Newスパイダーズカフェ立て籠もり事件

Newスパイダーズカフェ立て籠もり事件


※独自設定付与につき閲覧注意。ルフィ海賊王就任後の世界線。



その青い電伝虫が鳴ったのは、本当に半年ぶりであった。いつもならば少し大きめの赤い電伝虫(こちらの方を多用する)と一緒にムシャムシャと餌を食んでいるのだが、久々に鳴った。急いで受話器を取る。


サンジ「へいまいど、こちらクソレストラン・・・・・・じゃねェけどな、まだ。ご用件は?」

ロー「・・・黒足屋」

サンジ「・・・一年ぶりだな、ロー。お前ンとこのイッカクちゃんと他の奴等は元気か?」

ロー「長話をしている暇はない。良いか、一度しか言わねェぞ」

サンジ「何だ、仰々しいな」

ロー「映像電伝虫を付けて速報を見ろ。それと、お前の嫁を安全な所に移しとけ」

サンジ「は?どういう-」

ロー「伝えたからな」


がちゃり。


サンジ「ンだよ、急にかけてきたと思えば・・・・・・は?」


映し出されたのは、仰天のニュースだった。


『先程、海賊王モンキー・D・ルフィとトラファルガー・ローの姿が確認されたNewスパイダーズカフェですが、現在コビー少将並びにヘルメッポ大佐率いる海軍の駐屯部隊による包囲が継続されています。周囲では海軍とCPによる民間人の避難が進められており・・・』

サンジ「・・・え、何やってんだアイツ」


相棒が、友人(他称)と市井の中に立て籠もっている。海軍が既に動いている。となると、他の仲間も危うい可能性がある。サンジは慌ててエプロンを脱ぎ、得意の月歩で窓から飛び出した。


プリン「サ、サンジさん?!何処に行くの?!」

サンジ「プリンちゃん、赤の電伝虫から助けを求めてくれ!すぐに野郎共が来てくれるはずだ!」


【カフェ内部】

ロー「伝言はしたからな」

ルフィ「悪ィな」

ロー「思ってもないことを言いやがって・・・」


ローの考える最悪の一日には、必ずこの男が付き纏っている。目の前でさも何事も起きていない様子でコーヒーを飲み干した男、海賊王モンキー・D・ルフィ。

事の発端は数時間前に遡る。Newスパイダーズカフェにて、復帰した歌姫のコラボと限定グッズが欲しいという仲間一匹のワガママを聞いてやろう、と重い足を上げ来てみたらこの男がいたのである。関わりたくないので無視しようとしたら部下である白熊が彼に話しかけにいき、それと共に自分がいることもバレてしまったのだ。


ロー「さっさと買って来い、ベポ」

ベポ「ちょっと待って、皆に頼まれてる分が・・・・・・あ、麦わら!」

ルフィ「ん?おー、トラ男んとこの白熊か。久しぶりだな。トラ男も」

ロー「・・・チッ!」

マリアンヌ「・・・あの男が死の外科医?」

ルフィ「あぁ、おれの友達さ。隣にいるのはアイツの航海士。ベポだったかな」

ベポ「やっと名前覚えてくれた・・・・・・その子は誰?」

ルフィ「おれの飲み仲間・・・・・・かな?マリアンヌってんだ」

マリアンヌ「その言い方止めて。昼間から呑んだくれてるみたいじゃない」


曰く、たまに身を隠してこのカフェに通っているようで。しかしこの日は運が悪かった。海兵、しかも新たに徴兵された中将の耳に会話が届いてしまったのである。あれよあれよと大騒ぎ、カフェに籠城することになってしまったのである。


