Portrait of a boy.

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その日、今年のグリフィンドールの7年生達の中心人物と言っていい双子のフレッドとジョージ・ウィーズリーは、今年度初めての「闇の魔術に対する防衛術」の授業に同級生達と共に臨んでいた。

「さ、こんにちは。グリフィンドールの7年生諸君。僕が今年君たちに闇の魔法使いとかそれ以外の危ない奴とかから身を守る方法を教える先生だよ。と言っても君たちは7年生だから、だいたいのことは既に学び終えている事と思う。だからまずは君たちが今、どのくらいできるのかを僕に見せてもらおうと思ってる」

そう言って丁寧に一礼した年季を感じさせる古びたスリザリンの制服姿の青年を、広い教室に集まったグリフィンドールの7年生達は好奇心に満ちた目で見つめていた。

先日の「組分け」の儀式と新任教授紹介の場であろうことかダンブルドア校長のお話に割り込んで喋り始める、という前代未聞の無礼を働いて前人未到の速度でホグワーツ中を敵に回したドローレス・アンブリッジの不愉快な演説に割り込み「闇の魔術に対する防衛術」の教師の座を全ての教師と生徒の前であっという間に掠め取ったのがこの青年であり、直前までスリザリンの1年生に紛れていたのに誰にも気付かれなかった事と、その時と今で見た目の年齢も性別もまるで別人になっている事、そしてなによりあのダンブルドア校長の学生時代の「先輩」らしいという噂が早くも広まっており、「どんな授業をするのか」という興味がそれまでの新任教師に対するものより圧倒的に大きくなっていたのだった。

「とりあえずコレをここに…………」と言いながら背後の壁に、足元の旅行かばんから取り出した、服装からしていつかのグリフィンドール生らしき小柄でまんまるほっぺの男の子の肖像画を飾ったその「新任の先生」に、アンジェリーナ・ジョンソンが皆が気になった事を訊く。

「それは誰の肖像画ですか先生?」

「これはアルバスの肖像画だよ」と答えたスリザリンの制服姿の青年は、しかし皆に伝わっていない事に気づいて表現を変える。

「ホグワーツの1年生の頃のダンブルドア校長さ」

グリフィンドールの7年生達の好奇心が爆発し、一気に教室中が騒ぎ始める。

「たぶん今そちらの僕は校長室で『勘弁してくれ』って思ってますよ先輩」

額縁の中のダンブルドア少年がそう言ったが、その声がとてもかわいかったのでグリフィンドールの7年生達はますますざわざわがやがやし始めた。

そして「パン!」と手を叩いて皆の注目を再び自分に集中させたその青年が満を持して授業を開始する。

「もう1度言うよ。今君たちがどのくらいやれるのかを見たい。リー・ジョーダン、フレッド・ウィーズリー、ジョージ・ウィーズリー。前に。他の皆は壁際に。3人とも杖を出して!僕と勝負しよう。他の皆も杖を出して、的をそれて自分のところに飛んで来た呪文は自分でなんとかするように!」

生徒たちが湧き、指名された3人を囃し立てて激励する。

「3対1?いくら先生がすごくても、俺達7年生だぜ?」

フレッドとジョージのどちらかが杖を取り出しながら不敵に笑った。

「3対1でも負けないと思うけど、今回は違うよ。―ピーブズ!いるかい!!」

青年のその声に応じて、悪名高いポルターガイストが壁をすり抜けて姿を現す。

「呼ばれて飛び出て、ジャジャジャジャーン…………おう元気してたか変態!!」

ピーブズと青年はハイタッチしてほぼ100年振りの再会を喜び合い、そして2人揃って生徒たちの方に向き直った。

「「さ、やろうか?」」

青年のその宣言で教室中のワクワクは最高潮となり、指名された3人は高揚と少しの緊張を抱いて前に進み出た。

「一応言っておくけど、この授業は『闇の魔術に対する防衛術』だ。いいかい?闇の魔術から自分や友達を守んなきゃなんない時、本当に本物の危険が迫ってる時に、どんな手段を取ったって僕は咎めない。それはこの授業中でも同じ。いいね?」

