【SCP-019-UMA「会報『推し進ロケット』」】
某掲示板の内輪ネタ・一発ネタ———
こんにちは、Dr.道慈。
本日の閲覧申請数:
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アイテム番号:SCP-019-UMA-1
オブジェクトクラス: Keter
共通特別収容プロトコル:
SCP-019-UMAはサイト-81206の標準人型収容室に収容されます。
収容室の半径███m圏内はカバーストーリー「毒ガス発生地域」の下、サイト内収容セクター019が確立され、計画外の人物立ち入りが阻止されます。また、ウマ娘侵入の自動通報システムと連動した人型SCiP誘導システムが構築されます。
SCP-019-UMAには1日あたりの4~6時間の中央トレセン学園相当の学習とG1ウマ娘級のトレーニングが実施されます。
学習及び各検査・実験に対しての報酬として執筆作業向けの資料や道具が提供されます。報酬の内容は担当研究員(SCP-019-UMA-1は道慈博士が担当)が収容の安定性を考慮して最終的な決定を行います。
SCP-019-UMAの執筆イベントをコントロールするために1週間に1度の割合で尊死イベントが実行されます。便宜のためサイト-81206の職員は人間関係において非常に仲の良いと判断されたウマ娘を含んで構成されます。
1月に一度、または尊死イベント発生時『尊さ』の対象として選ばれたウマ娘職員は別施設にてカウンセリングを受けてください。
SCP-019-UMA-Aが発生した場合、機動部隊ゆ-Sha(”休刊鳥”)が回収にあたります。
現存するSCP-019-UMA-A群のうち、各種1部は担当研究員に書斎・研究室を兼ねて割り当てられる収容ユニット-019に通常の書籍と同様に保管されなければなりません(インシデント記録019-2を参照)。
SCP-019-UMA-A群の閲覧の申請は担当研究員が受け付けます。閲覧した人物はその後無期限に担当研究員と機動部隊ゆ-Shaの管理下におかれることが通告されます。
説明:
SCP-019-UMA-1は、日本ウマ娘中央トレーニングセンター学園(中央トレセン)██期生であるアグネスデジタルです。外的、物理的特徴は公開情報と一致しています。
SCP-019-UMAは非活性時は通常のウマ娘と同様に振る舞いますが、実体の半径███m圏内でウマ娘による、『尊い』*1と実体が形容する所作を感知することで「尊死イベント」と呼ばれる一連の異常な現象を生じます。
活性化したSCP-019-UMAは生理学上の心肺停止状態に陥ると同時に時速████kmで垂直に上空へと射出されます。成層圏を経由し『尊さ』を感知した地点へと降り立ったSCP-019-UMAは、心肺機能の緩やかな復帰と同時に混乱した様子を見せながら対象の所作あるいは対象そのものを賞賛します。尊死イベントに付随する移動において、SCP-019-UMA実体は進路上の壁・天井など物理的障害を無視します。
尊死イベントが異常な現象であることは、広義の反ミーム性である認識阻害によって通常認知されません。
SCP-019-UMA-1は、尊死イベントが要求量に対して不足、あるいは超過している場合、██〜███日周期で特殊な執筆イベントを発生させ、SCP-019-UMA-Aに指定される印刷物を発生させます。通常、執筆イベントは標準的な手法で数週間程度の期間で数十時間程度の作業が行われますが、特殊な執筆イベントでは数分程度で作業が完了し、SCP-019-UMA-1は即座に発生時に開催されている同人頒布会(即売会)の会場にそれを持ち込もうとします。物理的な妨害がされた場合は、発生時に開催されている同人頒布会(即売会)の会場にSCP-019-UMA-Aのみが出現します(インシデント記録019-1を参照)。
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インシデント記録019-1:
日時:20██/██/██
経緯:
当時の収容手順に基づき、SCP-019-UMA-1はウマ娘との隔離を徹底することで、尊死イベントを封じ込めていたが、後にSCP-019-UMA-A-1に指定される異常な印刷物を頒布する目的で、収容に協力的であったSCP-019-UMA-1が収容違反の意思を見せた。機動部隊ゆ-Shaが派遣され、収容の再確立を試みた。
音声ログ:
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ゆ-Sha 甲:室内に戻ってください。
SCP-019-UMA-1:[何かを呟く]
ゆ-Sha 甲:今何と?
SCP-019-UMA-1:行かなきゃいけないんですよ……
ゆ-Sha 甲:不満があるならば解決しますけど、治ってないのに外出はダメなんです!*2
SCP-019-UMA-1:デジたんに取ってこれは呼吸なんです!!!
ゆ-Sha 甲:へ?
SCP-019-UMA-1:新しい「推し」の魅力をもっと皆さまに広く伝え聞かせねばならないのです!!
SCP-019-UMA-1:「推し」を摂取して、「尊み」を吐き出す……呼吸ができなきゃデジたんは……
ゆ-Sha 甲:でも…01…デジタルさん
ゆ-Sha 甲:新しい「推し」って一体……
SCP-019-UMA-1:[ノイズ]です。
[ゆ-Sha 甲が狼狽する声と爆発音]
ゆ-Sha 甲:えほっ……ゲホッ……
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結果:
SCP-019-UMA-1はセクター付近を通過していたエージェント・ウララに反応し尊死イベントを起こしたことにより確保され、収容は道慈博士により再構築された。
SCP-019-UMA-A-1は60部が東京都大田区の催事場に出現し、3█名が閲覧した。「火元がないのに焦げ臭い匂いがする」*3というアノマリー事象の通報に反応した潜伏エージェントによりSCP-019-UMA-A-1の露出が発覚した。3時間24分後にオブジェクトの全てが回収された。
インシデントの影響で、ゆ-Sha 甲は道慈博士の管理下に置かれた。
インシデント記録019-2:
日時:20██/██/██
概要:
尊死イベントの適切な頻度を調査中に発生したものの、SCP-019-UMA-1の協力的態度により未然に配布を避けられたSCP-019-UMA-A-2を、低危険度物品収容ロッカーに収容し、施錠した。
結果:
[編集中]
補遺:
SCP-019-UMAについての報告書は完全な版ではありませんが、更新の予定はありません。我々の責務はSCP-019-UMAによる正常性破綻の阻止と、そのための原則である「確保・収容・保護」に忠実であることであり、報告書の完成はそれに反するものです。
—道慈博士
「ウララね、どんなにびっくりする趣味だとしても、それをジャマするのは良くないんじゃないのかなって思うんだ。」
「だからね、『迷惑がかからないように、みんなで頑張ろう』ってお話ししたんだ。」
—エージェント・ウララ
*1 サブカルチャー文化における俗語。「感受性を刺激する」程度の意味合いだが、正確な定義、強度の測定と基準化のための調査が進行中。
*2 当時は正式な収容手順が確立していなかったため、サイト-81206の臨時セクターで汎用カバーストーリー「感染症」を適用して封じ込め措置を取っていた。
*3 アノマリー事象はSCP-019-UMAに起因するものであることが確認された。