【R18】キッド×クレーン

【R18】キッド×クレーン


※キッドカーセッ●ス

※んでも重機が車なのかに関しては一切が謎のままだねぇ

※性描写あり

※大きさの概念を捨てるのだ

※捏造過多、何でも許せる人向け






この島には“主”がいる。と言っても人間ではない。

島の真ん中にある工事現場跡地の中央に、それはあった。高さ100mはゆうに超えるであろう大きなクローラークレーン、それが何も言わずに鎮座していた。

かつてこの島には「宇宙が目の前に見える世界一のタワーを作る」という一大プロジェクトがあり、それに伴って製造されこの島に運ばれたのがこのクレーンだった。だが経営難になったのか、人々が夢から醒めてしまったのか…原因は不明だがプロジェクトは途中で中止となり、工事も中途半端な状態で止められた。人も含めあらかたのものは引き上げたが、ここまで大きなクレーンを島から出すのにはあまりにも費用も手間もかかりすぎる。よって、クレーンはそのまま夢の跡地に残されることとなったのだ。気候の変動が少なく穏やかな代わりに植物や獣の生息も少なく乾いた土地であるこの島に立ち寄るものは今となってはあまりおらず、クレーンはただ長いワイヤーを垂らしながら島全体を見ていた。


ある時、その島に赤い髪と金属の片腕を持つ海賊が立ち寄った。その名はユースタス"キャプテン"キッド、億超えの懸賞金がかけられた凶悪な海賊だった。キッドは最初は立ち寄った島に人や食料等を補給出来る場所がないことに舌打ちしたが、先ほどもケンカを売って来た他の海賊を船ごと海に沈めてきたこともあって、休憩がてらこの島に少し滞在することにした。


キッドが目的もなく1人でぶらぶらと歩いていると、岩の後ろに開けた土地があった。もうすっかり霞んで見えなくなったプロジェクト名が掲げられた看板、閉ざされて人を寄せ付けない囲い、おそらく開発途中で放棄されたものだろう。だがそんなものよりも真っ先にキッドの目を引いたのは、中央からこちらを見つめる大きな大きなクレーンだった。キッドの何十倍もあるそれは、多少錆びてはいるものの堂々として静かにそこに佇んでいる。キッドは身体の奥から何かが上がってくるような気がして、侵入を拒む入り口を破壊して中へと入った。


中には当然人の気配はなく、かつては夢を背負っていたはずの資材や機械達が僅かに残されているだけだった。だがそんな小物には目もくれず、キッドは中央にいるクレーンの元へと向かっていく。ようやく辿り着いたそこに、錆び付いた赤と白と黄色で覆われた巨大なクレーンがキッドのことなどまるで気にもしていない様子で立っていた。キッドは思わず口角を上げて話しかける。

「なぁ、そんな図体して、一体どれほどデケェのを作り上げるつもりだったんだ?」

もちろんクレーンは答えない。キッドはそのまま足元へと移動する。キャラピラを踏んでそのまま乗り上げクレーンのアームの付け根あたりに手を触れる。見上げようとしたが、それの先は空の途中で消えているように見えて、1番上まで見ることは叶わなかった。

「…無念だったよな、テメェも。」

海賊王を目指す旅路の途中で夢破れて諦めたり、命を落とす海賊はいくらでもいる。だが、今側にいるコイツには夢を続けるとか諦めるとかいう選択肢すら存在しない。人の夢に散々振り回されて、挙げ句の果てには勝手に捨てられる。多少見た目は古くなっているが、ちょっと手入れしてやればまだ動くことは出来るだろうに。キッドはざらざらとした表面をなでながら、抑えつけていた身体の熱が全身から湧き上がろうとしているのを感じ、コートを脱ぎ捨てた。

「こんだけデカけりゃ、多少乱暴にされても大丈夫だろ?なァ?」


キッドは火の玉のような男だ。気に入らないものは容赦なくぶち壊し、自分の信念に従って思うままに突き進む。身体の奥で常に燃え盛るキッドの熱を受け止められる人は少ない。旅の途中、闘いの後などに昂りを鎮めるため歓楽街などへ出向くこともあるが、溢れ出るキッドの情欲の炎をそのままぶつければ大抵の相手は途中で壊れて使い物にならなくなるため、加減しなければならず結局いつも燻ったままの身体を持て余し続けていた。だが、コイツならーこの金属で出来た頑丈な車体なら、遠慮はいらないはずだ。キッドはクックッと笑いながら邪魔な布を次々とガラスで出来た乗車スペースに放り込んだ。辺りは段々と、暗くなっていた。


日が落ちて暗くなった人気のない囲いの中、金属がぶつかるような異様な音だけが辺りに響いている。

「ぐっ……あっ、はぁ…はぁ……‼︎」

アームの根本部分に膝立ちになったキッドは鉄筋を抱きしめ、欲望のままに腰を打ち付け続ける。組み上げられた鉄は既にキッドが何度も吐き出したもので汚れていた。再び上がってきた熱にキッドがグッと手に力を込めると、掴んだ部分は指の形に少し凹んだ。だがそれでも、アーム自体はほとんど揺れることはなく、涼しい顔で佇むだけ。キッドの顔から思わず笑みが溢れる。

「っ…ハハッ!!」

かつてここまでキッドの奥底にある熱を受け止めてくれるものなど存在しなかった。今までのヤワなヤツらとは違う、冷たくも熱く頑丈な車体。かつて人の夢を背負い続けたそれは、キッドの全てを焼き尽くすような燃え盛る魂でさえも揺らがない。キッドが思わずそれにキスをすると、苦い鉄の味が口に広がる。それを合図に、再び組まれた鉄の間には白い粘液が吐き出された。

キッドはギチギチと音を立ててそれを抱き締めると、顔をつけて囁いた。

「まだイケるじゃねェか、テメェも。」

夢を追いかける海賊と夢破れた巨大な鉄の夜はまだまだ長く続きそうだった。


次の日、予定通り出港したキッドは遠ざかる島の中心に白と赤のクレーンの先が覗いているのに気が付いた。来た時は雲が邪魔で見えなかったのだ。

「そりゃあ下からじゃ先なんて見えるはずねェよな。」

キッドは仲間たちにバレないように、珍しく控えめに手を振った。

海を進む海賊を、島の主はただいつものようにじっと見つめていた。


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