OXYGEN DEFICIENCY

OXYGEN DEFICIENCY


多量のクラゲにより静血装を解けない状況にし 攻撃に反応して飛んでくる駄津を多量に放っている為バズビーは流石に手詰まりだった

「テメエもこれで終わりだ...さっさと降伏しろよ モヒカン野郎」

「俺のこのイカしたヘアスタイルを貶してんのか オイ!?」

「もうそこまで行ったら全部剃れよ 禿げの方が似合ってるぜ?」

鯨の赤々とした血が赤黒い氷となってバズビーの足元を氷漬けにする

「血も水分だからな 仮にクラゲをどうこうしようが...逃がす気はねえよ」

バズビーを直ぐには溶かし切れないように乱菊と協力しながら凍結する クラゲは死んでも毒を保ち続けるので乱暴に拘束しても問題は無い

もう邪魔立てする奴は無力化できた ダルヴァに引導を渡しに行こうとマツィヤは歩を進める


突如ガラスを爪で引っ搔いたような音がその歩みを阻んだ 青い霊子の線が鯨の血に沿って丁寧になぞっている

日番谷が改めて刀を構え マツィヤも戦闘態勢を取る

「半身吹っ飛ばされた割には随分ぴんぴんしてるな...」

「逆に聞きたいのじゃが 儂がそう簡単にくたばるような潔い精神をしておると思っておってくれていたのかのう?」

「テメエがどんだけ死に損なってても問題なく 殺してやんよ...ダルヴァ!」

半身分の服はかなり吹き飛んでいたが肉体はそうでは無い 藍染の手駒と戦った際に作成を始めた治療薬による復活であることに思考が至るまで そう時間はかからなかった

「さて...そろそろやるとするかの」

ダルヴァの隻腕は青く光っており なんらかの能力の行使をしている事は分かる

「空気中の酸素をAと置く 血中の酸素もAと置く...空気中では血中と比べれば相当体積がいるが同等の酸素を確保する

式の上でA/Aを作成し...そのAを打ち消し合わせる」

力自体はそう強くないが広範囲から引っ張られるような感覚を日番谷たちは覚えた

「おぬしの魚道にはある制限があるのじゃ...儂ら生物は例外なく大雑把に言えば酸素を消費して活力を得て動作を行う 魚も同じ自身が住む水の中の酸素を鰓呼吸によって酸素を取り込むなどしてな

ではおぬしの出した魚は何処から酸素を得て行動している?...そうおぬしが権限を持つ血から鰓呼吸をしている訳じゃから 今ここで地べたに這う血とおぬしの身体に流れる血は酸素や霊圧などの面で繋がったままな訳じゃな」

ずっと赤々と酸素を含んだ赤血球の色を讃えていた血は瞬時に赤黒い酸素を含まない血へと変貌を遂げる 鯨一匹分の新たに作られた血とマツィヤの身体に正常に流れる血の比率はあまりに差が大きすぎた

小難しい話を抜きにすればマツィヤは顔を青くして過呼吸を起こしながら倒れざるを得なかった 今は酸素のストックが切れ マツィヤの小さな肺が多量に出した駄津やクラゲの分の酸素供給も直接担わなくてはならなくなったためである

急激な戦況の変化に戸惑いつつも日番谷がダルヴァを止めようとするも新たに現れた滅却師に阻まれる

「ああそうじゃ...おぬしが日番谷隊長の卍解を持っておるのじゃったな 蒼都」

「卍解を奪われた隊長は奪った本人に任せる約束のはずだ」

「そうじゃな 儂もマツィヤをそこそこに相手しておくからそっちはそっちでよろしくやると良いじゃろう

バズビーもクラゲ除けてやらぬといかんしの」

ダルヴァの能力は新たに斬撃を発生させるとリセットされるためそもそも殴る蹴る以外碌に出来ることが無い上に陛下の忠臣として頑張る蒼都を阻む必要も無し

特に競り合うことも無く日番谷との戦闘を譲った


マツィヤはあまりに力強い酸欠による意識の消失を感じながら一種のみ生物をよどんだ血の海に魚道で放り込んだ

水中では無く空気中の酸素を取り込む肺を有した哺乳類 「海豚(イルカ)」である

とはいえ血の付近の酸素はダルヴァに取り除かれており酸素は極度に薄い...イルカたちは血の海から這い出てお腹を擦りながら本能的に酸素を求め陸上へと進出する

(くそ...急に酸素を消し飛ばすとかそんなんありかよ 動けよ体...動いてダルヴァをぶっ殺して...!)

楽しそうに観戦しつつバズビーにクラゲの毒への血清と除去を行っているダルヴァをマツィヤは睨みつけていた

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