ロー「テメェ覚えとけよ・・・」

ルフィ「次奢るよ。な?グッズも人数分、ウタに融通して貰うしさ」

ロー「な、じゃねェよ。・・・これで連絡すべき奴等全員に行き届いたな?」

ルフィ「あぁ、おれの方も済ませた。皆に悪いことしたなァ」

マリアンヌ「死の外科医といわれてるけど、何だかんだで助けてくれるのね。ロジャーには白ひげという友達がいたけど、貴方の友達も優しいのね」

ロー「言っておくがな芸術家屋、友達なんて言ってるのはコイツだけで」

ルフィ「コイツな、素直じゃねェからなァ」

ロー「頭を撫でるな!」

ベポ「キャプテン、マズいよ!キッドも来る!」

ロー「はァ?」


キャプテン・キッドは赤髪による大打撃より見事復活し、今や1万を超える船団を率いる四皇として大海に君臨、三代目海賊王の座を虎視眈々と狙っている。海軍による海賊王ルフィの包囲を耳に入れ、カフェのある島に向け一直線。海軍に獲られる前に首級を挙げようという魂胆だろう。外に跋扈するマスメディアによる報道の声に恐怖の色が混ざっている。


ルフィ「一応おれの方でロメ男やサイ達に止めて貰うよう言っといたけど、間に合うかね?」

マリアンヌ「あら、こんな所で戦争でもする気なのかしら」

ロー「随分と余裕そうだな」

マリアンヌ「私こう見えて、昔「悪の組織」にいたの。戦争なんて怖くないわ。もっと恐ろしいことをやろうとしてたから」

ベポ「へー・・・・・・そのもっと恐ろしいことって?」

ロー「ベポ、のんきに喋ってる場合じゃねェ。いつまでも立て籠もる訳にもいかないってのに・・・」

ルフィ「お、久々の策か。今度は捕まらないといいな」

ロー「余計な口を挟むな。それに策と言ってもそんな大層なものでもないがな・・・」


ナミ「ルフィーーーーーッ!!!!」


突如、外より声が。報道陣と海兵、雑踏やガヤの中からかき分けて4人が出てきた。一人は見るからに怒り心頭だ。覇王色の覇気のようなオーラすら見える。


ナミ「観念して出てきなさーーーーーいっ!!!」

ロビン「あら、マリアンヌもいたのね」

ベラミー「ってか、トラファルガーのヤツもいねぇか?ありゃ・・・」

ビビ「ルフィさん、一体何を・・・」


ルフィ「ゲ、ナミ」

ロー「お前、また何かやらかしたな」

ルフィ「いや、今度こそおれは曲げねェ。これは必要な出費なんだぞ」

マリアンヌ「何したのよ。まさか、それがここに逃げてきた訳?」

ベポ「え、何したの」

ルフィ「・・・あそこに金髪のデカい男いるだろ。ベラミーって奴なんだけどよ、今度染め物の工房継ぐんだよ。アイツの師匠であるセリザワって人から連絡が来たんだ。そんで祝いにベリーを少し・・・」

ロー「ナミ屋の怒りようからして絶対少しじゃねェだろ」


海賊王が貧乏な訳がないのだ。


3人と1匹の立て籠もりが続く中、思惑と偶然が重なって爆発寸前に至った事態は急速に沈静化していった。


丁度島に数㎞離れた隣の島に来ていた歌姫が、有事であることを察し恩師と引退していたソウルキングと共に即興ライブを開催。多くの人々の注目を集め、これ以上の混乱が拡大することを防いだ。

元の職場であったことから人望の厚い秘書はコネやら何やらを用いてCPにはお帰り頂き、マリージョアは壊滅し、世界会議の開催地が毎年変更していたことから同じく訪れていた情熱の国からの王女の力でコビー少将率いる海軍も撤退を強いられた。恐らく平和的交渉が行われた・・・・・・のだろう。

剣豪と海侠、船大工は大船団の面々と共に迫り来るキッド海賊団と対峙。海上におけるしばらくの交戦の後、海軍の現大目付による仲裁によって両者撤退。駆けつけた大目付曰く、


