Sugar+Melt=?
※大遅刻バレンタインネタ
※両思い後のふたりがただいちゃいちゃちゅっちゅしてるだけ
※脈絡なく始まり突然終わる
※ババっと書いたマジの短文なのでSSというかもはやSSS
絡めた舌先に溶けたチョコが触れる。理性を蕩かす甘さに味覚を刺激され、くちびるの重なりを深くした。
その気になれば、カイドウすら地に堕とす女傑だ。誰よりも自由で、誰にも支配できない少女。あの麦わら屋が、おれの暴挙にされるがままになっている。いっそ倒錯的な状況に脳が焼き切れそうだった。
「は、……んぅ、とりゃお……」
あえかな囁きと共に差し伸べられた指先が、胸部に刻んだ入れ墨を力なく辿る。普段の彼女からは考えられない、手弱女のような仕草。これで打算も駆け引きもないと言うのだから恐れ入る。
「ひぅ、ン……」
柔らかな髪に指を通し、普段は彼女の代名詞たる帽子に隠されたうなじに触れる。熱を帯びてしっとりと吸い付く皮膚の感触。こうして彼女と触れ合う関係になってから、幾度となく指を這わせた場所。一度として抵抗されたことはない。急所に触れることを、許されている。
敵船の船長相手に無防備なのは、出会った頃から変わらない麦わら屋の悪癖だった。あれほど対人関係で振り回されておきながら、どうしてそう隙だらけなんだろうか。彼女がこんな調子だから叶う限り守ってやりたいのに、片手で掴めてしまいそうな首の細さが、おれの加虐性を刺激してくる。ああ、ばかになりそうだ。
芯が抜けたようにぐったりとした麦わら屋を抱えなおし、昂りのままに差し入れた舌で上顎をくすぐる。チョコはとっくに互いの胃の中。重ねたくちびるをそっと離すと、潤んだ瞳と視線が絡みあう。
「良く出来てる。美味いよ」
おれの手で乱された麦わら屋と、おれのためだけに作られたチョコレート。こうして睦み合っていても、邪魔をしてくるやつらはいない。最高のバレンタインだ。
「しししっ、サンジに教えて貰いながら作ったんだもん!」
にぱっと邪気のない笑みを浮かべる麦わら屋は文句なしに可愛い。お握りひとつ満足に作れなかった過去を思えば愛しさも募る。
卓上のチョコに手を伸ばして一粒摘むと、麦わら屋の全身が弛緩した。見聞色の覇気か。甘えた声でおれを呼ぶ少女に微笑みかけ、隙間を埋めるように口づけた。
ココアパウダーの風味が、おれの舌を伝って麦わら屋を犯していく。子猫のような吐息を漏らし始めた小さな身体を抱き寄せながら、おれは静かに目を細めた。
次は食べさせて貰おうか。それとも、彼女に食べさせてからキスで奪ってしまおうか。チョコレートも時間もまだたくさんあるのだ。偶には恋人らしく、溶け合うような時間があってもいいだろう?