そして全員が杖を構えて「準備完了」の顔になったところで、額縁の中の小さなダンブルドア少年が宣言する。

「始め!」

フレッドとジョージ、そしてリー・ジョーダンはその声と同時に動いた。

「ロコモーター・ウィブリー(くらげ足)!」

「フラグランテ(赤熱)!」

「ブラキアビンド(腕縛り)!」

青年はフレッドとジョージが正確な狙いで放った「くらげ足の呪い」と杖を狙った「火傷呪文」を素早く躱し、ピーブズもリー・ジョーダンの拘束呪文を避ける。

「狙いが正確だね3人とも!」と青年がなおも次々飛んでくる呪詛を尽く躱しながら褒める。そしてピーブズが青年の旅行かばんの中から取り出した「フィリバスターの長々花火」に青年が速やかに杖で着火し、それをピーブズが投げつける。

「おいそれアリかよ!アグアメンティ!」

リー・ジョーダンは大急ぎで花火に水をかけるが、世のイタズラっ子御用達の悪名高き「フィリバスター」は当然のように耐水性だった。

「ヴェラベルト!」

フレッドがそこに呪文を命中させ、暴れ回らんとする花火を小さな杯に変える。

「まずお前だピーブズ!インペディメンタ!」

ジョージの妨害呪文が命中したピーブズの動きが急激に鈍くなるがそれでも、よく観察すれば僅かに動いていることがわかるくらいの速度でジョージに迫り纏わりつこうとしている。

「大丈夫かいピーブズ」

青年は3人が飛ばしてくる呪文を次々躱しつつピーブズに杖を向けて「妨害」から開放し、続いてリー・ジョーダンに杖を向ける。

「プロテゴ(エクスペリアームス)!」

口では盾の呪文を唱えつつ杖は武装解除術の形に振って無言でエクスペリアームスを放ってみせた青年の器用なフェイントにリー・ジョーダンはまんまと引っかかり、杖を飛ばされた。そして青年はフレッドとジョージをピーブズが煩わせているのを目の端で確認し、武装解除されたリー・ジョーダンに冷酷な表情を作って杖を向ける。

しかしそこに「フリペンド!」という鋭い声が響き、青年めがけた呪詛が横から飛来し、青年は杖を振って防ぐ。そしてその出処を確認した青年は一気に笑顔になった。

「それでいいんだアリシア・スピネット!グリフィンドールに5点!」

そして青年はフレッドとジョージ、リー・ジョーダンに問いかける。

「3人ともとてもいい!杖の振り方が正確だし、お互いの状況をよく見て可能な限り助け合ってる。フレッドとジョージは本当に息ピッタリなんだね!そしてリー・ジョーダン!君も素晴らしい反射神経だ!…………だけど3人とも、なんで杖しか使わないんだい?言っただろう?『どんな手段を選んだって咎めない』って。ポケットの中とか襟の裏とかに色々隠してるだろう?杖を振って呪文を唱えるのは片手でやるだろう?なんで空いてるほうの手で色々しないんだい?」

目から鱗が落ちている3人をよそに、壁際で観戦しているその他の生徒にも青年は語りかける。

「さっきのミス・スピネットの咄嗟の振る舞いはとてもよかった!皆ここまで見ててどう思った?3人は僕に勝てそうかい?友達だろう?助けなくていいのかい………?良いかい皆。実戦じゃ対戦相手が決まってるなんてことはない。ただ成り行きで目の前の奴の相手をする。向こうで戦ってる友達が厳しそうなら助けに行く」

