SideR:UW~夢の中の現実~

SideR:UW~夢の中の現実~


「おれの場合はそうだな~」

「聞いてないって」

「あの日は確かさあ……」

「いやセクハラだからね?」


 あの日は確かおれもウタも船での当番が何もなくて、ナミの予測もしばらく安定した航行になるといったものだったはず。

 もちろん"偉大なる航路"だから油断はできないとも言っていたけれど、その急激な変化すらも予測・対応するのがナミの凄いところだ。

 だからおれもウタも安心してゆっくりすることにして……それならばとウタワールドで遊ぶことにした。

「っはー! やっぱすげェなこのウタワールド!」

 例の新時代計画は……おれは納得いかなくて否定したけれど。

 それを抜きにしたらウタの意志で色々実現するここは素直にすごいと思っている。ウタにしかできない、すごい事の一つだ。

「ふふん。いくら感心したって手は抜いてあげないからね?」

「当たり前だ! おれとの勝負で手抜きなんかしたら怒るからな!!」

 とはいえ、ウタがフェアじゃないからという理由で勝負に直接影響するような能力行使はしないとのことだった。

 最初はソレ込みで勝負だろうと反論したが……。

「チキンレースでアンタのところにこっそりチキン追加とかしたら勝負自体成立しないじゃない。そういうこと」

 と言われて納得するしかなかった。たしかに肉がないとチキンレースは成り立たない。

 そうして久々に誰に気兼ねするでもなくウタワールドで勝負して、勝負とは別に普通に遊んだりして過ごした。

 そんな中、ウタからとある提案をされた。

「ね、ルフィ。ちょっと……試しに全力でアンタを拘束してみていい?」 

「え、なんでだよ」

 幼馴染の突飛な物言いに思わず普通に突っ込んでしまった。何を言い出すのか。

「いやさあ……ルフィなら普通に突破しそうだなーって気もするけどね。私の全力がどこまでルフィに通用するかなーってさ」

 今後の航海ではまだ見ぬ強敵との戦闘は必ずある。その時自分に何ができることがあるか知るためにも、ルフィにどの程度通用するかで測っておきたい。

 そうウタは言ってきた。

 正直、ウタには戦ってほしくない。危険な目に合わせないためにもおれがもっともっと強くなって……ウタを、皆を守れる"船長"でありたいのだ。

 だが、この大切な幼馴染はこういう時、自分の中で譲れないと決めたものは頑として譲らないのも知っている。

 それに、今回ばかりは自分も正直思う事がある。ウタワールドの全力に自分がどれだけ抗えるのかを。

「……わかった。でも、直接の殴り合いとかはナシだかんな!」

 なので、こちらも譲れない最低限のラインは決める。

「ん。ありがと、ルフィ。それじゃあちょっと離れてから、始めるね」

 スッ……と距離を離すおれとウタ。適度な距離になったところで、開始の合図を告げる。

「よし、来いウタ!」

「行くよ、ルフィ!」

 駆け出すおれにウタが手をかざし――。

 その後、ある程度攻防したもののおれはウタの足元に転がっていた。

「っぐうゥ! くっそー!!」

 それでも脱出をあきらめずもがくが、もはや決着はついたとウタは屈んでおれの顔をつっついてくる。勝者の余裕だ。

「んんー……まさか、ウタワールドのリソースをほぼ全力でつぎ込んだらルフィでもこうなっちゃうなんてねえ……」

 ウタ自身予想外だったようだが、結果は結果。認めたくないが、負けは負けだ。……逆を言えば、おれはもっと強くなれる。強くならなきゃいけない。

 そうして新たな決意を胸に抱え……悔しさと情けなさを感じるものの、ウタに告げる。

「っはー! くそー! ダメだ! おれの負けだ、まいった!」

