Nastily Exhausting Wizarding Tests (◯○°)

Nastily Exhausting Wizarding Tests (◯○°)

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レイブンクローの談話室では、オミニスが「皆の分もあるよ」と言って周囲の全員にクッキーを配った事で皆が皆羽ペンを置き、あるいは杖を仕舞って練習を中断し、大鍋と材料を片付けて、気分転換のティータイムが開始されようとしていた。

「あ、美味しいねこれ。美味しいよオミニス」

そう言った女生徒は自分のぶんのクッキーに杖を向けて「双子呪文」をかけ、枚数を増やしている。

「そうだ。ねえ皆、イルヴァモーニーのペンフレンドが贈ってくれたんだけどさ、これちょっと飲んでみない?向こうのマグルの商品で、イルヴァモーニーの生徒の間で話題なんだってさ。マグル学の勉強にもなるしさ」

女生徒が杖を一振りすると、手元の旅行かばんが開いて中から黒に近い茶色の液体が入った味気ないデザインの瓶が空中を並んでゆっくり飛行し、1人1本配られた。

「さ、飲んでみて!」

女生徒はさらに杖を振り、みんなの元に行き届いた全ての瓶から蓋が一斉に消える。

「この飲み物を発明したマグルは4年前に亡くなっちゃったらしいんだけど、意思を継いだ人たちが今年会社を作ったんだって。その会社の主戦力がコレ」

そんな解説を聞きながら、みんなは恐る恐るそのよく冷えた瓶に口をつける。

「!!!!コレめちゃくちゃイケるよ!」「美味い!」「………おいしい!」

一口飲んでしまえば、みんなもう止まらなくなっていた。……1人を除いて。

「どしたのアルバス」

束の間喉を鳴らした後完全に静止してしまったダンブルドア少年に、女生徒が訊く。

「美味しいですけど……………僕にはちょっと炭酸がキツイです………」

ダンブルドア少年がそう返すと、女生徒は途端にパフスケインを見る時と同じ表情になった。

「アルバスは炭酸苦手か~。そっかー、じゃあそれ貰っていい?」

ダンブルドア少年が「いいですけど………」と返すのを聞き終える事もなく瓶を受け取って中身をゴクゴクと飲み干しにかかる女生徒に、半分ほど飲んだ自分の瓶をまじまじと眺めながらギャレスが訊く。

「ねえ、これなんて名前の飲み物なんだい?」

「『コカ・コーラ』!マグルもいい仕事するよね!……ちょっと危ない材料入ってたからそれは抜き取ってあるけど、風味には影響ないよ」

女生徒とギャレスは視線を交えて笑い合うが、ダンブルドア少年はまだ喉に残る炭酸の余韻に苦しんでいた。

「このクッキーすごく美味しいです、オミニス先輩」

ダンブルドア少年が涙目でそう言ってきたのに笑顔を返したオミニスは、自分のぶんのコーラの瓶に口をつけ、一口飲む。

「美味しいね、コレ」

そう言ったオミニスに、女生徒は「でしょう!」と自分が作ったわけでもないのに誇らしげに胸を張った。

「そういえばさ」とイメルダがクッキーとコーラに舌鼓を打ちながら口を開く。

「『料理するときにしか使わない呪文』っていくつか有るじゃない?ねえ、けどさ『料理』自体ってホグワーツで習わないじゃない?でもコレ食べてると思うんだけど、できて損はないね」

イメルダはオミニスの方を見つめる。

「あんたいい奥さんになれるよオミニス。優しいしイケてるしコレ美味しいし」

クッキーをパクパク食べながらさらっとそんな事を言ったイメルダに当のオミニスが

「えぇ……?あ、………ありがとう?」

と、戸惑いつつも褒められた事自体は素直に受け入れてお礼を言った一方、その隣のテーブルでは7年生の女生徒が満面の笑みを浮かべながらダンブルドア少年の頬を両手で捏ね回していた。

「アルバス炭酸苦手なんだね~」

「べ、別にいいじゃないですか。おやめ、おやめください」

「じゃ、これなら飲める?これ飲んでみてよ」

女生徒はコカ・コーラの瓶をもう1本取り出し、杖を振って中身の液体を別のものに変え、ダンブルドア少年に飲むよう勧める。

「なんですかこの緑の汁…………」

そう言って瓶に口をつけたダンブルドア少年は、一瞬凍結した後、劇的にジタバタし始めた。

「にっっっっっっっが!!!本当になんですかこれ!」

「番茶だよ。そこまでじゃあないと思うけどなー。アルバスは子供だねえ」

「そりゃまだ舌は子供ですよ11歳なんですから!お茶?コレが?!甘くないのに?」

「それはどっちかっていうと紅茶の方が特殊なんだよ」

そう言って女生徒はコーラの空き瓶をコップに「変身」させ「アグアメンティ」と唱えて水を注ぎ、さらに杖を振ってその水を緑茶に変える。

「美味しいのに~」と言いながらあっという間に飲み干した女生徒を、ダンブルドア少年は信じられない物を見る目で見つめる。

「………先輩は舌がおかしくなってるんですか?!」

「かわいいこと言うねアルバスは」

そこにイメルダが歩み寄ってきて女生徒に声をかける。

「ね、その『番茶』っての飲んでみたいんだけど」

女生徒は今自分が使ったコップにまた杖で水を注ぎ緑茶に変えてイメルダに差し出し、イメルダはそれを受け取ってためらいなく口をつける。

「なんだ。確かに苦いは苦いけど普通においしいじゃない『番茶』」

「ええ?!レイエス先輩まで!『苦い』と『おいしい』は両立しませんって!!」

驚愕を全身で表現したダンブルドア少年を見てイメルダは笑う。

「可愛いこと言うね、あんた」

「え~………お2人ともおかしいですって…………」

受け入れられないダンブルドア少年だったが、ギャレスもオミニスもアミットもセバスチャンも他の生徒も次々「番茶とやら」を飲みたいと言い出し、飲み干して

「苦いけど美味しい」

と声を揃えた事によって「美味しいと感じる人も普通にいる」という事実を受け入れざるを得なくなるのだった。




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