ボルサリーノ「エッグヘッドの借りは返したよぉ~~・・・・・・次は君達全員を必ず捕縛するからねぇ」


とのこと。それを聞いていた船大工が後で伝えてくれた。


サンジ「ルフィ!無事か?」

ルフィ「サンジ、来てくれたか」

サンジ「テメェ、全部聞いたぞ。騒ぎを起こしやがって!レディが(ついでに野郎共とおれも)心配してたんだぞ!!」

ルフィ「男の意地だな。というか、誰から?」

モネ「私が伝えたの。ここに向かう途中、彼と合流できたから」

ルフィ「モネ」

モネ「人騒がせなんだから・・・・・・ローもマリアンヌちゃんも久しぶりね。さ、行きましょ」


屈んだモネの上に、マリアンヌが乗った。呆然としていたローとベポもまた、サンジに首根っこを掴まれる。


ルフィ「あれ、おれは・・・」

サンジ「助けると思うか?こってり絞られてこい!!」

ルフィ「どわッ?!!!」


サンジは見事な足技により、建物には一切の傷をつけないままルフィを窓から遠くまで、ナミ達の元まで蹴飛ばした。ルフィがどやされる有様を、ロー達は空中より眺めていた。


ナミ「ルフィ!!今月は厳しいってあれ程言ったでしょうが!!!」

ルフィ「いや、これはだな」

ナミ「知らないと思ってるの?!!」

ベラミー「あー、麦わら。悪いが金は返すよ。お前のカミさんも大変そうだし・・・・・・ただな、少しだけ貰うぜ」

ルフィ「?」

ベラミー「例の品、完成してるんだよ」




ベポ「あいつ、海賊王になっても金欠のままなのかよ・・・」

モネ「彼、あまり財宝には目が向かないから。それにすぐ散財するの」

マリアンヌ「相変わらずね。ま、店が壊れなくて良かったわ」

サンジ「きっちり叱られろ、全く。そういえばロー、お前能力で逃げることできたたんじゃなかったか?」

ロー「・・・当然逃げようとしたさ。馬鹿騒ぎには付き合ってられねェからな。だがアイツがうるさくて、柄にもなくしがみついてきやがった。あいつ、肩の荷が下りたからか段々とガキっぽくなってるぞ」

サンジ「・・・ウチの船長が悪かったな。お前等腹でも減ったろ。飯、食ってくか」

ベポ「やった!黒足の飯だ!」

ロー「お前の嫁と店は無事だったのか」

サンジ「チョッパーとウソップがすぐに駆けつけてくれてな。開店の準備がおじゃんにならずに済んださ・・・・・・モネちゃんとマリアンヌちゃんも、良ければどうだい」

モネ「是非、いただくわ。貴方の店に戻るときには丁度お昼時でしょうし」

マリアンヌ「たまには良いわね、皆でご飯にするのも」


数日後、サンジの店に包みが届いた。大きな包みの中には、かつての義父がオーナーを務めていたレストランを思い起こさせるような、鮮やかな青基調の旗である。送り主曰く、


『おれがベラミーに注文したんだ。アイツにとっては初めての依頼でな、随分張り切ってたぞ


追伸 これに関してはナミも納得してくれた』


サンジは1ヶ月前に、通話相手のルフィに新しく開店するレストランの装飾について零したことがあった。目印となる旗があれば良いんだが、と。ふとカレンダーを見た。今日は己の誕生日ではないか。少し、顔が熱くなった。


【設定と後日談】


一味:解散。半年に1回、一味にのみ理解できるメッセージを発信し集合している。場所はバラディエ、シャボンディ諸島、ワの国など毎年変更している。四皇はシャンクス、バギー、キッド、ハンコックのつもり。


