(R-18)分かっているのに
※キャラ崩壊、クロス注意
「…また聞こえてくる…」
深夜2時を回る頃、加茂辰巳は目を覚ます。というのも、毎日この時間になると壁の向こうが騒がしくなるのだ。耳を澄ませると聞こえてくる…
『ま゛っ♡ま゛って♡や゛っ♡や゛め゛っ♡お゛っお゛お゛ぉ〜〜っ♡』
ぐちゃぐちゃという水音。ギシギシと激しく軋むベッドの響き。そして、野太く艶のある嬌声。これら全て、隣の部屋から聞こえてくる音だ。高専の寮の壁は思ったより薄い…大音量なら互いが見ているテレビ番組が分かるほどだ。まして皆が寝静まった深夜ならなおさら…ほどほどの音量でも何をしているのかは隣部屋に筒抜けになってしまう。
辰巳の隣部屋に住んでいるのは名無佐代…辰巳の同級生で1級術師をしている。高い実力に反して普段の態度は陰キャそのもの、ビクビクとしていて自信も無さ気である。それでも人一倍、いや二、三倍の優しさがあり、誰かを助けるためには全力を尽くす…いわゆる善人だった。彼女ほどでは無いが根暗であり、自己評価の低い辰巳は彼女に親近感と密かな憧れを持っていた。彼女と仲良くなりたいとも思い、勇気を出して声をかけてみたこともある。その甲斐あって、今は友達として良好な関係を築いている。大人しい者同士馬が合ったのもあるのだろう。佐代といる間、辰巳は騒がしい術師としての生活を忘れ、穏やかに時を過ごすことができた。物静かで優しい彼女の側が心地良かった。
それ故に、このような事態は辰巳にとって想定外の出来事だった。まさか、大人しい佐代がこんなに大声で喘ぐとは。確かに自慰行為自体は誰もがするもの。辰巳自身も術式の影響で男になる前…つまり女だった頃に何度かしたことがある。しかし、それは性欲を発散するための事務的なもの。声を殺し、淡々と秘部を弄り、果てる…それだけのものだった。それだけのはずだったのに。
「うぅ…アソコが痛い…。また大きくなってる…」
かつては自分に備わっていなかった器官…男根が苦し気にその存在を主張し、ズボンに屋根を張る。男になりたての頃はなんてことない、ただの排泄器官だった。しかし佐代の自慰が聞こえてくるようになってから、辰巳は男性の性欲と生理機能の恐ろしさを知ることになった。ムラムラとした気持ちが湧き上がり、それを発散すること以外の思考が吹き飛んでしまう。一度勃ってしまえば収めるのは中々難しい。なんだか自分が自分で無いような気さえしてくる。
『んお゛っ!お゛お゛お゛ぉっ!!しょこだめっ!ぎも゛ぢいぃ〜っ!!』
ぐちゅぐちゅという音はいつの間にかぶぽっ、ぶぽっという汚らしい音に変わっていた。元女である辰巳には分かる…とんでもない大きさのものが出入りしていると。一瞬その光景を想像してしまい、また怒張が激しくなる。
「くっ…!もっと声、抑えてよ…!毎晩眠れないんだよ…っ!」
たまらずズボンを下ろす。ぶるんっ!と勢いよく辰巳の男根が姿を現す。既に限界まで張り詰めており、先からはトロトロと汁が溢れる。根本の二つの玉もパンパンに膨らみ、彼の性欲の大きさを主張していた。
「ふーっ、ふーっ…!うっ、くぅっ…!」
ゆっくりと擦り始める。手を動かす度にビクビクと体が反応してしまう。この感覚には、未だに慣れない。男性式の自慰を覚えたのはつい最近のこと。性欲発散のためにインターネットで漁って方法を調べた。多分佐代が使っているであろういわゆる『玩具』までは手を出していないが、いずれ購入するかもしれない。それほど自慰のペースは早まってきている。
(どれもこれも全部、佐代さんのせいだ…!毎晩毎晩、大きな声で…!!)
擦る速度が上がっていく。汁が手に纏わりつき、ぐちゃぐちゃと粘つく音を立て始める。思わず腰が動き、ベッドが軋む。まるで隣人のようだが、今の辰巳にそんな思考は存在しない。今はただ、この悶々とした気持ちを吐き出したいだけなのだ。
『ん゛ん゛ん゛!!お゛お゛ぉぉぉ!!
い゛ぐぅ!い゛っぢゃうぅぅぅ!!!』
向こうも激しさを増し、音も一層大きくなる。濁点混じりの悲鳴とぶじゅるっ、ぼじゅっという泡立った水音が恐ろしいハーモニーを奏でる。心無しか、淫臭まで壁越しに漏れてきているようだ。
(気持ちいい…気持ちいい…!!男の体って凄い…!!止まらない、いけないことなのに、分かってるのに…!!)
