ONEPIECE FILM RED FEAT. MONSTERS

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「U!T!A!U!T!A!Fooooooooooooooッ!!!」

歌姫ウタのライブへ向かう一隻の海賊船。その甲板でペンライトを盛大に振り回しながら『毒輪』アルテミア・セレーネは狂喜乱舞していた。その様子を同じ『双竜海賊団』船長にして彼女の夫である『火輪』ヴァルツ・マーロウは苦笑いをしながら見つめていた。

「あ…あのさセレーネ…ちょっと落ち着かないかい?傍から見てたら君凄いことになってるんだけど…」

「凄いことにならずにいられないわよマーロウ君ッ!!!だって私達これからあのウタのライブに行くのよ⁉しかもファンの前でやるのはこれが初めてのスーパーライブ!!はぁ~楽しみィ~~~~~!!」

今彼らを乗せた船は音楽の島『エレジア』へと向かっていた。そこでは映像電伝虫を使った配信で人気を博し、「今世界中で愛されている人」として評判の『ウタ』の初観客動員ライブが行われる予定であった。その透き通るかのような歌声はセレーネの心すらもガッチリ掴んでおり、今や彼女はすっかりウタのファンと化していた。そんな彼女がウタの初ライブを前に舞い上がってしまうのはある意味当然であった。

「楽しみなのはわかるけど、本当に僕たちが行ってもいいのかな?ウタは海賊が嫌いなんだろう?」

「だーいじょーうぶ!ライブ用の特別衣装を着てけばバレないバレない!それに海賊が来ちゃダメなんて気まりも無いし!」

「そういう問題じゃなさそうだけど…まぁセレーネが楽しいならいいか。」

空の王者と陸の女王はそんな他愛のない会話をしながら、運命のライブ会場へと船を進めていった・・・

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一つの小さな影が、空を飛びながらエレジアへと向かっていた。その影は全身に白い甲殻を纏い、一対の翼腕と角をそれぞれ背中と額から生やした少女だった。少女の名はフィリア、リュウリュウの実幻獣種モデル『ゴア・マガラ』、またの名をモデル『シャガルマガラ』の能力者である。

「うたひめのライブかぁ…。」

フィリアの手には『UTA』と書かれたチケットが握られていた。彼女もまたウタのライブを見るためにエレジアへと向かっているのだ。旅人として世界中を飛び回っていたフィリアであったが、ライブという物は経験したことが無かった。

「ふふっ、どんなかんじなんだろうなあ。もしかしたらむぎわらのおにいちゃんたちもきてるのかな?またあいたいなあ…。」

フィリアは飛行しながら、かつて悪魔の実の力に飲まれた自分を救ってくれた優しい海賊のことを思い浮かべた。そんな彼女の予感は見事に的中することになる・・・

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「歌姫ウタの監視…ですか?」

新世界の海軍本部『ニューマリンフォード』では、『赫翼』レグルス・ベネト大佐は『地啼』アンガルダ中将から指令を受け取っていた。

「うむ。サカズキ元帥は歌姫が持つ『ウタウタの実』の力を危険視し、ライブの中止を決めなさった。吾輩らは大将黄猿殿や藤虎殿と共にエレジアへ向かう部隊を編成中である。」

「しかし良いのですか?話を聞いた限りでは、歌姫ウタはとても民間人に危害を加えるような人物には見えません。わざわざこんな大軍を派遣しなくても…」

「吾輩や多くの海兵も同じ気持ちだ。そこでお主の出番という訳である。」

作戦への疑問を唱えるベネトに対してアンガルダは続ける。

「お主は能力を使ってライブ会場であるエレジアへ先行してほしいのだ。そして歌姫ウタが本当に裁かれるべき存在か見極めて欲しい。もし歌姫が民衆に危害を加える危険性が無いのであれば、海軍は遠方からの監視に留めるとの命令である。」

ベネトに与えられた役割は斥候であった。世界政府はウタウタの力を危険視しているが、海軍はあくまで民間人である彼女をいきなり攻撃するわけにはいかない。そこでモデル『バルファルク』の能力者であり、異常なレベルの機動性を持つベネトに白羽の矢が立ったのである。

「分かりました。そのような内容でしたらこのレグルス・ベネト、全霊を持って取り組ませていただきます!」

「現地には観客に扮したSWORDやCPが向かっている。彼らとの連携も忘れぬようにせよ。気を付けるのであるぞ。」

アンガルダを介して命令を受け取ったベネトはすぐさま能力を発動してエレジアへと飛んでいった。海軍もまたこの大型ライブを前にして動き出していたのだ。

(…果たして、世界で一番愛されし歌姫は新時代を招く救世主か否か…。ぜひお主等にも見定めて欲しいのである(カメラ目線)。

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時が少し進んだ頃――とある海賊が支配する偉大なる航路の島が今、阿鼻叫喚の様相を呈していた。

「オラァ!!!」ドガアァァァァァァアン!!!

「「「「ギャアアアアアアア!!!」」」」

何故ならこの島は現在襲撃を受けていたからだ。それもただの襲撃者ではない。全身から鋭い棘を生やし、悪魔のような角と翼を持つ筋骨隆々とした龍である。リュウリュウの実幻獣種モデル『ネルギガンテ』の能力者『滅尽』ゾークだ。獣型でひとしきり暴れまわり、目当ての海賊を仕留めたゾークは人間型に戻った。

「ふぃ~~…。まったく、つまらねェ。それでも新世界の海賊かよ。こんなのいつも戦ってる四皇のパシリ共のほうがよっぽどいいぜ。」

ゾークは一応賞金稼ぎではあるのだが、闘争本能の赴くままに四皇陣営や裏社会の大物を毎日のように襲い、民間人にも甚大な被害を出すことで有名であった。この島の海賊は、哀れにもそんな彼のターゲットにされてしまったのだ。

ふと、ゾークが横を見ると、映像電伝虫が何かを映しているのが見えた。

『だってこいつ、シャンクスの娘だもん!』

そこには今話題の海賊モンキー・D・ルフィと、ライブの主役である歌姫ウタの姿。ゾークは映像に釘付けになった。

「ククッ…ハハハハハハハハハ!!スゲェなこのライブは!このライブに行けばよっぽど楽しめそうだ!!」

ゾークはすぐさま変身すると、全速力でエレジアに向かって飛んでいった。勿論狙いは歌を聞くことではない。ゾークはライブ会場に乱入し、ルフィ、ひいては娘といわれるウタの下にやってくるであろうシャンクスに喧嘩を売ることであった…。

「待ってろよ麦わらァ!!歌姫ェ!!このおれがライブを盛り上げてやるよ!!」

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かくして「怪物(シュレイド)」に選ばれし能力者たちがエレジアへと集うことになった。果たして世界の命運を握るライブの行く末は・・・?

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