Sense of Guilt

Sense of Guilt

ナギサとセイアの罪滅ぼし

セイア「ナギサ…相談とはなんだ?」


ここはナギサのセーフティハウス

ある日の夜中、セイアは自室の机の上に置いてあったメモを見てここへ来た

そこには、友であり現フィリウス分派の代表である桐藤ナギサの姿


普段から手にしているティーセットさえ用意していない、無防備な姿

月明かり差し込む隠された部屋で、2人は密談を始める

ナギサ「申し訳ありませんセイアさん…このような事を頼むなんて一体どれほど図々しいのか…と自分で自分を責めたくなるような事を、私は貴女に頼みます」

「…いいよ、話してくれ」


ナギサは大きく息を吸い、再度口を開く

「セイアさん。どうかサンクトゥス派の護衛を…私にほんの一部、本当に一部で良いので、お貸しいただけませんか?」

「…一応だが理由を聞きたい」

「私は…これから先生と反アビドス連合に、“支援”をする予定です」

「支援…!?待てナギサ!そんなことをしたらカルテルが黙っていないぞ!」

「ええ分かっています!なのであくまで“秘密裏に”です!セイアさんにご迷惑は絶対におかけしません!どうか、どうか話だけでも聞いてください…!」

セイアの忠告を聞いたナギサは、珍しく声を少し荒げながら話を聞いて欲しいと頭を下げる


「…何か手段があるのか?」

「一応は…しかしこの作戦は1人では遂行できません。どうしても、セイアさんの協力が必要なのです」

「そうか…分かった。君の友人として、まず話は聞かせてもらう。でも君の作戦に現実味が無いと判断したり、協力するのが難しいと判断した場合、私は作戦の断念を勧めると先に言っておくよ」

「大丈夫です。荒唐無稽であれば、それを先に知れただけ良かったと思うことにしますので」



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ナギサとセイアは、アビドスからの脅しに近い提案を受諾してしまい、砂糖蔓延に加担してしまったという大きな負い目がある

