Miss choice

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穂乃果 side in

教会での参加表明を終え、一先ずアイツの家で今後の方針について話すことにした。

「当面の方針としてはランサーの撃破、そしてほかの陣営のサーヴァントの確認よ」

特に他陣営のサーヴァントの確認は急務だ。聖杯戦争において警戒するべきなのはアサシンによる暗殺、そしてキャスターに時間を与えすぎることだ。

「アサシンは気配遮断スキルを、キャスターは陣地作成スキルを有しているわ、そして両者とも時間を与えたらろくな事にならない」

ただアサシンに関しては今回は亜種聖杯戦争のセオリーが当てはまらない可能性が高い。

「本来はハサンと呼ばれる暗殺教団の長が呼ばれる、そして亜種聖杯戦争においてハサンという英霊は博打の英霊になるのよ」

───過去の亜種聖杯戦争においてアサシンが、ハサンという英霊によるマスター暗殺が数え切れないほど行われた。それを知った聖杯獲得を目指す魔術師達はハサンという英霊への対抗策を編み出した。

歴代の18人のハサン、それら全てに対抗策が用意されている。

「じゃあ警戒しなくてもいいのか?」

目の前のこいつは阿呆面で返してくる、まだ話は途中だと言うのに

「ただ問題は私はその対抗策を知らないのよ」

半目でこちらを見てきた、やめて欲しい。私だって用意をしたかったのだ。だがこれらの情報は時計塔が独占していたりする、本来ならそこのパイプを使いセオリーなどを入手するのだが…

「如何せん私の家はそこまで年月があるわけじゃないから…触媒の用意だけでカツカツだったのよ」

「それで本来の聖杯戦争で呼べない日本の英霊の触媒を用意してちゃ意味ない気がするんだが…」

「黙らっしゃい!そもそも今回の聖杯戦争では東洋の英霊も呼べるようになってるのよ!」

「なんでそんなこと知ってんだ?」

「今回の聖杯戦争の主催は京都の霊脈管理を行っている家でね、そこがこう公表しているのよ」

───此度の儀式では東西の英霊全てが入り乱れる混戦となる。

「…なるほど、それなら坂田金時の触媒を用意する理由になる」

「そういうことよ」

…なんか話がズレてきている。

「とりあえず、アサシンの対抗策は今の所私たちには無いからとりあえず探知用の結界とサーヴァントの傍から離れないこと、これが重要よ」

「なるほどな…とりあえず優先すべきはアサシンってことでいいのか?」

危険度で言えば現状最も高いのはアサシンだ、その判断でいいだろう

「そうね、とりあえずの方針はアサシンの探索及び撃破。次点でキャスターを倒す事ね」

そう言い切り、会議を終える。

「了解、ライダーもそれで問題ないか?」

「主殿の命ならば、暗殺者程度我が刃の錆にしてくれましょう」

やはりこのライダーはバーサーカーなのではと疑ってしまった。

穂乃果 side out


神永side in

会議が終わり、美作はバーサーカーと一緒に家へと帰って行った。曰く自分の工房の方が安心できるからだそうだ。まぁ道理は通っている、魔術師にとって工房とは自身を守る最大の城であり敵にとって最悪の鉾となり得るからだ。だが家にはまともな結界は無い、強いて言えば悪意のある者が入ってきた時に知らせる程度の物と簡単な式神による防衛式しかない。

「と言っても下手に改良はできないんだよな…」

やれることといえばバランス調整ぐらいだ、今は半々になっているがライダーの方がよっぽど防衛という点で見れば優秀だ、探知の方に偏らせていいだろう。

「主殿、一体何を?」

「家にかかってる術式を侵入者発見用に寄せているんだ」

「なるほど?では防衛機構もあったのでは?」

「サーヴァント相手じゃ役に立たないだろ?そこはライダーに任せるって訳だ」

それを聞いたライダーは自信満々に

「ええ、お任せ下さい!何せ私天才ですから!」

胸を張りながら答えた、天才…か。

まぁ英雄になるものは大なり小なり天才だろう、それを自負出来るほどの才というのであれば相当のものだろう。

「期待してるぜ、ライダー」

さて、家の術式はこれで調整完了だ。敷地内に指定したもの以外の魔力が感知されたら俺に反応が返ってくる様に調整した。

「さて、これで良しと…」

これで何とかなるだろう、アサシン相手にどれだけ通用するかは分からないがないよりはマシだ。

「これでやることは終わり…あ」

そういえば何かをずっと忘れていた気がしたがそういえば課題をずっと学校に置きっぱにしていた。

「主殿?何かあったのですか?面倒事を思い出したような顔をしておりますが…」

「…ちょいと学校に行く用事を思い出したんだ」

「アサシンの警戒をという話をした後に自身の工房から出るとは自殺行為では?」

「でもなぁ明日の日が出てるうちに行くのはまずいんだよな…」

そうなると確実にライダーが着いてくることになる、そしてそれを部活動の連中に見られてみろ、余計な火種になっちまう

「ふむ、ならば私も同行しますので今行ってしまいましょう」

「え?良いのか?」

「ええ、向後の憂いは断っておくべきです」

「良し、じゃあさっさと行って戻ってこよう。1時間もかからんから大丈夫だろ」

そう、その時は楽観視していたのだ。この聖杯戦争におけるアサシンの恐ろしさを───


神永side out

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