【ROMANCE DAWN】東の海編1

【ROMANCE DAWN】東の海編1

石猿

──序章──

私はしがない海賊、名は…そうだな“石猿”としておこう、これは私が体験した様々な冒険を綴った物語だ──。私はとある村の一少年に過ぎなかった、拳骨が恐ろしい祖父の教育という程の海軍に入る為修行という名の“ナニカ”、其れ等でサバイバル能力を鍛えこの過酷な時代で生存力を高めているが、あまり思い出したくない。そんな私だがある日村に海賊がやって来た。その時に出会ったのが後の友人である紅白色という大変縁起の良い髪色を携えた少女と赤い髪と麦わら帽子が特徴的な快男児であった。少し話した後目的は略奪ではないと知ったのでこの村の酒場に案内した。其処の女主人──私にとっては姉の様な人は快く出迎えてくれた、村長も騒ぎを起こさないという条件の下停泊の許可をくれた。其処からの日常は凄まじかった、私の関心は海賊達の冒険への興味心と幼馴染との勝負にいっぱいだった、勝敗は私の183連勝中と記憶しているが彼方も同じ主張をするだろう。だがそんな楽しい日常も終わりを告げる、拠点に携えたこの村を離れ元の世界の海を見て回ることにしたらしい。別れは惜しいがどんな物語も終わりはある、結局最後まで船に乗せてはくれなかったがそれは海の厳しさを知る船長の優しさだったと知る。代わりにトレードマークでもあった麦わら帽子を授かりいつか返しにいく誓いを立てた、私は立派な海賊、つまり海賊王になりこの帽子をあの者に返すのだと心に誓った──。因みに余談ではあるのだがこの後祖父にみっちり扱かれた、拳骨はすごく痛かった。【序章完】

【第一章】いざ冒険へ、大海原へ繰り出さん──。

あれから十年の月日が過ぎた、私は鍛えに鍛え上げ出迎えと言わんばかりに顔を出した近海の主を一撃でのし上げる。その後海へと繰り出したがいきなりのハプニングが発生、大渦に飲まれてしまったのだ、私の一本めの航海は遭難という形を取るらしい、しかも私はお世辞にも“美味とは言えない果実”を口にした為泳げない金槌なのだ、尤もこの状況、泳げようが泳げまいが関係ないが、私は村から持って来た樽の中に身を潜め海を漂う事にした、村から漁船を借りなくてよかた。すぐに無くなるのならボートの方がマシだというもの。私はそう思いを馳せ海を漂う、どこかに流れつけば拾い上げてくれる筈、そう考えだ私は程よく揺れる樽の中、揺れが心地よく暗所でもあった為少し眠ることにした。

目が覚めるとそこは安定した陸地であった。目の前には柄の悪い男が3人後ろにはだらしない態度をしたメガネをかけた少年が1人、何者か聞けば逆に問いをかけられる始末、質問に質問を返すとは無礼な者達だと思っていると強い衝撃が小屋を襲った、その拍子に少年と私は転がり続けた。落ち着いた頃に此処はどこかと聞くとどうやら名だたる女海賊のアジトらしく少年はこき使われている様だった、お世辞にもよくできているとは言えない組み木のような物で脱出してはと提案されたがこれでは先程の樽の方がマシではなかろうか、それにしても何故この様なものを作ってたのにこの海賊の元で雑用をしているのかと聞くと、釣りに出かけたら船を間違えるという何ともお粗末な理由であった、すると逆に私の目標を聞かれたので海賊王になると言われたら物凄い勢いで無理だと言われたので少し制裁しておいた、どうやらすごく気弱な少年の様であまり好みではない。だがこの目的のために命を賭けれると言ったら彼も夢を語ってくれた、どうやら海軍に入り将校になりたい様だ、そして船長である女も捕まえられるくらい強くなりたいそうな、出来るかどうかは本人次第だがやらずにウジウジ言うくらいなら先ずは挑戦してみるのが大事だろう、結果なんて誰も知らないのだから。そう話している内に金棒が組み木に直撃、どうやらこの女が頭らしい、しかしその容姿は女性らしい言葉を思わせる“可憐”や“綺麗”と言ったものからはかけ離れ本人の名誉の為にある程度包み込んでいうならばすごく“厳つい女”であった。周りが文句を飛ばしてくるが、私にとって見慣れた女性とは酒場の女主人や紅白の髪を携えた幼馴染なので聞き入れない、…元気にしているだろうか。そう思っていると少年は取り消させようとまた下手に出る態度を取りかけていたが何を思ったのか世界で一番厳つい女と言い出した、恐らくなけなしの勇気と覚悟を持った一言だろう、私はこの少年の評価を改めねばならない、そしてその勇気と覚悟を持った行動には敬意を持って返さねばならないだろう、金棒を振りかぶった女の攻撃を私は頭で受ける。先ほども書いたが私は美味ではない果実を食したことにより打撃の類にかなりの耐性を誇る、故にこの様な丸みを帯びた金棒など恐るに足らず、逆に殴り飛ばし部下から小舟を一隻頂戴した、少年は次の島にいる海軍に入るため降りるらしい、私も仲間集めを急がねば…【第一章完】

