは悶え苦しむ。へこへこと腰を前後に振ると潤沢に分泌された愛液が糸を引いて床を濡らす。

 強烈な快感が引いても、乳首がじんじんと疼く。触れてもいないのに絶頂に押し上げられる。

「あら、綺麗に跡ついたわねえ。反対側にもつけてバランスとりましょ?」

「やぁ……、やめぇっ、やだぁ……」

 乳首への鞭打ちがよほど効いたのか幼子のように泣き出すヨシミ。

 いやいやと首を横に振ると金のツインテールがぶわりと広がる。

 ぱちんっ。

「んぎっ!?♡」

 ヨシミの頬に薄っすらとハートマークが浮かび上がる。今までとは違い遥かに弱い力加減で頬を張られたのだ。

「子豚さんに拒否権はないの。ほら、お胸出して」

 奴隷ですらない家畜の身分を与えられたヨシミ。普段の彼女ならその扱いに噛み付く勢いで反論していたはずであろうに、今では見る影もなくグズグズ泣きながら言われた通りに胸を突き出す。

 その様子に不良は、うふふと上品に笑ってからまた勢いよく鞭をしならせた。鞭が、ヨシミの乳頭を叩き、ハート型の跡をつける。

「ゔあ゛あ゛っ!?だめっ!♡♡イッッッ……ぐっっ!!♡♡♡あ゛……、だめっ♡またイッ……っぐゥゥゥ……!!!♡♡♡」

 盛大にイキ散らしながらヨシミは、鯉のように口を開閉し、目を白黒させ、ふっと崩れ落ちる。しばらくカクカクと震えていた膝が折れ、首は力無く前に倒れて項垂れてしまう。

「あら、やりすぎたかしら」

 起きて頂戴、寝てしまったの、と不良はヨシミの肩を揺するが、当のヨシミは半開きの口から唾液を溢し、チョロチョロと失禁するばかり。

「ふむ、ヨダレは出ている。……つまり完全には寝てはいない」

 独り言を呟きながらぽいっと騎馬鞭を投げ棄てた不良は、一本鞭を取り出す。

「じゃあ必要なのは気合いよね」

 こういう手合いの物は不得手なのだけど、そう言いながらも鞭を振るうと、音速を超えた先端が見事にヨシミの陰核を捉えた。

「……??ッ……!?あっ、っ、はぁっっっ……!!ひぎゅぁぁああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?!!?♡♡♡♡♡♡♡♡」

 喉が裂けるほどの絶叫と共にヨシミは目を覚ます。

「おはよ」

「……っっ?!♡♡♡ふっ……?♡……っっっ???♡♡♡♡」

 主人からの挨拶。しかし、全神経を快感を処理することに回しているヨシミにそれに答える猶予はない。

 答えようもないことを知っている不良だが、主人に逆らう家畜は躾けなければならない。

 ヨシミの人格が確実に壊れてしまう2振り目が──振るわれた。


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