青年はグリフィンドールの7年生一人ひとりを見つめる。

「自分が厳しいなら助けを呼ぶ。それでも無理そうなら逃げる。何したって良い。生き残った方の勝ちだ。君たちを殺そうとしている相手に襲われた後もまだ皆生きてたらそれは勝利なんだ。友達がやられそうで自分に余裕があるなら、横槍を入れろ」

「ちょっと言動がズルくないです先輩?」と額縁の中のダンブルドア少年が言うが、それに青年は「ズルくたってなんだって守りたいものを守れればいいの」と笑う。

そして授業はグリフィンドールの7年生全員VS青年とピーブズという構図に変わり、フレッドとジョージ、リー・ジョーダンが他の生徒に指示を飛ばし、他の生徒もそれに従い、お互いを助け、庇い、息を合わせて呪詛を放ちながら、尚も戦況は一方的に青年とピーブズが有利だった。

「うおえ…………何くらったの私………あたま痛………寒……」

「たぶん『感冒の呪い』だそれ。酷い風邪っぴき状態にするやつだ。ほらコレ食え。一発で良くなる………あ、あっちヤバい。プロテゴ!」

青年が放った呪詛を防ぎそこねてダウンしかかっているアンジェリーナ・ジョンソンに、ジョージは自社製品「ズル休みスナックボックス」の内のひとつであるトローチの右半分を渡している。そしてその2人を周囲の生徒が庇うように立って青年と交戦を続ける。

「ファーナンキュラス!くそ、当たりゃしねえ!」

「『鼻呪い』は当たったところで………うわ!マンドレイク!シレンシオ!」

そして約半分の生徒たちはピーブズの相手に専念し、もう半分の生徒が青年と戦うという状態ができあがった頃、フレッドとジョージは先程受けた「なんで空いてる方の手で色々しないんだい?」というアドバイスを急速に飲み込みつつあった。

「いまの呪いはいいよ!それけっこう難しい呪文なのにやるねアリシア君!」

「ペトリフィカス・トタルス!」

リー・ジョーダンの「全身金縛り」は見事に青年に命中し、一瞬歓声が上がるが

「フィニート!」

青年がそれを自力で解除したのを見てアンジェリーナが「ウソだろ?!」と驚く。

「あ、出た。先輩のマネできないやつ」

額縁の中のダンブルドア少年は楽しそうにソファから身を乗り出している。

「先生、飴をどうぞ!……インカーセラス!」

ジョージがさっきアンジェリーナに渡したトローチのもう半分を青年に投げ渡し、青年がそれを受け取った瞬間にもう片方の手に持った杖で呪詛を放った。

「わあありがとウッ!!」

片手で飴を受け取り片手で飛んできた縄を撃ち落とした青年の両手が塞がっているその瞬間にフレッドが狙いすました呪詛を放つが、それを青年は飛び退いて避ける。

「いただきます!!わぁあああナニコレ…………」

ジョージに渡された半分の飴をためらいなく食べた青年は一気にひどい風邪の症状に襲われる。

「食べ物に関する先輩のその警戒心のなさはホントになんなんですか」

それを見て額縁の中のダンブルドア少年は呆れていた。

「わー、わあーー………すごいねえコレ。君たちが作ったのかい?」

そう言いながら片手で杖を振り飛来する呪詛を防ぎつつ青年は小さな瓶を取り出し、中身を一気に飲み干した。そしてその空の小瓶を投げ上げる。

「ジェミニオ!」

青年が唱えた「双子呪文」が命中した小瓶はカランカランと音を立てながらどんどんその数を増やしていく。それが止まる様子がないのを見て、フレッドとジョージは「マズイなこりゃ」「ああ、かなりな」と一瞬お互いの目を見て、同時に唱える。

「「エバネスコ!」」

フレッドとジョージの行動を見て他の生徒も同じように、増え続ける小瓶に対して「消失呪文」を連発し始める。しかし全体で見ると小瓶が増える速度の方が少し早く、徐々に床が大量の小瓶で埋まっていく。

