Ring
注意
・3兄さんとGWちゃんが結婚している前提です
・モブ視点
・クロスギルド合流if、年齢操作有(GWちゃんが20or21歳くらいを想定しています)
・時間軸は一応考えながら書きましたがおかしいところがあるかもしれません
・さっくり書いたのでふわっと読んでください
・その他もろもろ
上記を読んだうえで大丈夫でしたらどうぞよしなに。
おれの上司みたいな存在の3兄さんはよく黒い手袋をしている。
最初は座長のを見てそうしているのかと思いきやそうでも無いらしい。
クロコダイルは小洒落た男だから、部下にもそういう格好をさせたくなるタイプだ───と3兄さんは言っていたがどこまで本当か。
「兄さん!」
「ん?ああ、君か。」
「すんません兄さん、ちょっとこれ確認してもらえますか?」
「分かったガネ、少し待っていたまえ。」
3兄さんがいつも通り黒い手袋を取った瞬間、きらりと光るシルバーの指輪。
「え、兄さんそれ...」
「?ああ、これか。」
彼の左手の薬指にはまっているそれは、どう考えても既婚者の証だ。
今日初めてそれを見た。
「結婚したのは1年くらい前だ。能力の都合があるから着けることも少なくてな...」
「えっ兄さん結婚してんの?」
「そうだと言っとるだろう。」
「え、誰?相手誰なんだ?」
他の奴らも兄さんの結婚相手が気になって寄ってきた。
誰かという質問を彼はスルーしたが、
「今日はなんで着けてるんです?」
という他の奴の問いには答えた。
「記念日だからだよ。今日は能力を使うなと言われている。」
「(嫁さんに言われたこと素直に聞くタイプなんだな3兄さん...)」
「嫁さん可愛い?」
「ああ、愛らしいな。」
その一言のあともうこの話はいいだろう、とさっさと書類を寄越せという顔をされる。
少しだけ耳が赤くなっているのは見なかったことにしておこう。
「ゴールデンウィークちゃん!」
「あら、なあに?」
兄さんに書類を確認してもらいそれはそのまま彼に渡して、次はクロッキー帳を持って移動する。
「これ見て欲しいんだけど...」
ゴールデンウィークちゃん...ミス・ゴールデンウィーク。
クロコダイルさんの作った組織、バロックワークス時代からの3兄さんの『相棒』。
ゴールデンウィークちゃんは少女のような愛らしさを持つ一方でちょっと癖のあるというか天然な性格をしていて、さらに裏稼業の人間としての資質も兼ね備えている。
頂上戦争以降に合流してきたときにまさかカラーズトラップを使いながら堂々と侵入されるとは思っていなかった。
元々胆力がある、とは3兄さん曰く。
「うーん、そうね。前よりは随分良くなったわ。」
「よし!」
「だけど質感はまだ少し甘いわね。これはこんな風に...」
彼女が鉛筆を握る左手薬指に指輪がある。
綺麗に磨かれたシルバーの指輪だ。
実年齢を知っていても少女にしか見えないその姿とはどこかアンマッチで思わずびっくりしてしまう。
「あれ、ゴールデンウィークちゃんって結婚してたの!?」
「ええ、知らなかった?」
「今まで指輪着けてるところなんて見たことなかったし...」
「今日は記念日なのよ。」
「へー、そうなんだ...」
脳内に疑問が浮上する。
3兄さんも今日が記念日だ、と言っていた。
ゴールデンウィークちゃんも同じく今日が記念日。
「いつもは油絵の具を使うから、汚さないように着けていないの。」
「...あの、もしかしてお相手って...」
くすりとゴールデンウィークちゃんが笑う。
「あ、別にお互い既婚なの隠してるわけじゃないのよ?でもわざわざ言うほどでもないかと思って。」
「ってことは、3兄さんと...?」
「そうよ。」
さらっと言われたそれにやっぱりと何となく納得がいく。
道理で合流当初から距離感が近いと思っていた。
「結婚式とかしたの?」
「いいえ、写真だけ。結婚式はちょっと興味があったけれど───」
「座長に言ってやってもらいましょう!あの人なら兄さんとゴールデンウィークちゃんのの晴れの日をバッチリ演出してくれると思うし!」
「そ、そこまで大々的にするのはちょっと恥ずかしいから...」
でも結婚式もしないのは正直少し勿体ないと思う。
そういうのもきっといい思い出になる。
「わたしたちだと親族席に座ってくれる人も居ないし、」
「クロコダイルさんに座ってもらおう!あの人なら多分ゴールデンウィークちゃんのために喜んで座ってくれると思う!」
「ん、んー...そうかしら...」
「そうだよ!そうと決まれば3兄さんにも相談してみないと!」
───数ヶ月後、3兄さんはタキシード、ゴールデンウィークちゃんは綺麗なウエディングドレスを着て挙式をすることになるのはまた別の話。