Owner

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⚠放し飼い禁止



・犬の日と聞いて

・時期は脱獄後〜アラバスタ以前







 目を覚ますとキャメルの周囲はすっかり犬だらけだった。



 暇つぶしで同行しそこらの原っぱで寝転がって読書をしていたのが昼寝になっていたらしい。

 目を開けると真っ黒でツヤツヤな毛が視界いっぱいに広がっていて顔だけ動かすと右腕にはふわふわの小型犬が寄り添い顔の横には大型犬が丸まりお腹の上には毛玉みたいな犬がと大きさも種類も様々な10頭ほどの犬があっちこっちで昼寝をしている。

 残念ながらキャメルに犬種が分かるわけもないので

「たくさんいるなあ」

 という感想しか湧くことはなかった。と言ってもこれが駱駝であったとしてもショコラ以外ならやはり大した感想は出てこないだろう。家族以外は興味がないのだ。


 島の入口でキャンキャンと吠える小型犬に老人が

「島に誰かが捨てた犬がすっかり野生化して増えてしまってねぇ」

 と困ったようだが嫌そうではない説明を聞いてクロコダイルに吠える小型犬に横たわる三日月をチラリと向けるとビクリと震えて一目散にどこかへ去っていった。

「犬ごときになにしてんだ」

「耳障りでしょう」

 同意も否定もしないで捜し物を見つける為に先へ行くクロコダイルにそこらに待つように言われてからこうして暇をつぶして目覚めてから、太陽を見るに4時間ほどたっただろうか。

 なんの危険性も無いので起きる必要性を感じなかったのだろう。腹や腕に多少の重みはあるが特に苦しくもないし起きるのも面倒だと考えてキャメルはもう一度昼寝の続きに入ろうとした。

 真っ暗な中獣の匂いと感触に少し身じろぎしようとして、

「アニキ」

 遠くからの小さな声にガバリと上半身を起こすと毛玉がキャンと小さく鳴いて緑の絨毯を転がっていく。周囲の犬が慌てたようにキャメルへ道を開けるように左右にわかれた先、遠くにクロコダイルが見えた。

「おかえり! どうだったクロ? 捜し物は」

 弟のもとへ駆けていき手をとろうとするが毛だらけの手袋に気づいて引っ込める。

「ハズレだ」

 不機嫌そうに葉巻に火を点けるが今でも探しているものが何なのかは説明されないしクロコダイルを特に慰めはしない。勝手についてきただけで説明される必要性は無いし有るならクロなら話すだろうというのがキャメルの私見だ。

「随分懐かれたな」

「そうなの?」

 んな訳あるかよ。そう吐き捨ててさっさと港へ向かうクロコダイルの後をついていくキャメルの後ろ姿を犬達は羨ましそうに見送っていた。


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