「みんなでバラバラにやっててもだめだ、同時にやろう!『せーの』で一緒に!」

アリシア・スピネットのその提案を皆が無言で受け入れ、双子が合図を出す。

「「せーの!」」

「「「「「「エバネスコ!!!!」」」」」

皆で同時に唱えた消失呪文によって床を埋めつつあった増殖する小瓶は消え去る。

「おおーーー。今のは結構壮観だったぜぇー?」

そう言ったピーブズはいつの間にやら紅茶片手に傍観を決め込んでいた。

「みなさん、先輩をほっといていいんですか?」

額縁の中のダンブルドア少年にそう声をかけられて、フレッドとジョージがハッとし青年が居た方を見るが、そこには誰もいなかった。

「は、どこに……………??!!!!!」

フレッドは青年を探そうとして辺りを見回し、視界に飛び込んできた光景に動転した。ジョージが2人並んでいる。

「エヴァーテ・スタティム!!」

しかし一切の迷いなく向かって左側の方のジョージに呪詛を放ったフレッドと、それによって隣を見た事で状況を理解した本物のジョージもまた、身を躱した偽物のジョージに杖を向ける。

「レベリオ!」

わかりきっていた正体を暴かれた青年は一切悪びれること無くフレッドに訊く。

「どうやって見分けたんだい?杖の見た目だって予備の杖で『変身』させてたのに」

フレッドもジョージも呪詛を放って応戦しながらそれに答える。

「俺達になりすまして俺達を騙そうなんて」「それだけはダンブルドアでも無理さ」

そう言いながら笑ったフレッドとジョージの向こうから、リー・ジョーダンが青年に杖を向けていた。

「ヴォラーテ・アセンデリ!」

「プロテゴ!」

呪詛が自分に到達する瞬間に青年が唱えた盾の呪文が引き起こした衝撃によって、フレッドとジョージとリー・ジョーダンは3人まとめてふっ飛ばされる。そして。

「エクスペリアームス!インカーセラス!フリペンド!リクタスセンプラ!ミューカス・エノージアム!デパルソ!ルーモス・ソレム!」

怒涛の如く放たれる呪文はグリフィンドールの7年生たちに正確に命中していき、最後の「太陽光呪文」によって全員が目をくらまされる。

「あ、何?!」「えウソ」「ちょっとまって」「何、誰、かえせ!」

次から次へと生徒たちの杖が勝手に手を離れて逃げて行くが、自分達の番が来るより先に何かを察したらしいフレッドとジョージが同時に、勝手に逃げるリー・ジョーダンの杖のすぐそばの、何もないように見える空中に呪文を放った。

「「レベリオ!」」

「…………デミガイズ!」

現れた大きな目のサルのような白い毛並みの生き物を見てアンジェリーナが叫ぶ。そしてデミガイズが取った分の杖を全て青年に渡したところで額縁の中のダンブルドアが「そこまで!」と叫んで戦闘終了となった。

その後は青年が生徒たちにかけた呪文を解き、青年とデミガイズが一人ひとりに丁寧に杖を返した後、皆の敢闘を称えた青年がグリフィンドールに10点を、そして「特に良かった」としてフレッドとジョージに20点を与え、1人ひとりの戦いぶりの良いところ悪いところを講評した。

「質問を受け付けるよ」と青年は言う。「気になってる事があるんだろう?」

「先生、その『ダンブルドア校長がホグワーツ1年生のときの肖像画』ってどういう経緯で描かれたんです?年老いていないダンブルドア校長を見るのなんて初めてです」

アリシア・スピネットのその質問を受けて、青年は「言うより見せたほうが早いね」と言って自分の頭に杖を向けた。

「さ、みんな。今のミス・スピネットの質問が気になるなら僕の目をよく見るんだ」

そう前置きした青年は自分の頭に杖を当てたまま、気軽に呪文を唱える。

「レジリメンス。」

青年が己自身に行使した開心術によって、その学生時代の思い出が生徒たちの脳内に一斉投下されていった。


「この子で最後。さ、次は寝室を片付けてほしいな!」

ハッフルパフの談話室で最後のフーパーを女生徒に引き渡したポピー・スウィーティングが強い口調で事態収拾を要請した。この女生徒が昨日引き起こした大混乱の後片付けも、大放出してしまった魔法生物達の再収容もまだまだ終わっていなかった。

