SS『チビ殺し』2024/01/23投稿分
チビ殺しスレの書き手手際は、ある程度は妻と打ち合わせていた。拷問を受ける相手が長時間失神していたから、打ち合わせに充(あ)てる時間は十分にあった。
石の床の上、女を仰向けに寝かせる。妻は女の太腿の上に跨(またが)るように座り、女の下半身の動きを抑えつける。
手のひらを広げさせて、それぞれの指の根元に、きつくきつく包帯を巻く。出来る限り血管を圧迫するように。妻の方も、足の指に同様の処置を行っている。
女は、気付いていただろうか。部屋の四隅のロウソクの灯の上、総監部支給品の数々が消毒のために炙られて熱されていたことに。
まずは先の長いペンチ。女の爪を根元から剥がすのに使う。
緊張から汗の湿った左手の手のひらを鷲掴みにして、爪先にあてがい、呪力を流しつつ力まかせに一気に捻る!
指から剥がすごとに意図せず震え、跳ね、動こうとする左手を俺は抑えつける。呪力を込めるのは当然忘れない。これで非力な女は抗う術を持たない。
5本全部剥がし終えたところで、圧迫止血していても当然ながらなお先端に血の滲む左手に、塩をたっぷり入れ込んだ厚地のミトンを被せる。脱げないようにミトンの根元も縛る。
「!! ヒッ! ウゥ、ツッ……」
傷口に塩を塗り込むのと同様の処置に、これまで耐えていた女の口から、初めて悲鳴らしい悲鳴が漏れた。
……足の作業を担当している(こちらは厚地の靴下を被せることになっていた)妻が、呆れるように言った。
「うっるさいわねぇ! 猿ぐつわ噛んどく?」
「……あ、お、おゆるしいただけるなら、その、おゆるしいただけるのでしたらっ、おねがいしますぅ……」
妻は舌打ちしながらハンカチを出し、捩じり、猿ぐつわとする。心底発語を邪魔だと思っているようで、口周りを縛りつける圧は強い。
――さて、処置を続けよう。
右手の爪も左手と同様とする。呪力の圧任せにペンチで爪を剥がし、塩入りのミトンを被せた。