Nastily Exhausting Wizarding Tests (3)

Nastily Exhausting Wizarding Tests (3)

requesting anonymity

「アナタねえ……………」

ポピー・スウィーティングは何か言おうとしてやめた。それはポピーが魔法生物の勉強を見てくれるように頼み、結果として結構な人数の生徒の前で魔法生物学の勉強会を即興で行っている女生徒が、ポピーをお気に入りのぬいぐるみの如く抱きしめて離そうとしない現状が原因だった。ポピーが他所へ行こうとすると無言で引き止める。本気で拒否するほどに何が何でも離れたい、というわけでもないポピーは、これによって女生徒が指導を続けてくれるなら別にいいかと考えていたのだった。

「先輩、それどうするんです?ごはん?」

現状に何の疑問も抱いていないらしいダンブルドア少年が、魔法薬学用の大鍋に大量のプラムが入っているのを見て女生徒に訊ねた。女生徒はポピーを抱きしめたまま大鍋の前に座り込み、ポピーにも座るように無言で促し、ポピーがどこにも行こうとしないのを確認した後、杖を取り出す。

「そう。ごはん」ともう1本杖を取り出しながら女生徒が答える。先程、ポピーからしっかりとしたお説教を貰った女生徒は明らかにまだ気持ちが萎れきっていた。

そのまま両手に1本ずつ、それぞれ杖を羽ペンのようにつまんで持って、そのまま無言で大鍋の中のプラムを「浮遊」させて、両手の杖をくりくりと動かして次々と2つに割って種を取っていく。

「すげえ…………」

ギャラリーの1人から声が上がる。そのスリザリン生が感嘆を漏らした通り、両手に1本ずつ杖を持ってその両方でそれぞれ魔法を行使するというのは、かなり高度で器用な技だと言えた。そもそも無言で呪文を使う事自体、毎年、それを初めて授業で習う6年生達が揃いも揃って大苦戦するのだ。

「ね、私、無言呪文苦手なんだけど、後でコツ教えてくれる?」

ギャラリーに混ざっていたスリザリンの7年生イメルダ・レイエスにそう言われた女生徒は、少し元気を取り戻し始めていた。

「いいよ。…………よっし、終わり!」

女生徒がそう宣言した通り、大鍋の中の大量のプラムは全て2つに割られて種が取り出されていたが、大鍋の中では割られた実と取り出された種が混在してもいた。

「エバネスコ!」

女生徒は右手に持っている方の杖を大鍋に向け、その中の種だけを選択的に「消失」させ、直ぐ側のオーグリーとセストラルに「おまたせ!」と呼びかけた。。

その合図をずっと待っていたらしいオーグリーとセストラルは大鍋に顔を突っ込む。

「じゃ、実技やろうか」と左手に持っていた方の杖をポケットに仕舞った女生徒が言った。女生徒はくるりと後ろを向いてみんなに背中を見せ、オーグリーとセストラルによって早くも大半がなくなっていた大鍋の中のプラムに右手の杖を向けて無言で補充するが、足したそばからどんどん減っていく。

「よく食べるのね、その子達」とポピーが感心したように呟く。

「いつも10回は補充するよ。あんまり食べさせすぎてもいけないけどね。このオーグリーは自分で節制できる子なんだけど、こっちのセストラルはあったらあるだけ食べちゃうから僕が気をつけないと。ほら、肥満体のセストラルなんて見たくないし」

女生徒がそう言った時、隅に避けられていた旅行かばんが開き、勢いよく不死鳥が飛び出してきて優雅に談話室内を一周し、女生徒の頭の上に着地する。

「呼ぼうとしてたんだけど、まあいいや。ちょっと早いけどそろそろだしね」

そう言って女生徒はブラシを取り出し、頭の上から不死鳥を降ろして抱きかかえると丁寧にブラッシングを始めた。

「ポピーと他の皆はこの子にブラッシングしてあげてね。上手くできるかな?」

女生徒のその声を合図に、そばで見ていたダンブルドア少年のすぐ目の前の空間がゆらめき、ずっと隠れていたデミガイズが姿を現した。

「じゃ、お願いするよギャレス。『コイツ下手だな』って思ったら教えてあげてね」

一瞬何のことかと思ったが『ギャレス』が自分のことではないと気づいたギャレス・ウィーズリーは、各々大鍋を混ぜる5年生達を注意深く見守りながら呟く。

「またそうやってひとの名前を勝手につける…………君はまったくもう」

生ける屍の水薬に苦戦中のレイブンクローの5年生の女の子は、そう言ったウィーズリー先輩の声がとても優しい事に気づいて顔を上げ、ウィーズリー先輩が笑っているのを見て先輩方の関係について妄想を暴走させ、耳まで真っ赤になって顔を伏せた。

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