MONSTERS
「ハァ…ハァ…逃げないと…」
逃げる…そのことだけを考える…
あの人から無理矢理摂取された砂糖の影響で
ボーっとする頭を叩き起こしながら私は逃げ出した。
あの人は異常だ。
私と同じ髪、同じ背格好の生徒を拉致して集めて、
大量の『砂糖』を摂取させた上に、
カラコンを付けられたかと思えば、暇があれば暴力をふるってくる。
言っていることも支離滅裂で
「逃げた」だの「許せない」だのそんなことを言いながら殴りかかってくる。
そんな暴力女から私が逃げ出せたのは奇跡に近かった。
私は彼女から逃れるために、路地裏に逃げ込んだ。
「ハァ…ハァ…」
砂糖の所為か視界がブレる。
正直体力も限界だった。
そう思っていた時…
カツン…カツン…
足音が聞こえた。
「!?」
私はあの女が追ってきたんだと思った。
私は音の方向を向くと…
「……」
あの女ではなかった。
その場にいたのはあの女とは違う、
まるで雪のような、はたまたウサギのような白い髪の少女だった。
いや、見た目なんてどうでもいい!
「お、お願いです!」
私は彼女に助けを求めた。
あの女から逃げるために私は彼女に近づいた。
「助け…」
すると、目の前が真っ暗になった。
いくら夜とは言え、こんなに急に真っ暗になるのだろうか。
それと同時に目から何か液体のようなものが流れて…
それと同時に鋭い痛みっがあああああああ!
「ギャアアアアア!目…私の目が!」
痛い痛い痛い!どうしてどうして!
どうして私の目…痛い!無くなって…
何で私ばっかり…嫌だいや嫌いだい!
「……フフッ、アハハ!いいですね!」
生徒の笑い声が聞こえた。
目の前にいた彼女だ!
「……砂糖で狂った人の目が潰れると、安心できます」
そんなわけのわからないことを言っているのが意識を失う直前に聞こえた。
~
「ふぅ…スッキリしました。おや?」
「……相変わらず酷いことするね」
「お久しぶりです。相変わらずホシノさん集めに没頭してるんですか?」
「そっちこそ、中毒者の目潰しは楽しいワケ?」
「楽しいに決まってるじゃないですか。あと一つ苦情なんですけど…」
「何?」
「カラーコンタクトを付けるのやめてもらえませんか?せっかくの目にゴミが入るのは流石にいかがなものかと…」
「…それを言うならこっちの台詞。人のコレクションを潰さないでもらえる?」
「「……」」
おい!こっちの方から悲鳴が聞こえたぞ!
「「!」」
「…今度は逃げられないと良いですね。キャスパリーグさん」
「…そっちこそ。もう横取りはしないでよ。ヴォーパルバニー」
タッタッタッ
カツン…カツン…
二人の少女がいなくなりその場には
目を失って殺されていた桃色の髪の生徒の死体だけが残された。
____________________
(SSまとめ)