RABBIT talk

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これは収録の休憩中のちょっとしたお話…

ウィーン

カズサ「ハァ…疲れた…控室には…」

ミヤコ「お疲れ様です」

カズサ「よりにもよってあんたか…」

ミヤコ「…」

カズサ「…あんたに聞きたかったんだけど」

ミヤコ「…なんでしょう」

カズサ「…『砂糖』でトんでなかったって本当?」

ミヤコ「…そうだと言ったら撃ちますか?」

カズサ「いや、別に。あんたらのトップ(ホシノ)とケジメをつけておいて、部下だったあんたに嫌がらせは違うでしょ」

ミヤコ「…でしたら、なんで聞いたんですか?」

カズサ「…どうだった?」

ミヤコ「どう、とは?」

カズサ「そっち(アビドス)側について、どうだったの?」

ミヤコ「……辛いことばかりでしたよ」

カズサ「だろうね」

ミヤコ「狂っている周りの人と話しているとこちらも気が狂いそうになりますし、命令に従うたびに自分の無力感に打ちひしがれる思いをしました…」

カズサ「……」

ミヤコ「全てが終わった今でも、罪悪感が心を蝕みますし、悪夢を今だってよく見ます…」

カズサ「…なんで逃げなかったのさ?」

ミヤコ「……」

カズサ「聞いた話だとあんた、SRTっていう特殊部隊に所属してたんでしょう?特殊部隊ってことは強いはずだから、逃げることぐらいはできたと思うけど」

ミヤコ「小隊の仲間がいましたから」

カズサ「…人質ってやつ?」

ミヤコ「違います…『砂糖』の虜になってたんです」

カズサ「…そっか」

ミヤコ「…小隊の中で、私一人だけが、幸か不幸か『砂糖』を食べませんでした」

カズサ「……」

ミヤコ「私だけが取り残されるように、皆狂っていって、気づいた時にはどうしようもなくなって…大切だったものが『砂糖』のせいで壊されてしまったんです」

カズサ「…うん」

ミヤコ「それでついカッとなって、『砂糖』を売った店を襲撃しました。それが一番大切だった『正義』を冒涜する行為だと知っていながら」

カズサ「…なにそれ、間違ったことしてないじゃん」

ミヤコ「結果的にはそうです。ですが、確証もなく怒りに任せて行動することと、必要以上に相手を痛めつけることは正義ではありません。少なくとも、私が目指す正義とは別の物です」

カズサ「……」

ミヤコ「その時にホシノさんに出会ってアビドスへ来ないかと誘われました。もしかしたらこの時、断る道もあったかもしれません。ですが、私は誘いに乗りました。…今にして思えば正気の沙汰ではありませんね」

カズサ「…一応聞くけど、『砂糖』でおかしくなった仲間をアビドスへ置いていくって考えなかったの?」

ミヤコ「…確かにあの時の皆には散々痛めつけられましたし、指示は碌に聞いてくれませんでしたし、いい思い出は何もありません」

カズサ「……」

ミヤコ「ですがせめて、仲間を見捨てることだけはしたくありませんでした。それをしてしまったらもう私の目指す正義にとどかなくなる気がしましたので…」

カズサ「…やっぱそう答えると思った」

ミヤコ「?」

カズサ「いや、あんた私の知り合いとなんとなく似てる気がしてさ」

ミヤコ「そう、なんですか?」

カズサ「うん。正義に対して憧れがあるところとか、友情に熱いところとか、妙なところで頑固なところがよく似てる。性格全然違うけど」

ミヤコ「それって似てるんですか?」

カズサ「…微妙にかみ合わないのも似てる…少し私の話もするけどいい?」

ミヤコ「あ、はい」

カズサ「…私もあんたと同じで、仲間内で一人だけ『砂糖』を食べなかったんだ」

ミヤコ「!」

カズサ「私の場合は『砂糖』を食べたみんなに置いて行かれたんだけど、うん、仲間はずれにされて正直ムカついた」

ミヤコ「……」

カズサ「おまけに私の大好きだったものを壊していく態度を見て、私もカッとなって、気づいた時には大好きだったものを壊したのも一緒」

ミヤコ「それは…」

カズサ「あんたを見てるともしかしたら、私もあんたみたいな立場になってたのかもって思っちゃってさ。つい聞いたの」

ミヤコ「…そうだったんですね」

パンパカパーン!パンパカパーン!パンパカパーン!

カズサ「!?」

ミヤコ「休憩終了みたいですね。収録に戻りましょう」

カズサ「えっ!?今の休憩終わりのベルだったの!?」

ミヤコ「それでは先に失礼します」

カズサ「待って!」

ミヤコ「何でしょう?」

カズサ「小隊の皆と仲直りはできたの?」

ミヤコ「…」

カズサ「…」ゴクリ

ミヤコ「はい、丁度先日仲直りしました」ニコッ

カズサ「…なら良かった。収録に戻ろう」

ミヤコ「はい」

ウィーン


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