Plunder before Christmas さん

Plunder before Christmas さん

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「ルールがよくわからないけれど、あなた全部の駒でいっぺんに攻めるのはやめたほうがいいんじゃないかしら?」

ミラベル先生が自分の膝の上に座っている女生徒に声をかけた。その女生徒は真剣な表情で盤上の自陣に指示を出している。

「むいー!むいいーーー!てったい!ポーランド領内まで撤退!」

考えなしの大量突撃でポーンを消費しただけに終わった女生徒の攻勢の尻拭いをするのは、ハッフルパフの1年生である女の子を膝の上にのせた、その父親であるマグルの男性だった。

「髭の長いナイトの隊長さん、そうアナタ!ポーン大隊率いて前進。そこのルークを取り返そう。それとR6aに居るビショップ隊はキツイけどそのまま守って!向こうは川を越えてくる分守ってるこっちの方が有利だから」

女の子のお父さんが手際よく駒に指示を飛ばして防衛線の穴を埋める中、イギリスを操作するオミニスは強襲上陸を試みていた。

「よーしリガの港を確保……………あ、ダメだアッティラさん本人が来てるね撤収」

女生徒が友人と作ったこの「魔法使いとマグルのチェス」は、駒を手で持って動かすもしくは駒に直接指示をすることさえできればいいので、魔法族でなくとも問題なくプレイできるのだった。

「これ、チェスかしら?」

ミラベル先生が、そのゲームを初めて目撃したものが必ず抱く疑問を口にするすぐ隣で、ハッフルパフの4年生の女子とギャレス、そしてスリザリンのマルフォイが魔法生物図鑑を眺めている。彼らのみならず皆が皆思い思いに過ごしながら同時に食事もしていたが、行儀が悪いと咎めるものはそこには居ない。ホグワーツの教師であるミラベル・ガーリックもマチルダ・ウィーズリーも、みんなと同じく気楽に振る舞っていた。

「この、『クィンタペット』の伝説って本当なんでしょうか」

ハッフルパフの4年生の女子が挿絵の中で吠えている怪物を指さして訊く。

「『毛むくじゃらのマクブーン』か。魔法省は事実だと考えているようだが、証拠が無い。クィンタペットを直接調べようにも、全てのクィンタペットはめちゃくちゃに凶暴で、その上だいたいの呪文をはじくらしい。つまり、調査のしようが無い」

4年生の女子とギャレスの分もマフィンを持ってきたマルフォイが説明する。

「ドラゴン、マンティコア、バジリスク。魔法省の役人はクィンタペットについて、そのへんと同列だと考えている。つまり『最も危険な部類』だ。魔法生物規制管理課は、危険度を分類して公表したいと考えているが、まだ草案を議論している段階だ」

そう付け足したウィーズリーの親戚のおじさんは、ソロモン叔父さんや他の数人と共に早くもバタービールを飲み始めている。

「アンタこれ着てみなレストレンジの嬢ちゃん」

ウィーズリー家最年長のおばあさんが、ものすごい美人のスリザリン生レストレンジにやたらめったら煽情的なドレスを勧めている。

「えっあっ、え!?いやー、このデザインは流石に…布少な……スリット深……」

「私も見てみたいから着なレストレンジ。アンタが似合わないわけないんだから」

「そ、そうかな……」

イメルダもおばあさんと一緒になって、戸惑うレストレンジに着用を勧め、レストレンジは流されつつあった。

「アバーフォース君、マフィン食べるかい?」

 セバスチャンとアンはダンブルドア家と交流を試みている。

「ダンブルド、ああいやアルバス君。え、?!!アルバス君?!」

ちょっと目を離した隙に大ジョッキのバタービールを一気にいったアルバス・ダンブルドア少年を見てアン・サロウが目を丸くした。


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