「あれ、負け惜しみいわないんだ? 素直だねー」

 ツンツン、といまだに突っつかれている。こんな状態では負け惜しみも何もない。

「あぁ……まあ、こうなっちまってるわけだしな。悔しいけど。……そろそろ、解いてくんねェか?」

 そろそろ解放してほしい。そう願ってウタを見上げるが……何か様子がおかしい。

「んふふ……ねえ、ルフィ。ルフィが負けたんだから、罰ゲーム。しよっか?」

「っはぁ!? そんなこと決めてねーだろ! 卑怯だぞっ!!」

「出た、負け惜しみぃ~。なんて、ね」

「っ!? ちょ、ウタ!?」

 いくらなんでも後出しで罰ゲームは卑怯だと訴えるが、すげなく躱される。

 拘束され地面に転がってるおれにウタが近づいたかと思うと……ズボンの中に手を入れてきた。

 モノを掴まれ、反射的に身をすくめる。男である以上仕方がないことだ。

「ふふ……敗者のルフィは、私に食べられちゃうの」

「ウタ……するなら、普通、に゛っ!?」

 ウタの細くしなやかな指が絡みついてくる。

 根元から搾るように指で挟み扱いてきたかと思うと、被せるように先端を覆い擦る。

 カリ……と爪先で軽く引っかかれたと思えば、指で輪を作り縊れ部分をシュルシュルと這い回る。

 以前からの逢瀬で知りつくされたポイントを的確に攻められ、あっというまに勃起してしまう。

「あはっ♡もうこんなにしちゃって……期待、してるのかな?」

「それ、はっ……! ……ウタが、するからだろ」

 拘束され脱出できずにいいようにされている。その事にチラと何かが疼くが、それはウタの手指によるものだと黙殺して。

「そう……それじゃあ、好きにさせてもらう、ね♡」

 そういうがいなや、おれのを口に含むウタ。彼女の暖かい口内と、ヌルヌルした舌や頬がもたらす刺激に思わず硬直する。

「っあ……! ウタ、いきなりっ……あァっ!」

「んっ……ぐっ……ぷァ……はァむぐっ……」

 普段してくれる快楽を与えるためのフェラチオではなく、搾精が目的の激しい動き。

 その強すぎる急な刺激に待ったをかけるも、ウタはお構いなしに頭を前後させ、吸い付き、舌で舐ってくる。

「まっ……ほん、とに……も、でちまう……!」

「ふぁーひ? もほへひゃうほ?」

 そんなおれの反応もお構いなしに、フェラを続けながらしゃべるウタ。とっくに限界まで追い詰められていたため、その刺激であえなくウタの口の中に吐精液していた。

「っう……あ……ぐっう……」

「んぶっ!?……んっ……んっ……んぐっ……んんっ……」

 ドクドク、ドクドクと脈打ち放つ解放感と快感に腰を震わせ、ゴクリゴクリと音を立てて飲み込んでいくウタにいやおうなしに興奮して。

「っはー……っはー……」

 射精がもたらす疲労も相まって肩で息をするおれを、口の端についた、今まさに出したばかりの精子を舌で舐めとりながら見つめるウタの瞳はいつもと違ったイロをしていて。

「いっぱいだしたねルフィ♡ でも、まだまだこんなものじゃ、終わらないよね♡」

 クチュリ、とフェラの最中自分で弄っていたのか、とうに濡れている自身を開きながら跨ってくる。

 射精直後で少し萎えてはいるものの、勃起は継続している。入れようと思えば入れられる硬度は保っている。が、さすがにインターバル無しは少しきつい。

「ウタ、もう少しまっ」

 まって、という言葉を遮って腰を落とされる。

 ズニュリと柔らかくて暖かくて、滑っていて……それでいてぴったりと吸い付くように締め付けてくる、ウタの膣内(なか)。

「またなーい♡ だって、罰ゲームなんだよ? ルフィのいう事は、聞いてあげない♡」

「っふ、うっ……ウタぁ……!」

 グニュグニュゾリゾリと先端を、竿を包みこみ、根本まで飲み込まれる。