ルフィ:海賊王就任。夢の果てを実現。愛してきた女性達とココヤシ村に居を構える。事件の後、迷惑料も兼ねてスパイダーズカフェでアルバイトをすることになった。

「飯屋で働くなんて久々だな。マキノも元気にしてるかな・・・・・・?」


ナミ:正妻。ルフィも頭が上がらない。依頼の代金に関しては異論はなかった。

「サンジ君へのプレゼントなら最初からそう言いなさい!」


ゾロ:現在放浪(迷子)中。半年に一度の一味集合には必ず来る。一着で。

「そういや、あの女海兵は来てねぇのか(何だかんだで世話焼かれてるのでその礼をしたい)」


サンジ:プリンと共にレストランの開店準備を進めていた。後日、アルバイト中のルフィに弁当を届けた。

「あれは嬉しかったけどよ、ルフィお前自分の知名度自覚しとけ。な?」


プリン:守られてばかりなのでいずれ闘えるようになろうと決意したが、結局サンジに守られて鼻血を吹く。

「帰ってきたら綺麗な人もいたから正直少しだけ嫉妬した」


ロビン:ココヤシ村に居住。ルフィ立て籠もりを聞いてナミと共に現場に駆けつけた。

「昔の同僚と会えるなんて思わなかったわ」


フランキー:一家と共に別の島に移り住み、船大工事業を展開。サニー号の管理者。

「ベラミーって所のやつ、イカす旗だな。ウチも注文するか」


ブルック:双子岬にいる。今回は丁度良く現地に来ていた。

「久しぶりに音楽活動も悪くありませんね。ヨホホ!」


ウソップ:実はカヤに頼まれグッズを買いに来ている道中だった。騒動後、同じくサンジのご馳走にありつけた。

「まさかトラ男達も一緒に戻ってくるとは思わなかったな」


チョッパー:ウソップと同じく。サクラ王国で医療に従事。論文を提出し学会で有名になった。

「サンジの飯はやっぱり最高だな!」


ジンベエ:リュウグウ王室の護衛を務めていた。

「サンジも開業か!ワシも行ってみようか。姫も連れて・・・・・・」


ビビ、レベッカ、しらほし:色々なものを利用して海軍にお帰り頂いた。やだ王女怖い。

「ルフィさん、変わってなかったわ。あの時を思い出しちゃった」

「やっぱりコビー君ルーシーのこと好きだよね(確信)」

「私も海王類の皆様をお呼びすれば良かったのでしょうか・・・・・・」

「「いや、そこまではしなくて大丈夫」」


カリファ:CPにはまだコネが残っている。現在はココヤシ村に住んでいる。

「ルッチ、眉間の皺が凄かったわ」


モネ:カリファと同じくココヤシ村にいる。

「裏切ったと思われてもおかしくないのに堂々と貴女が来たのだから皺も濃くなるんじゃない?」


ハンコック、マーガレット:今回は女ヶ島におり騒動には不参加。

「ああ、わらわのルフィが・・・・・・絶対に許さぬぞあの赤毛!!!世界政府!!!」

「蛇姫様、落ち着いてください。子供達が覇気で怖がってます」


ウタ、ゴードン:世界会議に招待されていた。後で必要分のグッズを贈呈。

「会いたかったなぁ、皆に」

「何、また機会はあるさ」


マリアンヌ:居場所であるカフェが破壊されなかったので万事OK。

「飯屋なんて言い方は止めて。カフェって呼びなさい」


ベラミー:事業は順調。

「良い宣伝にはなった・・・・・・のか?」


コビー、ヘルメッポ:この後何とか頑張って事態を収めた。陰の功労者。

「何とか収束して良かったなぁ」

「後処理で走り回って収束させたのおれ等だけどな」


黄猿:エッグヘッド事変が何とか収束したってことで。この後ちゃっかり歌姫のライブに向かったとか。最近弟子と友人の娘がとても可愛い。

「大目付になったセンゴクさんが元気になったのも頷けるねェ。何より融通が利く・・・」


ロー、ベポ:自由に生きたいため、傘下を連れず四皇にはなっていない。後日、グッズは人数分ポーラータング号に輸送された。

「いやおれの分は要らないんだが」

「やった!ウタのサイン入り!!」


キッド:実は島に上陸できるあと一歩の所であった。

「今回は命拾いしたな、麦わら・・・・・・次は潰す!!」








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