【第二章】仲間集め、1人目は賞金稼ぎ──。

目的の島に向かう道中で私は少年から例の賞金稼ぎの事を聞く、どうやら魔獣と恐れられているらしく私はその人材が欲しいと思った、そしたら少年がまたへっぴり腰になったので精細を入れておいた。目的の島に着いた私は先ずは腹拵えのために店に入る、古くより酒場には情報が集まるという、例の捕まっている賞金稼ぎや海軍基地に着いて話していたら酒場がどうやら騒がしい、どうやら触れてはならぬ話題だったらしいが何も知らぬ私からすれば面白い事この上ない、料理も美味であった為事がすめばまた此処でいただきにあがろう。そうするうちに海軍基地に到着し私は早速中を覗き込んだ、すると奥に誰かいたので場所を変え再度覗き込む、少年が驚いている所や磔状にされている所を見るとどうやら“当たり”を引いたらしい。磔の男はコチラを確認すると9日もあの状態で縄を解いたら其処らの賞金首を取ってくると言う、9日という期間磔にされていながらあそこまで啖呵を切れるものはそういない、益々気に入った私は仲間の勧誘に行こうと思うと横から梯子が掛かったので何事かと見ると幼き少女がお握りを持ち込んで男に食させようと言うのだ、なんとも健気な少女もいたものだ。しかしそれを許さない者がいた、此処の基地を治める大佐の息子、私から言わせたら七光りにしかならないがそいつがお握りを強奪するや否や甘いから不味いと宣い地面に叩き落として踏んづけてしまった。食の恨みは恐ろしいぞ、そうすると少女もが塀を越えて投げ出されたのですかさず受け止めると堂々と中に入り男を勧誘するが、どうやら自分から悪党に成り下がる気はないらしく拒否された、それは仕方ないと思い帰路に着こうとすると男が地面に落ちたお握りだった物に目を配りそれを食わせろと言う、私は正気かと思ったがいいから食わせろとがっつくので私は全て拾い上げて口に突っ込んだ、するとバリバリと凡そお握りを食した咀嚼音とは程遠い音が聞こえており顔には涙も浮かんでいたが男からの彼女へと感想の言葉を伝える様に言われた、その内容は「美味かった、ご馳走様でした」だなんとも粋な計らいが出来る男だろうか、私はこの男を仲間にしたい気持ちが益々高まった。

例の感想を少女に聞かせていると彼女は大変喜ばしく明るい表情を浮かべた、何故あの男が捕まっているのかと聞くとどうやら男があのバカ息子がペットとして飼っていた狼が町の者を襲っている所を斬ってしまったかららしい。理由を聞いて程々に呆れがくる、少年も賞金稼ぎが囚われるなんてことは滅多にないとのこと。どうやら話の全容が見えてきたところで特徴的な笑い声が聞こえてくる、例のバカ息子だ道の片隅に町民に頭を下げさせて悦に浸っている、だが私は聞き逃せない事があった、どうやらバカ息子は見せしめとしてあの男を3日後に処刑するとの事、1ヶ月耐えられたら解放すると言う約束はどうなったのかと聞くとそんなものはギャグに決まってると言いそれを本気にするあいつも本気の大バカなどと宣うので私は思い切り殴った、後悔はない。私はあの男を仲間に引き入れる事にした、そのために海軍と戦争になろうとも知ったことではない、海賊を志した瞬間から海軍と敵対するのは決まっていたのだから遅かれ早かれだ。

直ぐ様に私は基地に向かった、男の元に着き仲間に勧誘するが余計なお世話と突っぱねられた、縄を解いて武器も持ってくるから仲間になれと言ったら鬼かと問われた、私は人間だ。武器を回収する為基地に乗り込み屋上に飛ぶと勢いが余り通り過ぎてしまった、咄嗟に何かに捕まると何やら石像を起こしていた途中らしく私の勢いに引っ張られて石像が砕けてしまった、大変申し訳ない気持ちになったがバカ息子を発見したので直ぐ様掻っ攫い男な武器はどこか尋ねる。道中気絶してしまい3本ある刀の内どれが彼のものかわからなかったので3本共待っていく事にした、すると磔広場が騒がしいのでまた飛んでいき銃弾を跳ね返してやった、私には打撃だけではなく銃弾も効かないのだ、多少驚くが。それは向こうも同じ様で兵士の殆どが腰を抜かしていた、唯一手に斧がぶっ刺さった男は私が悪魔の実を食した事を看破し銃でダメなら剣でと言う事らしく兵士をこちらに嗾ける。その間に漸く片手の縄が解け彼に刀を渡すと即座に縄を断ち切り剣を全て止めてしまった、どうやら彼にも多大なる野望があるらしく曰く【世界一の大剣豪】だそうだ、それを断念させる様な事が有れば腹を切って詫びる、それが条件らしい。それを聞いた私は快くOKを出した、未来の海賊王の仲間だそのくらいになってもらわねばこちらも困る。そうして私の1人目の仲間は元賞金稼ぎという異色な経歴の持ち主である剣士であった。その後呆気なく基地を制圧した私たちは件の少女の家でご馳走に上がった、彼も9日飲まず食わずは拙かったらしくいい食べっぷりだ、その彼が目的地はあるのかと聞いてきたので偉大なる航路を目指すことを言った、途中少年が何か言っていたが道中でも仲間は集めるつもりなので問題はない。其れより心配なのが少年の方だ剣士の彼曰く海軍の情報力を甘く見ない方がいいとのこと、確かに少年は雑用とは言え海賊の下で過ごしていた、入隊できるかも怪しい。するとそこに海兵達が集まってきた、私たちは海賊なので直ぐに立ち去る事にする。すると海兵の人が少年に仲間ではないのかと聞いており返答に困っている模様、なので私は一芝居うち彼を私たちから遠ざける事に成功した、途中剣士の彼が何か言っていたが何も聞こえない。少年は身体はまだまだだが心は立派な物を持っている遠からず、立派な海兵になるだろう、そう思い船を出したが港に“友人達ご一行”が感謝を述べにきた不器用なのはお互い様の様らしい、さて次の島でも新しい仲間と出会えるといいのだが…【第二章完】


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