Restful Night
すやすや📞🦐ふと目を開けると、胸元にあたたかい感触。規則的に動く頭を見て、寝ている時は静かなんだけどなあ、なんて思う。
同室になって数ヶ月。毎日振り回されているけれど、なんだかんだで仲良くなってきた、と思う。
……じゃないと、こんなに近い距離にはいられないと思うけど。
彼が寝る時に僕のベッドに潜り込むようになったのはいつだっただろうか。最初は驚いたが、一緒に眠るようになってからたまに出来ていた彼のクマがなくなって、少し不本意ながら僕も毎日しっかり眠れるようになったから、まあwin-winの関係だろう……たぶん。
「ん……んぅ……」
肩が少し不規則に揺れている。振り返って時計を見るとまだいつもの起床時間より数十分早い。下手に起こして機嫌を損ねるのも嫌だししばらくこのままでいよう。
「……う、うぅ」
「……あれ」
先程まで穏やかだった寝息が少し乱れている、少し苦しそうだ。
「や……いか、ないで……」
切実な吐息。ふるふると横に振られる頭。
困惑。二人で寝るようになって随分経つが、彼が悪夢にうなされているのは初めてではないだろうか。大体は穏やかに寝ていて、たまに変な夢でも見ているのか少し暴れるくらいで。
だから弱っている彼の姿は新鮮で、僕はそれを見て何を思ったか、そっと肩を引き寄せ、頭を撫でた。
……いつも他の先輩たちにちょっかいをかけているからあまり意識していなかったが、そういえば彼は本質的には寂しがりだ。
寂しくて、誰かと話したくて、でも不器用だからちょっかいをかけることでしか上手くコミュニケーションが取れない。
数ヶ月の生活で僕は彼をそう認識していた。
だからか知らないが、僕が撫でた瞬間に再び穏やかな寝息をたてはじめた。悪夢は晴れたらしい。が、ということは、僕は彼が目覚めるまでこの体勢から動けないということではないのか?
「はぁー……」
腹を括れコントレイル。あと少しだ。再び悪夢でも見られたら目覚めが悪くて面倒を被るのは僕だ。
「……ん、ふふ……おかあ、さん……?」
にしても、いつもこうやって彼の頭が僕の胸元に来るように寝ているが、先輩なのにまるで赤ちゃんのようだ。
そう思うと僕の少々愚かな口は止まらなかった。
「はーい、おかーさん、ですよ〜?」
言いながらそっと抱きしめる。そして、自分のした事に気づく。
僕、めちゃくちゃ恥ずかしい事したな!?!?
周りに同期や後輩がいたら間違いなく大爆笑だ。1人で百面相しながら赤面する。顔が熱いのが分かる。
「ん、おか、さん……」
……こちらに応えるようにぎゅうっと抱きついてきた彼の顔があまりにも幸せそうだったから、まあ許してもいい、かな。