加茂家にいた頃にこんなことをしていたら「はしたない」と折檻を受けただろう。そんな背徳感も動きに拍車をかける。高まる射精感。男根は痛いほどに膨らみ、精子を吐き出そうと口はパクパクと動き出す。
「出る…っ!出ちゃう…っ!!」
『い゛ぎゅぅ!い゛っぢゃうよぉぉぉ!!んお゛ぉぉっ!!』
壁越しに2人の絶頂が重なろうとしている。刹那、辰巳の脳裏に浮かぶ光景…一切を纏わぬ姿の佐代、秘部に突き刺さるのは玩具ではなく、自分の怒張。互いに汗だくになりながら、目が合う。
『〜〜〜っ!!!』
「!!んくっ…!!んゔゔぅぅぅっ!!」
互いに必死に声を殺して果てた。我慢しなければ2人の声は高専中に響いていたであろう。
ぶびゅっ、ぶびゅびゅっ、びゅるっ…
腰を振るわせながら、大量の精を吐き出す。あまりの快感に辰巳は一瞬気を失いかけた。この快感にもまだ慣れない…魂が抜けるような感覚がする。飛び散った精は床に、壁にべちゃりと張り付く。部屋中に青臭い匂いが充満した。
「はーっ、はーっ、はーっ…うわ…めちゃくちゃ出た…」
ようやく我に帰った辰巳はムクリと起き上がる。男根はまだ半分硬さを失っていない。ベッドに張り付いた精子に触れる。べたりとしたそれを何の気なしに口に運んだ。
「うぇ…不っ味い…。女だったらこんなの口に入れなきゃいけなかったのか…」
隣人は気絶してしまったのか隣部屋からは何も聞こえない。まるで何事も無かったかのように静まり返っている。
普段なら辰巳もここで後始末をして眠りにつくところだが、今日は違った。まだ足りない。もっとしたい。そんな気持ちが沸々と生まれてきた。ベッドに寝転がり、半勃ちのそれをまた動かす。出した精子も合わさりぐちゅぐちゅと泡立つような音が出る。すぐにそれは硬度を取り戻し、再び射精感が込み上げる。
「うっ、うぅっ…!佐代さん…佐代、さん…!!」
最低だと分かっていても、友人の名を呼んでしまう。裸体を想像し、自分の怒張をそれに捩じ込む。彼女の嬌声を何度も脳内でリピートし、普段の姿と並べる。ふと、いつもの彼女の笑顔が…
「!!んぐぅっ!!んんん!!」
びゅるっ、びゅっ、ぴゅっ…
さっきよりは量が少ないがまた精を吐き出した。全身汗だくで荒い息を吐く。どうしようもない快感とそれに続く脱力感…そして罪悪感。大切な友人で自慰をしてしまった…優しい彼女を、尊敬する彼女を、快楽の為に穢してしまった。
「はぁ、はぁ…最悪。佐代さんを…。最低だな…僕って。友達失格だよ…」
片付けてシャワーを浴びようとしたが体が思うように動かない。そのまま辰巳の意識は泥のように沈んでいった。
「はぁ〜…怠い…」
翌日、朝早くから後始末を済ませて辰巳は登校する。あの後放置しておいたせいで掃除が大変だったのだ。加えて昨晩の自慰のせいで体力が削られている。そのせいだろうか、特に何もない所でつまづいてしまった。
「わっ…!」
「あ、危ないっ!」
転倒する直前、誰かによって引き戻された。見ると、そこには佐代の姿が。
「あ、さ、佐代さん。おはよう。ありがとう、助けてくれて…」
「い、いえいえ!たまたま目に入って、咄嗟に動いただけで…!辰巳くん、寝不足?」
「あ、はは…うん、昨日、ちょっとね…」
「奇遇だね、わたしもちょっと寝不足で…ふぁぁ…」
いつもの調子で接する佐代。だが辰巳はそうはできなかった。何せ彼女の秘密を知っているのだ。悪いことだと思いながら、ついつい彼女の髪、首筋、胸元、腰…と目で追ってしまう。
「?どうしたの?」
「!ううん、なんでもない。そろそろ授業始まるし、急ごう」
「うん」
駆け出す佐代。髪から香る甘い匂いにドキッとしてしまう自分がいる。辰巳は必死に帳の呪詞を唱えながら欲望を抑えた。
(はぁ…男の体って面倒だなぁ…)
佐代自身は自分の行為が筒抜けであることを知らない。辰巳の悶々とした日々はまだまだ続きそうだ。