Silver lining

Silver lining





「……ど、どうかな?これ……」


レース出走に向けて、届いた勝負服を試着してみた彼女。その表情は少し自信なさげで、黒いネイルで彩られた指先はスカートの裾を掴み、こちらの反応を伺うようにしている。「似合っている」と励ませば、ほんの少しだけ顔色が明るくなった。


「よかった……!私が好きな服の系統でデザインをお願いしたんだけど、服に着られてるかなって不安だったから……」


ウマ娘の勝負服はある程度デザインを指定出来る。自分だけの勝負服を着てレースに出ることは、全てのウマ娘にとっての憧れであり夢なのだ。彼女も例に漏れず様々な想いをこの衣装に込めているように見受けられるので、それを纏うという緊張もあるのだろう。


「お願いした中で、このアウターの裏地にはちょっとこだわったんだ」


見て見て、と言われ少し近づく。確かに黒いアウターの胸元、襟のようになっている部分は、裏地が銀色に煌めいている。彼女曰く、『どの雲にも銀の裏地が付いている』────英語のことわざで、厚く暗い雲にも太陽の光で白く輝いている縁の部分があることから、逆境における希望の光……つまり、どんな絶望の中にも希望はあるという意味、らしい。

彼女自身の印象からは少し外れた、パンク風の意匠。「私の『好き』が詰まった服で走って、推しに恥ずかしくないウマ娘になりたいんだ」と彼女ははにかむ。芝を走れない彼女には、彼女の『推し』達と共に走ることは正直……難しい。しかし、好きな相手に相応しい姿で在りたいと望み願う彼女の想いは、きっとこの服に散りばめられた銀色のように慎ましやかに、それでいて確かに煌めいている。


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