ONE BEFORE FINAL WAVE
稲生・紅衣・メメ・虎屋のスレ主─中央監視室─
「やっちゃえー!いけー!頑張れバルバー!」
「リリーの奴は...的確に分家の奴らを潰しているな 致命傷を与えてはねえみたいだが」
流魂街の方面へと伸ばした影からの映像を食い入るように見ているバンビエッタ様とモヒカン様を横目に瀞霊廷の映像を確認する
「ふうん?僕が想像していたよりも激しい戦闘だね 君はどう思うハッシュヴァルト」
「...問題は無い 想定の範囲内だ」
「...そっか 君のお気に入りのカワキって子も結構手傷を負ってるけど想定の範囲内なのかな?」
恐らくヨルダ様への言及を避けたハッシュヴァルト様をどう思えばいいのか分からないが...そうこうしていると瀞霊廷の方もようやく...本格的な動きがあった
「ゲッゲッゲッ...あっちも楽しそうだけどミーはこっちを見ておこうかなあ~?」
「あんたもか...監視官 出来るだけきれいに映るモニターは何処だ?」
ペペの野郎とアスキン様がこちらの映像を見に寄って来たようだ
「今 操作しているのが一番大きいのでどうぞ 申し訳ありませんが操作はこのまま私がしますので」
そう言うと二人とも納得したようで腰を落ち着けてモニターを見始めた
流魂街で戦闘が起きている間に起きていたことを簡易にまとめよう
瀞霊廷には細菌兵器の散布機能を内蔵した箱がいくつも見つかり死神は一度隊長格以外で捜索を実施 その後全てを十二番隊へと送った
一部の十一番隊の隊士が破壊を試み実際に細菌兵器が散布されたが...酷い咳き込み及び吐血などの症状が比較的短時間で現れたため安全に無力化するために十二番隊で処理を行うことにしたらしい おかげで十二番隊はてんやわんやだ
そして一番の問題は...その細菌兵器は囮で本体は『その箱に一緒に入った菓子』だ
私が虎屋家を訪問した際に食べたあの極彩色の飴玉と酷似した物が箱には入っており多くの隊士がそれに触れている
「ミーのラヴとは似てるけど細部が違うなかなかチャーミングな能力ね!」
「毒ってのは潜伏期間が短くても長くても厄介なもんだ これじゃ毒餌を持って帰らせるアリの巣退治みたいなもんだな だがこれだけだとまだ致命的じゃあ無い」
その後十二番隊舎に五代目我流滅却師である虎屋翼(たすく)が訪れ静かに制圧した
見た目は明らかに幼く女物の着物を着た子供である
そしてただ一言「私の事は気にせずお仕事を続行してください」と言うだけで侵入し他への報告を止めた
一度副隊長である涅ネムが魂魄を削り霊圧を一時上昇させることで呪縛を解き攻勢へと転じたが五代目が自身ごと巻き込んで細菌を散布し弱らせて再度能力を掛け直した
「ミーのラヴは永遠だけどこの子の能力は案外脆いんじゃないかなあ」
「良く初見で気づいたな副隊長さんは」
二人に批評されているとは露知らず五代目はその場に居座った
その他の我流滅却師達のやることは単純だった
初代と四代目は副隊長格を含めた隊士が反乱を起こされられている戦場に混ざり隊長格の目を引き付けている
二代目は...遮魂膜を一部掌握しイヌにしていたがそれを用いて霊王宮から降ってきた王悦入りの柱を流魂街へと弾いた
その後王悦へと接近し相当な痛手を負って王悦を殺害 これで王鍵を得たことになる
まあこの時に現場近くに待機していたナナナ・ナジャークープ様がフォローしてどうにかって所だ
「十二番隊を抑え情報は得られず訳も分からないうちに護衛対象から距離を取らせるだけでなく駆けつけることもさせないって訳か」
「いや~ん!ミーこの子たちが敵に回ったらこわ~い!」
あんた聖文字で無理やり隷属させられるだろ
そして最後は仕上げに虚をばら撒いた 数は多くないが未だ反乱が収まったいない瀞霊廷には十分だ
圧勝に見えるがそれはあくまでも大目標に関してだけで個々の戦いでは肉体も魂魄も限界に近く死神はまだ十全だ 這う這うの体で彼らは王悦の死体を持って志波家へと向かった