Please give up on me
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・天竜人事件回避ifでギャグでキャラ崩壊あります
小さな弟の大きな夢を私はずっと応援してきたがこればかりには困ってしまった。確かに、
「クロが夢を叶える瞬間に立ち会えたら嬉しいなあ」
と言った時に言われた「一番近くにいるだろ」という発言は疑問を持たなければいけなかったかもしれないのだがちょっとこの未来を予想しようにも無理がないだろうか。
「アニキも一緒に海賊になるんだろ!」
と全く疑うことなく目を輝かせるクロに私はなるべく優しい言葉を選びながらこれからまだまだ成長するだろう頭を撫でた。
「⋯⋯⋯⋯という事で今回もアニキを誘い込む作戦は失敗し最終的に仕事に逃げられてしまったので反省会を行う」
「クロちゃんこれマジで毎回行うのか? このペースだと半年で100回越えちまうぞ」
クロコダイルに付き合わされてバギーとミホークが円卓につきその他のメンバーは相変わらず好き勝手過ごすこの不毛な会議が開催されたのはもう片手の数では足りなくなっていた。
「大体ガキの頃から誘ってて同じ答えしか出ないんじゃ何度やっても変わらないだろ」
「誘ってるのおれだぞ?」
「まずその謎の自信捨ててくれよ事実断ってるだろアニキさんはよぉ!」
昔はそれなりの強さで噂にもなっていたらしいが今は普通のパタンナーとして過ごしている身内を引っ張りこもうという気持ちがさっぱり理解できないバギーには諦めろという提案しかないがそれは既に第一回で棄却されている。
「たまにお土産持って来てくれるだけで我慢しようや」
「立ち寄ってくるのはギルドに入るタイミング掴む為の口実に決まってるだろ。なにを見てたんだてめぇは?」
「そっちにはどんな世界見えてんだ? 実は毎回寝てたのか?」
「大体アニキの強さでどこにも所属していない今の方が不自然だろうが。おれの見てない時にスカウトされてると思うと不愉快だ」
「されてないって言ってたぞ」
「アニキの言うことは一切信用するな。スカウトに来た奴を海軍につき出してその金でケーキと新作生地買う男だ」
そういうところが海賊向いてないから誘っても断るんだろ。というバギーの意見は無視された。
「アニキはおれの頼みなら断らないから誰かに妙な事を吹き込まれた可能性が高い⋯⋯そいつを探るのを同時に進めておけ」
「どの方向だよそっちは一生出れないジャングルしかねぇよ⋯⋯そもそもどのくらいの強さか教えてもらえねぇか。流石に元七武海とまではいかねぇだろうが」
「? 一番強いが?」
「あ、あんなこと言ってる!!!!!」
「ほう⋯⋯」
「ほら今まで一切関わりを持たないで無言で本読んでた鷹の目が興味出てちょっと前のめりになっちまっただろ!! ハデに盛るのは止めろ!!」
「ならば万国のシャーロットなら?」
「余裕だ。アニキもお菓子好きだしな」
「実の兄にあんまり重いもの背負わせんなよ」
「ならば四皇の一角だったカイドウはどうだ」
「アニキはビーム出せるからな⋯⋯」
「てめぇ非能力者だって言ってただろうが! あっすみませんてめぇとか言ってないです。でもビームは無理だと思います」
「昔本人から聞いた確かな情報だ」
「一切信用するなってクロちゃんさっき自分で」
「バギー⋯⋯貴様アニキが一度でもビームは出せないと聞いたことがあるか? おれが出せると言ったら出るんだよ」
「だから断られてんじゃねえか? 兄としてこんなバケモノ産み出した責任とってくれねぇかな」
「赤髪は?」
「三日あれば」
「⋯⋯そうか」
「なんでそこまでのってたくせに急に冷めんだよ鷹の目。あの野郎に関しての判定だとなんで厳しめなんだよ読書に戻んな一緒に巻き込まれて困れや」
「次はこの和菓子屋開店無料券でここに連れてくる。作戦を立て直すぞ」
「毎回そんなやっすいエサに釣られるようなのがマジに使えるか疑問なんだが。海賊になる理由が無料券になっちまう男とか強くてもいやだぞ」
「海賊になるのはおれがガキの頃から決まってんだよ」
「ガキの頃からフザけたやり取り続けてんのかどっちか早く折れやがれ」
予想のつく未来に早くも憂鬱になり「とりあえず兄貴のスカウト後回しにしねェか?」という第2回で棄却された提案は再度ゴミ箱にぶちこまれ不毛な会議は来週すぐに開かれる事になるのだった。