現在のトリニティは大勢の砂糖中毒者で溢れ返り、最早自治区の全域に砂糖堕ちした生徒が右往左往するような状態

挙げ句、正義実現委員会の大半や放課後スイーツ部の3人を始め、過半数もの生徒がアビドスへ流れて行ってしまった


下手にアビドスの提案を却下した場合、トリニティはティーパーティ始めとする上層部が直接崩壊させられて支配されていたかもしれなかった

なのでナギサとセイアはアビドスの提案を受諾はしたものの、あくまである程度の統制は出来る程度に砂糖を浸透させていたのだが…

結局は歩みを遅めただけ。行き着く先がこのような地獄絵図になるのは当然の話であり、最終的にはミカをロールケーキに混入した砂糖で中毒にしてしまった

ミカは症状が沈静化した後、療養のため連合へ送致された


ティーパーティの現ホストでありながら自らトリニティに砂糖を蔓延させ自治区を混乱に導き、果てはミカさえも砂糖によって狂わせてしまったナギサ

アビドスに砂糖摂取を強要されなかったことで、自分だけ砂糖の手から逃れて罪のない生徒達を砂糖狂いにしてしまっている…と考えてしまうのも無理はない

だからといって自分まで砂糖を摂取してしまえば、いよいよトリニティは崩壊の一途を辿るだろう

何より今まで散々苦労し、現在も非常に苦労しているセイアを捨てるなんて行為が出来るわけない

そう思ったナギサは、狂ってしまうわけにはいかなかった


皆と同じように狂えず、素面のまま砂糖を広めるという悪行に手を貸す…

そしてナギサはこのような現状に対し、強い憤りを感じた

無力故に生徒達を守れなかった自分自身への怒りは勿論、それ以上にアビドスの悪辣なやり方に怒りを抑えられなかった

しかも、その計画を持ち込んだのがあの浦和ハナコであるのが我慢ならない

ただし、ナギサがハナコに憤っている中に私怨は一切混じっていない

トリニティ崩壊を企んだカルテルの中心メンバーだったという点での憤りは多少なれどあったが…


あれほど楽しそうにして、素敵な笑顔を沢山浮かべていたヒフミ

元アリウスからの潜入員だったものの、エデン条約を巡る騒動を乗り越えて強い絆を結べたアズサ

勇気を出して友人のミカに対する迫害を止めるほど成長したコハル

あの補習授業部の3人を酷い形で裏切ったという事が一番許せなかった


エデン条約目前にて、自分が行った必修科目の拡大などの一連の悪質な妨害行為

調印式の事件にて、アリウスやミメシスが行った大規模テロ行為

赤い塔…虚妄のサンクトゥムが降り注ぎ訪れた世界の危機

それらの逆境を一致団結して乗り越えた補習授業部の絆は本物だと信じていた

なのにハナコは、砂漠の砂糖が蔓延するよう裏工作を行った末にあの3人を捨てて敵対したのだ


ナギサは意地でもアビドスの野望を食い止めて、トリニティの生徒達をどうにか正気に戻し、ハナコを連れ戻してみんなでお説教すると心に決めていた

彼女が根っからの極悪人ではないという事くらいはナギサも分かっている

彼女の性格上、“砂漠の魔女”なんて役を羽織り悪人を演じているだけだと

トリニティの気風を嫌っているのは確かではあるだろうが、だからといって砂糖で溺れさせ崩壊させるのは本心では無いはずだと



トリニティの治安維持は必要な事だが、それと同時に連合を支援してアビドスの野望を止めるために少しでも貢献する

それがナギサ自身が今出来る、精一杯の“罪滅ぼし”だった


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セイア「…L118榴弾砲を始めとした君の所有している兵装と、フィリウス分派の野戦特科部隊と護衛などの精鋭を連合に貸し与え、更に君個人の全財産を渡す…その間は私の護衛を借りて最低限守ってもらうと…」

ナギサ「このような事態になった以上…せめてこのくらいしなければ、申し訳が立ちません!先生達がアビドスを止めるために尽力しているのであれば…!」

「…分かった。私達も手伝おう」

「セイアさん…!」

「この際ついでだ。パテル分派所属の話が分かりそうな有力者に少し口利きしてパテルの一部部隊も向かわせよう。療養してるミカのボディーガードという体にすれば違和感もないだろう」

「そ、そこまでやって下さるとは…本当にありがとうございます」

「いいさ。それに私も『砂漠の魔女達が思わぬ兵力に慌てふためいている』…という感覚を勘で察知したいからね」

セイアは少し悪そうな顔を浮かべながら微笑んだ

「私のボディーガードの中でも特に信頼出来るメンバーをナギサに貸そう。君はフィリウス派野戦特科部隊達に説明して秘密裏に兵器と部隊を送る準備を進めるといい」

「了解しました。セイアさんにご迷惑をおかけするつもりは無かったのですが…すみません」

「私達は砂糖蔓延に手を染めた罪人同士かつ友人同士じゃないか。こうなったらやれる事をやるのみだ。君の兵力でアビドスに一泡吹かせて、ハナコ達を砂糖のユメから解放しよう」

「…はいっ!」

ナギサとセイアは握手を交わした


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その翌日から、2人は連合への支援作戦を早速開始した

ナギサは、フィリウス派の野戦特科部隊を兵装と共に連合へ派遣するという旨を部隊の全員に説明

それを聞いた野戦特科部隊は当然驚く。セイアが公認したサンクトゥスの精鋭が守ってくれる手筈とはいえ、ナギサ本人の護衛が手薄になる事に危機感を覚えるというのは当然の話だが…

