SS①
※『拉致』の後のお話。ちょっとエロネタあり。娘視点です。
娘は眠れなかった。ここしばらく両親が一緒に寝てくれていないからだ。
ちらりと横を見ると厳つい強面の男が気持ち良さそうに眠っている。王女『拉致』の後すっかり子守担当となった、父の連れである彼は連日の疲れが溜まっており、それが今宵限界を超えてしまったのだ。
「パパ・・・ママ・・・」
暗い部屋でお守をしてくれる相手がいなくて徐々に心細くなってくる。
隣室に入ってはいけないと言いつけられてが、幼い娘が寂しさに打ち克つことは出来なかった。両親に会うため覚束ない足取りでベッドから降りると隣の部屋に通じるドアの前に行き、頼りない手付きで開けた。
そして中に入ろうとした時、向こう側の様子が何かおかしいことに気付く。怖くなった娘はそっと覗き込む。
「・・・ママ?・・・パパ?」
娘はか細い声で問いかけるが、それは呆気なく闇に吸い込まれて消えた。
耳を澄ませると宵闇に満たされた空間から、何やらくぐもった声が微かに響いてくる。声の主は母のように思えたが、このような甲高く苦しげな独特のものは聞いたことがない。
(こわい・・・パパ・・・ママ・・・いるの?)
たまらなく怖かったけれど両親に会いたい一心で娘は目を凝らして二人を探す。
程なくして、寝台の上で蠢く二つの人影がぼんやり浮かび上がって来た。人影の輪郭からしてどうやら父と母らしい。そして暗闇に目が慣れてくると、娘は息を飲んだ。
(パパ・・・ママ・・・どうして・・・はだかなの・・・?)
娘の円らな瞳に映った光景・・・それは裸になって絡み合う父と母の姿だった。
※②に続きます