RABBIT Dumpling

RABBIT Dumpling


ミヤコ、ハスミ「「あっ」」

ミヤコ「……お久しぶりですねハスミさん。アビドス以来でしょうか」

ハスミ「……お久しぶりです」

ミヤコ、ハスミ「「……」」

ミヤコ、ハスミ「「……あの」」

ミヤコ、ハスミ「「……」」

ハスミ「…そちらからどうぞ」

ミヤコ「…では、早速言わせてもらいますけど…」

ハスミ「……はい」

ミヤコ「痩せましたか?」

ハスミ「……喧嘩売ってるんですか」

ミヤコ「いえ、明らかに痩せているようですから…」

ハスミ「…そうですね。あれから忙しさも相まって、甘い物には一切手を付けていませんから」

ミヤコ「そうですか…」

ハスミ「…そちらはまたうまく取り入ったようですね。アビドスの次はミレニアムとは、余程引っ掻き回す側に縁があるようですね」

ミヤコ「…喧嘩売ってるのはどっちですか」

ハスミ「…すみません。流石に言いすぎました」

ミヤコ「……」

ハスミ「……」

グゥゥゥ…

ハスミ「!?」

ミヤコ「…何か食べますか?」

ハスミ「ひ、必要ありま(グゥゥゥ…)…グゥゥゥ」

ミヤコ「…お腹の虫と同じような声を出さないでください。私が何か作ります」

ハスミ「…作れるんですか?」

ミヤコ「…作れなかったらミレニアムのキッチンを使う許可を貰えてません」

ハスミ「…でしたら、甘いもの以外をお願いします」

ミヤコ「了解です。RABBIT1、作業を開始します」

~十分後~

フツフツフツ…

ミヤコ、ハスミ「「……」」

ミヤコ「…正直に言いますと」

ハスミ「?」

ミヤコ「八つ当たりに近いものでした」

ハスミ「…」

ミヤコ「正義実現委員会…その名前の通り正義を名乗っていながら、『砂糖』の影響で正義に反した行動をするその姿に、苛立ちを覚えていました」

ハスミ「…そうですか」

ミヤコ「ですがそれは私たちも同じでした。SRTを名乗っていながらSRTに反した行動ばかりで、同じようなあなた達が自分の事のように思えて、イライラをハスミさん達にぶつけていたんです」

ハスミ「…迷惑な話ですね」

ミヤコ「全くです」

ハスミ「……私は単純にあなたが気に入りませんでした」

ミヤコ「…」

ハスミ「後からアビドスへ来たあなたがホシノさん達から気に入られてたこともそうですが、それが気に食わないといったあなたの態度も、何もかも嫌いでした。ある時からイライラした様子は鳴りを潜めましたが、ホシノさん直々に訓練を受けると聞いた時にはより一層嫌いになりました」

ミヤコ「…そうでしたか」

ハスミ「…あの日までは」

ミヤコ「?」

ハスミ「…実は一度だけ、あなたがホシノさんと訓練している様子を隠れて見たんです」

ミヤコ「!?…私が負けてるところを見られてたんですね」

ハスミ「…アレは勝ち負けというレベルではありません。災害です」

ミヤコ「…」

ハスミ「その時私は、あれがホシノさんに気に入られることだと悟りました。正直に言いますと、初めてあなたに同情しました」

ミヤコ「…苦労がわかってもらえて何よりです。…さて」

ハスミ「?」

ミヤコ「…出来ました。特製水餃子です。どうぞ」

ハスミ「…いただきます」

パクッ

ハスミ「!…美味しいです!鶏ガラと醬油ベースのスープとスープの味が染み込んだ水餃子がとてもマッチしています」

ミヤコ「ありがとうございます」

~数分後~

ハスミ「ごちそうさまでした」

ミヤコ「お粗末様でした。さて、私も食べるとしましょう」

ハスミ「…おや、2種類ありますけど…」

ミヤコ「はい。片方はハスミさんも食べた水餃子です。もう片方は黒砂糖餃子と呼ばれるものです」

ハスミ「黒…砂糖…」

ミヤコ「はい。デザート餃子とも呼ばれるものです。これがなかなか美味しいので、柴大将の店でも賄いとして作ってたんです」

ハスミ「……」

ミヤコ「いただきま「待ってください」…はい?」

ハスミ「……私にも作ってもらえませんか?」

ミヤコ「…あなた自分で甘いもの以外って言ってませんでしたか?」

ハスミ「…そのくらいの物なら誤差のはずです」

ミヤコ「…では」

~数分後~

ミヤコ「どうぞ」

パクッ

ハスミ「!!…なるほど、デザート餃子というだけあってこれはなかなか…」

ミヤコ「ちなみにそちら、中身は黒砂糖100%ですので食べすぎには気を付けてください」

ハスミ「…ところで」

ミヤコ「はい?」

ハスミ「砂糖を使うことを忌避していないんですね」

ミヤコ「砂糖と『アビドスの砂糖』は別の物です。ましてやこれは黒砂糖ですから間違えるはずもありません。まぁ『アビドスの砂糖』は最終決戦で消滅しましたしね。それに…」

ハスミ「それに…なんでしょう?」

ミヤコ「店の手伝いをしていた時に『アビドスの砂糖』の風評被害で苦しんだ話を聞いて、改めて別のものだと考えるようにしましたから」

ハスミ「…そうですか。では、そろそろお暇しますね」

ミヤコ「また来てくださいね」

ハスミ「…はい」

ミヤコ「それと…」

ハスミ「まだ何か?」

ミヤコ「贖罪は大事ですが、食事を忘れないようにしてくださいね。少なくとも窶れてるのが見てわかるぐらいの無茶はしないでください」

ハスミ「…気づきますか」

ミヤコ「少なくともダイエットの瘦せ方ではありませんから。たまにはチートデイを設けませんとかえって身体に毒ですよ」

ハスミ「…そうですね。では改めて正義実現委員会の方に戻ります。失礼しました」

タッタッタッ

ミヤコ「…さて、片付け…の前に改めて水餃子と黒砂糖餃子を食べましょう。人に言って自分が食べないわけにもいきませんからね」


ミヤコ「では、いただきます」


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