部隊長はナギサの罪悪感を理解し、それに続いて隊員達も心配こそ拭えぬもののナギサの命に従うと誓った

同時に普段からナギサの護衛などで活躍しているフィリウス派の精鋭もナギサの命に従う事を誓い、野戦特科部隊と協力して作戦を遂行


フィリウス野戦特科部隊達は、ナギサが所有する兵装や全財産などの支援物資を用意し、夜闇に隠れつつ数日かけて連合の下へ運んだのだった



一方のセイアは、ミカへ悪感情を持っていないパテル派有力者への説得が上手くいき『連合にて病床に就いているミカの護衛のため』と言って、一部のパテル派部隊を連合に向かわせる事に成功

同時に自分を守るボディーガード達の中から特に信頼出来る数人にナギサの護衛を任せられた

なおナギサの護衛役は、サンクトゥス派だと分からないようフィリウス派の制服を着用することに

これに対し護衛役達は「なんか違う派閥の子の制服着るのって新鮮」と悪感情は全く無い様子を見せたので、セイアは胸を撫で下ろした


この間なんと1週間足らず

ナギサとセイアは、己の政治力を存分に発揮して作戦を成功させたのだ


連合がアビドスの野望を阻止して全てが解決し、ハナコ達が帰って来る…その時までこのトリニティを守り切ろう

砂糖を蔓延させた罪はその後で償おう

2人はそう誓い、崩壊しかけのトリニティを必死に支える生活へ戻ったのだった…


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ナギサが連合に全兵力と全物資を送った最後の日

時間は夜中の1時頃だった


シャーレ勤務モブ「先生ー!」

“な、なにどうしたのこんな時間に?”

モブ「その、『トリニティの現ホスト、桐藤ナギサ様の贈り物を届けに来た』と仰る方々が先生にお会いしたいと…!」

“ナギサの?分かった。今行くね”


先生はシャーレから程近い連合の支部に足を運ぶ

そこにはナギサが使っていたL118榴弾砲が多数並んでいるという、圧巻の光景が広がっていた

他にも様々な銃や弾薬が揃った山積みの補給品箱

そして先生を迎えたのはフィリウス派の制服を纏った野戦特科部隊と精鋭部隊

一番先頭に立っていた部隊長が、先生に近づき深々と礼をする

部隊長「お初にお目にかかります!我らフィリウス派野戦特科部隊、並びに精鋭部隊、桐藤ナギサ様の命により、先生と反アビドス連合の皆様へ助力するため、参上いたしました!」

“ご、ご丁寧にどうも…”

部隊長「そして此方は、ナギサ様個人の全財産でございます」

後ろに控えている何人かの隊員が、手に持っていたケースを広げて大量の札束を先生に見せる


“こ、こんな大金まで!?”

部隊長「ナギサ様からの言伝です

『今の私は、この程度の支援しか出来ません…先生ならば私の所有する兵装も、強力な部隊も、私個人のお金も、有効的に使って下さるはずです。トリニティを守ることしか出来ない私達に代わって、先生と連合の皆様が活用して下さい』

…ナギサ様とセイア様は、トリニティの砂糖蔓延を阻止出来なかった罪を背負いながらも、アビドスへの抵抗として我々を派遣しました。そしてこの後パテル派の一部部隊も、ミカ様の護衛として此方に来る手筈となっております」

“そっか…ナギサもセイアも、頑張ってるみたいだね。ありがとうみんな”

部隊長「先生、連合の皆様と共に我々を上手く運用してくださいませ!」

再度深々と礼をする部隊長

続いて隊員達も同じ角度で礼をした


“任せて!みんなこれからよろしくね!”









“それにしても榴弾砲をこんな間近で見たことなんて無かったなぁ…登ってみても良い?”

部隊長「危険なのでやめて下さい…」

“あはは、冗談だよごめん”


この大人本当に大丈夫なのだろうか…と思う部隊員達であった

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【パンパカパーン!】

【使用可能ユニットが増えました!】

「L118榴弾砲」

「フィリウス野戦特科部隊」

「フィリウス精鋭部隊」

「パテル精鋭部隊(一部)」


【「ナギサの補給品」を入手!】

【「ナギサの全財産」を入手!】


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