 これまで何度も体を重ねた結果、互いに互いのカタチに染まり合った挿入は強烈な快楽を叩きつけてくる。

 気を抜けばこれだけで出しそうになるほどに。

「んっ? ふふふ……すごい、興奮してるね? ルフィ♡」

 入れただけで出すなんて男としてのプライドが、なによりウタに情けないと思われたくなくて必死に我慢するおれの耳元でウタがそう囁いてくる。

「まっ……みみ、もと……! しゃべっ……」

 耳にかかる吐息もだが、ウタの囁き声もやばい。思わず腰がはねるが、どうにか射精は踏みとどまる。

「あはっ♡そんなに腰を突き上げちゃって……そんなに私の奥、突きたいんだ……♡」

 こちらが限界を超えないようにと必死に我慢してるのを知ってか知らずか、腰をくねらせ押し付けるように沈み込み、挑発してくるウタ。

「うっ……ぐっ……そう、だ……から……」

 相手に主導権を持たれたままよりは、こちらで動いて少しでもペース配分できた方が幾分楽……そう思い、必死に耐えながら動きたいと告げるも虚しく。

「だぁ~め♡ リードを奪いたかったら、この状態からでも頑張って私をイカせてね♡ ……まあ、先にルフィが限界みたいだけ、どぉ♡」

 今日のウタはやたらと嗜虐的だった。自身が万能と成れるウタワールドだからか。全力のおれでも抗えない状況に興奮しているからか。

「あ゛っ!? ま、ウタ……まっ……でっ……」

 くねらせていた腰を一転、今度は上下運動に激しく動かしてくる。胸板に手を置かれて体重を預けられ、それによって動きをコントロールするウタの遠慮のない腰遣いに追い詰められていく。

「あっ♡はっ♡んっふ♡ふはっ♡あっ♡きもち♡イイッ♡ルフィ♡はっ♡どおっ♡?」

「……ゥ、あ……ぐっ……」

 パヂュッ、パヂュッと音を響かせならが興奮を一切隠さず往復し、打ち付けてくるウタに応える余裕はなく、とっくに限界間近になった射精したい欲を必死にとどめる。

「もっ♡おっ♡こた♡えてっ♡よっ♡」

 返事をしないおれに焦れたのか、抱き着き胸を顔に押し付けてきた。その柔らかくて良い香りのする身体に一瞬意識をもっていかれかけ……気を紛らわすために胸に吸い付く。

 ……少し、漏れ出てしまったのも、決定的な崩壊を防ごうと意識を保つのに役立った。

「ふっ♡んふっ♡あっ♡もっと♡すってっ♡ルフィ♡吸って♡」

 下半身から上ってくる強烈な快感から逃れるようにウタの胸にむしゃぶりつき、乳首を吸い、食む。

 意識をそらし、没頭できることがあることで多少は先延ばしにできたが……胸への刺激はウタへ快楽をもたらし、それによってこちらへの攻めも激しさを増し……。

 結局は時間の問題であり、その時はあっさりと訪れた。

「ねっ♡ルフィっ♡がまっ♡んんっ♡してっ♡るっ♡けどっ♡ここっ♡ここ、はァっ♡うた、わ♡るどっ♡だよっ♡」

「なっ……いっ……らっ……」

 なにをいまさら。

 ウタワールドで遊んで、ちょっとした思い付きで全力勝負して……その結果が今の状況なのだから、ここがウタワールドなのは知っている。

 知ってはいるが、解っていないというようにウタは言葉を続ける。

「げんっ♡じつっ♡じゃっ♡ないっ♡からっ♡ナカっ♡なかにっ♡だしっ♡て、も♡いっ♡イイッ♡んっ♡だ♡よォっ♡」

 その一言で、頭の中プツリと何かが切れたような音がした。

 それと同時にどうしようもない、抗えない程の射精感が昇って来て……ウタの中に出してしまった。

「あ゛っ♡ん゛っ……♡すご……♡すごっひっ♡いっ♡っぱァい♡」

 とてつもない解放感と、すさまじい快感。ウタワールド内だから中に出しても問題ないと言っていたが、それでも湧き上がってくるのは愛する女に己の種を思うさまぶちまけたという、満たされた征服欲。

