Memory

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「上手くなったらクロも描こう!」


 作文未満短文

 現パロ

 描写がないけどロビンちゃん視点

 死ネタ


 

 授業の一環で行った美術館、近代美術をテーマに並べられた一枚の絵画の前で同級生は動かなくなった。

 皆が小さな声で会話してノートに書きながら先に進んでいくのを横目に声をかける。


「その絵が気に入ったの?」


 睨むような視線がこちらを見て、すぐに絵に戻る。

 並んで見ていても特別さも変わった技術も使われていないしプレートを読むと大昔でもない。

 駱駝が好きという話は聞いたことがないけれど。


「美人さんね」


 思い出のショコラというのはこの駱駝の名前なのか違う意味なのかは作者しか分からないだろう。

 彼の文字を辿る指先が享年という文字で止まる。つい最近だ。


「聞いたことない名前ね」

「絵の才能なんてないからな」


 まるで知り合いの様な言葉に首を傾げてしまう。彼が産まれる2、3年前に死んだ人間にかける台詞ではないだろう。

 先生から注意を受ける生徒や感想を交わす囁く声に紛れるように


「また置いていかれた」


 ──そう溢したきり彼はただ、Camelの文字を撫でるように幾度もなぞっていた。

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