Part11>>24>>26>>27>>28>>29>>30
「T・ボーン大佐〜、逃亡中の二人はまだ見つからないのか〜い?」
「は!!未だ捜索中であります!!!」
「我々にとっても胸が痛くなるけど〜、彼らの方が追い詰められてるからね〜、そろそろ痕跡の一つ二つ出てきてもおかしくないよ〜、T・ボーン大佐は持ち場に戻って指示待機ね〜」
海軍本部の一室、大将黄猿の執務室では海軍史上初の天竜人に対する反逆罪を犯した二人に関する報告が行われていた
それで〜、CPも動いてるようだが〜、SWORDからは機密報告はないのか〜い?コビー少将ぅ?」
「いえ...、我々も、CPも足取りつ掴めていないです。」
「ふ〜〜ん、そうかそうか〜、コビー少将はルフィ元大佐にとっては可愛い後輩、キミにとって彼は尊敬する先輩、個人的な連絡は取れないのか〜い?」
「はい、逃亡直後は電々虫を使ってのコンタクトは可能でしたが、今は音信不通状態です...」
コビーは黄猿に個人用と海軍連絡用、SWORD部隊内用の3つの電々虫を並べるがどれも反応はない
「そうかい、そうかい、まあ今更彼らも戻りたいとは思わんだろうからねえ」
爪を切りながら答えがわかっていた質問を終えた黄猿
「モルガンズも1ヶ月前までは彼らの逃亡中に起こした事件を把握していたようだけど、ここ最近の見出しは『行方不明』のみ、いや〜アレを出し抜くとは驚いたねえ」
感心している黄猿を前にコビーが口を開く
「やはり、天竜人の指示の影響でしょうか...」
「十中八九そうだろうねえ、あの二人が一般市民を巻き込もうとする人間ではないことは海軍総員、み〜んな、知ってるからねえ」
黄猿の言葉に同意の視線を送るコビー
「いや〜、ひどいねぇ、天竜人...、未来の大将候補と海軍の広告塔にして、海兵への門戸開放の象徴をどっちも潰すだなんて、堪らんねえ」
天竜人直属の配下のため表立って苦言を呈することがなかった黄猿が珍しく放った言葉に少し驚く二人、そしてコビーはある一つの疑問を黄猿にぶつける
「...黄猿さんは、ルフィさんのシャボンディ諸島での事件をどう考えましたか?」
「そうだね〜、やっちゃいかん事をしたからダメ、としか言えないね〜、彼らの犯行を黙認すると世界政府中心の治安維持が厳しくなるしすでにそうなりつつあるからね〜、つまり罪なき一般市民が悪に侵される機会を増やすことになるからダメだね〜、それに赤髪に革命軍トップも彼らの親族、下手に反体制に入られても困るんだよね〜、二人を旗印に決起する市民も増えちゃうでしょうが〜」
飄々としたいつもと変わらない口調で海軍大将としての意見を述べる、それに対してコビーはさらに踏み込んで問うた
「彼らを知る一人の人間としては、どうお考えですか...」
爪切りをやめてコビーを見やる黄猿
「一人一人の気持ちを尊重するのは『どっちつかずの正義』を掲げる自分としては嫌なんだけどねえ...」
飄々としながらもどこか苦い感情がこもった言葉で答える海軍大将黄猿、その後、数秒の沈黙が流れた、その重々しい空気の中口を開いたのはボルサリーノだった
「.......、彼らを剥製や奴隷、そして公開処刑と言った辱めを受けさせるつもりは無いよ、彼らの尊厳を死んでからも破壊することは彼らをよく知る一人の人間として決して認めない、あ、これオフレコだよ〜」
「そう、ですか...」