そして当の女生徒は、全く違う話をポピーに振る。

「ねえ、あの壁のでっかい肖像画ってさ、ヘルガ・ハッフルパフ?」

「そうだけど、何?急に」

「…………………僕もほしい」

女生徒のその発言を聞いた周りの友人達や1年生達は困惑するが、ダンブルドア少年は女生徒の言わんとしている事を察していた。

「誰の肖像画がほしいんですか先輩?」

ダンブルドア少年はクスクス笑いながら訊ねる。

「みんなの。セバスチャンとか、オミニスとか、イメルダとかリアンダーとかアミットとかポピーとかナッちゃんとかギャレスとかハッフルパフのこの子とお姉ちゃんとかアルバスとかアンとかレストレンジとか、皆、みんなの!!」

「無茶言いますね先輩」と笑うダンブルドア少年の横から、少し背の高いロングボトム君がおずおずと口を開く。

「できます。できる、と思います。僕のじいちゃんの友達が肖像画専門の画家で、じいちゃんが親戚が結婚したり子供が生まれたりするたびに依頼してるから、じいちゃんに手紙で事情を知らせればその人に話を通してくれると思う。もちろん代金は用意しなきゃいけないと思うけど」

その発言を受けて、女生徒は喜びを即刻行動で表した。

「ロングボトム君!!!!!!!大好き!!」

そう叫んでロングボトム少年に飛びついて抱きしめた女生徒にイメルダが提案する。

「みんなの肖像画がほしいったってそんないっぱい描いてもらうのは依頼費も嵩むし、いっそアンタも含めたみんなで集合してるところを1枚の大きめの肖像画にしてもらうのはどうだい?誰かのじゃなく『私らの肖像画』を描いてもらうの」

依頼することが決定済かのようにわいわい盛り上がり始めた友人達に、ポピーが大きめの声を出して釘を刺す。

「寮の寝室に居る子たちを、回収してほしいんだけど???」


「ん?それでなんでダンブルドア校長の肖像画だけここにあるんですか?」

リー・ジョーダンが青年に訊く。それはグリフィンドールの7年生皆の疑問だった。

「これ実はアルバスの肖像画じゃなくて『背景だけの空き肖像画』なんだよね。出張用なんだ。で、こっちがその『みんなの肖像画』」

旅行かばんの中から青年が取り出したのは、青年の体がまるまる隠れるほどの大きな絵だった。同時に後ろの壁の肖像画のダンブルドア少年が額縁の向こうに移動する。

「これ僕の宝物なんだ」

その大きな額縁の中に描かれた屋外らしきパーティー会場には、スリザリンの制服を着た生徒達も、グリフィンドールの制服を着た燃えるような赤毛の青年も、レイブンクローの制服を着た聡明そうな青年も、ハッフルパフの制服を着てパフスケインを抱えた女子も、ふわふわな髪の姉妹なのだろうハッフルパフ生2人も、他にも何人もの生徒が、真ん中で心底幸せそうにしているパジャマ姿の女生徒の周りに大集合していた。寮も学年も違う皆がとても楽しそうにお互いを抱き寄せあって笑っている。

そこに額縁の端から小さなダンブルドア少年が現れ、パジャマ姿の女生徒のすぐ前に収まって両肩に背後から女生徒が手を置くのを笑顔で受け入れ、そのまま後ろにもたれて女生徒に体重を預けた。

そこにいる全員から溢れる幸せが見ている者にも分け与えられそうな絵画だった。

それは100年以上も前の遠い思い出だったが、確かにそこにあった。




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