Nastily Exhausting Wizarding Tests (2)

Nastily Exhausting Wizarding Tests (2)

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ハッフルパフ生ポピー・スウィーティングと、彼女に魔法生物学の勉強を見てほしいと請われ了承した女生徒は2人とも魔法生物学について特に優秀で「実践的」だったので、5年生も7年生も自分の勉強を中断して2人の周囲に集まり、下級生達もわらわらと近寄ってきた。

「あら?まあ構わないけれど。じゃ、そうね、問題出してくれる?」

他の生徒が大勢集まってきた事を少し面白がりながら、ポピー・スウィーティングは女生徒に提案した。それを受けて女生徒は「検知不可能拡大呪文」がかかったパジャマのズボンのポケットに杖を突っ込み、これまた「検知不可能拡大呪文」がかかった旅行かばんを「呼び寄せ」た。そしてカバンを開きその中に消える。

「あー、まあ確かに、そうできるならそうすべきね。だけど、ここで?」

女生徒の意図を察したポピーは少し戸惑って辺りを見回す。試験に向けた勉強に励む生徒であふれるここはレイブンクローの談話室であり、狭くはないが決して広大でもなく、ましてや今は生徒が大勢居た。

「おまたせ。じゃ始めようか。『オーグリー』と『セストラル』に共通する『間違った見解』は何?」

そう言いながら現れた女生徒の後ろに断食したハゲワシのようなフクロウのような大きな鳥がヒョコヒョコ歩いて付き従っている。女生徒に注目している生徒の大半にはこの女生徒が「見えないなにかに跨っているかのように空中に浮いている」ように見えていたが、それでも知識で状況を理解していた。

「『不吉な象徴』オーグリーの鳴き声は不幸の前触れだと考えられていたけれど、実際には単にこれから雨が降る事を示していた。セストラルは、その姿を見ることができるのが『死を見た事がある者』だけな為に、セストラル自体が不幸を呼ぶかのように誤解されている。私にはセストラルが見える。貴方が密猟者を殺してしまうのを見たことが有るから」

ポピー・スウィーティングのその回答に女生徒は満足し、周囲の生徒たちはノートにメモを取っていた。

「そ。こんなにかわいいのにね。でもその『誤解』にも差異がある。オーグリーに関する誤解は魔法生物学者ガリバー・ポークビーの著書『オーグリーが泣いた時、私は何故死ななかったのか』によって既に一掃されているけれど、セストラルに関してはまだ偏見が根強い。じゃ次。『これ、なーんだ?』」

そう言いながら女生徒はポピーに大粒の赤い宝石を投げてよこした。ポピーがそれをキャッチしそこねた事によって宝石は床に転がり、周囲に集まる他の生徒の目にも留まった。

「アナタが私や他の女子たちにくれたクリスマスプレゼントよね?」

ポピーがニッコリしながらそう言うと、周囲の生徒たちは女生徒の大盤振る舞いっぷりに驚きの声を上げたが、宝石の正体を察していた数人の7年生は、そんなものをバラ撒くほど持っている事に驚いていた。

「ねえ、いい?アナタからのクリスマスプレゼントすごく嬉しかったし、他の女の子たちもとっても喜んでたけれど、それでも『既に手元に大量に有るもので済ませる』っていうのは、あんまり褒められた事じゃないの、わかる?それに宝石なんてものをあんまり気軽に同時に何人もに贈るべきじゃないの。上品な振る舞いじゃないから」

ポピーに指摘されて初めて己の落ち度に気がついた女生徒は一気に小さくなったが、ポピーはさらに続ける。

「レストレンジからもイメルダからもミラベル先生からも、みんな、みんな手紙をよこした。全部同じ内容。『こんなもの貰っちゃっていいの?』私は素直に喜んで貰ってあげて、って返事したけど。ねえ、いい?そんな心配させてる時点で素晴らしい贈り物とは言えないって、そう思わない?………皆の前でこんな事言うべきじゃないけど、アナタよりにもよって投げてよこすんだもの…………『フェニックスフリント』ってどれだけ貴重な物かわかってる?アナタにとってはいつでも手に入るものでも世間的にはそうじゃないし、それに『宝石を投げてよこす』なんて。アナタはもっと自分の行動が周りからどう見えてそれでどう思われるかに考えを巡らせるべき」

毅然とした態度でそう語りかけたポピーに、セストラルから降りて床に座った女生徒は小さな声で「ご、ごめんなさい……女の子たちって何贈ったら喜ぶのかわかんなかったんだよ………」と言ったが、それはこの場で返すべき正しい答えではなかった。

「それはいいの。私のこともレストレンジやイメルダや、1年生と4年生のあの姉妹や、ナツァイや他の皆の事、一人ひとりしっかり想ってくれたんでしょう?で、わかんなくなったんでしょう?それはいいのよ。すごく嬉しい」

ポピーは床に座り込んで小さくなってしまった女生徒の両肩に手を置き、正面から女生徒の目をしっかりと見つめた。

「いい?私はアナタの事大好き。みんなもきっとアナタの事大好き。だから言ってるの。アナタがこれからの人生で出会う人たちにもアナタの事を好きになって欲しい。だからお願いだからもっと、自分の振る舞いが周りからどう見られるかを顧みて」

そう言われた女生徒は、色んな感情が大噴出してきて泣きそうになっていたが、そこに向こうの方で7年生達に魔法史を教えていたダンブルドア少年がトコトコ歩いてきて女生徒の頭に手を置いて言った。

「キレイにお食事する練習、しましょうね?先輩」

女生徒がいよいよ目に涙を貯めつつあるのを見てポピーは優しく元気よく提案する。

「さ、この話は終わり!魔法生物の話をしましょ。それに他の教科の話も。みんな、他の誰かじゃなくてアナタに教えてほしいんだから。そうでしょ?」

周囲の生徒達は皆一様に声援と拍手で肯定する。そして静かにしていたセストラルに顔を舐め回され、オーグリーに頭をつつかれて女生徒は気を取り直すのだった。





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