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「悪いシド、急遽出かけてくる」
「ん!いってらっしゃいだゾ!」
遠くからかけられたカタクリの声に対し、シドは大声で返事を返した。顔を見て送り出したかったが火をつけての調理中で動けなく声だけで送るしかなかったのだから。
それから時間はしばらく経ちメリエンダ用のスイーツを作り終えたシドは、冷ます時間長椅子のあるいつものくつろぎスペースに戻ってきた。そして目に入ったのは脱ぎ捨てられた一式の服。
それは恐らく急遽慌てて着替え出かけたためにソファーに放り投げるように置いていったカタクリの残骸。
その脱ぎ捨てられた部屋着の服をシドは片付けようと掴み、そして改めて気付く。
明らかにサイズが違いすぎる。広げた上着の大きさはシドの体の二倍近くあったのだから。
(ええ…上半身の長さだけならオレ達さほど変わらないのだゾ?……なるほど!流石だゾ!最高だなカタクリは!)
日々鍛えている筋肉の精度や大きさに感心し、その食事やメリエンダや訓練などの手助けを出来ているだろうかと考えながら、その上着を何気なくシドは羽織ってみた。
ふんわりとカタクリの香りに包まれればなんだか機嫌が良くなる。それを着ている自分を見ようと鼻歌まじりに全身が見える大きな鏡の前に移動をする。
案の定ブカブカで全くサイズが違うそれに声を出さずに笑っていると……鏡の中のカタクリと目が合った。
「え」
鏡の中のカタクリが実体化し、出てくる。彼は後ろにいるブリュレの方へ振り返り声をかける。
「送ってくれてありがとうブリュレ。そして悪いんだが……しばらくおれの屋敷に近寄らないでくれるか」
「ん。わかったよお兄ちゃん、じゃあ仲良くね~」
鏡の表面は揺れて、そして普通の室内だけを映す鏡へと戻る。戻らないのはなんとも不思議な張りつめた空気感だけ。
「お、お帰りだゾカタクリ……いや勝手に着て、悪かっ」
「ラッピングして出迎えてくれるとは流石だ」
「ゾッ、あれ、なぜオレは抱えられてるんだゾ!?待てどこに…」
「じゃあおれの為のメリエンダいただきます」