「あ゛っ……ゥ、がっ……」

 三度目とは思えない程大量に、長く長く吐き出し続ける。腰はガクガクと跳ね、もっと奥に、もっと奥にとウタを突き上げる。

 合わせるようにウタも腰を押し付け奥に迎え入れ、それによってもたらさる快感でさらに湧き上がる射精感。

 延々と続く、このまま溶けてなくなってしまうんじゃないかと思うほど出して出して出し尽くして。

「っは……あ゛っ……ばっァ……はっー……」

「んっ……はっ……♡はァっ……♡……んんっ♡」

 出し終わると同時に切れ切れだった息をどうにか整える。

 ウタもさすがにイッたのか、ぐったりとこちらに体を預け肩を上下させている。

 全身に感じるウタの柔らかさと、聞こえてくる艶やかな吐息がとても心地よい。

 この短時間で連続で搾り取られ、三回目でこれでもかというくらい大量に放ったためいつもより消耗が激しい。

「ウタ……わりィ……も……げんかいだ……」

 そう告げ体を休めるべく目を閉じるが……首筋に感じる、硬い感触。

 ウタが首筋を甘噛みし、その柔らかな肢体をくねらせ押し付けてくる。

「ふふ……♡だァめ♡ルフィなら、もっとできるでしょ♡」

 噛んだ場所にちろちろと舌を這わせ、耳元をなぶり、囁いてくるウタ。

 それにゾクゾクとしたものを感じながらも、抗議する。

「いや、さすがに……せめて少し休ませっ!?」

 休ませない。

 そう言葉にせずとも、体で訴えてくる。

 もう無理だと思っていた自分の体はまた痛いくらいに屹立していて、ウタはそちらに目をやることなく自らに飲み込んでいく。

「ほらぁ♡無理っていって……♡まだ、できるじゃん♡」

「いや、それっは……あっ!?」

 たしかに体力や回復力には自信があるし、普段なら三回出しても余裕ではあった。

 が、今日はいくらなんでも消耗が激しすぎたし、自分でも早すぎる復活だと感じている。

 冷静に考えようにも動き始めたウタからもたらされる快楽に意識を持っていかれ、考えがまとまらない。

「ねっ♡ルフィ♡むずかっ♡しいっ♡ことっ♡はっ♡……はァ……♡ふふっ、考えないで、さっ♡」

 緩急をつけて動いてくるウタが、甘い誘惑の言葉を紡ぐ。

「せっかく……んっ♡みんなっ♡がっ♡……は、二人きりのっ♡時間んっ♡……つくって、くれたん、だしぃっ♡」

「おもうっ♡ぞんっ♡ぶんっ♡ヤろうっ♡よっ♡!!」

 ああ、もう……それでいいや……それがいい……。

 溶かされきった頭は言われるがままにそれを受け入れ、同時に四度目の射精を果たす。

「あはっ♡こっち♡でっ♡へんっ♡じっとか♡もォ……♡」

 しばしの間の射精。そして再び動き出すウタ。

 この後も何度も何度も交わり吐き出し、飲み込まれて。

 いつ終わったのか、気づいたころにはお互い現実のベッドに横たわっていた。


「ってなわけでよ。あんだけ鍛えて強くなったつもりでも、ウタにゃかなわねーなってさー」

「はーまったく……ごちそうさまでした。……ってんなわけあるかー!!」

 スパァン! とルフィの頭をひっぱたくナミ。

「いってー! なにすんだよナミー!!」

 突然の事にナミにぶーぶーと文句を言うルフィだったが、ナミの剣幕は収まらない。

「なにすんだもなにもないわよ! 聞いてないっていってるでしょーにぺらぺらと! 男のアンタが女のアタシにそういうこというの、セクハラでしょーが!!」

 ごもっともな怒りだが、ルフィは堪えておらず納得していない。

「でもウタはきにしてねーぞ?」

「っはー……。そりゃ、ウタはそうだろうけど……でも、私はウタじゃないでしょ」

「あ、そっか。なっはっはっは!」

 至極当然な事を言われ、それもそうだと笑うルフィにナミは脱力する。

「ほんともう、アンタらお似合いの変態バカップルよねェ……」

「おう、ほめてくれてあんがとな! あっはっはっはっ」

「褒めてない!」

 "偉大なる航路"、その道中。

 麦わらの一味の船は、本日も平静ナリ――。


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