・Le destin

・Le destin


「さて、と」


 スマホを置いて一休み。見ていたのはあにまん掲示板というところのウマ娘カテゴリ。ウマ娘のアプリはやっていないけど、シングレを追ったりアニメを見たりと自分なりにウマ娘のコンテンツを楽しんで話題を共有している。

 そろそろお腹が空いてきたから食事にしようと立ち上がると、目の前で激しい光が起きたので思わず目を瞑って身構える。


「なんだいったい……ん?」


「ここあ……」


 光が消えて目を開けると、そこには金髪の美女がいた。しかもその頭にはウマ娘のような耳が生えていて、服装はトレセンの制服で。公式で見覚えがない姿なことを除けばウマ娘そのものだった。


「えーっと……」


「……アニマン」


「あにまん?」


「あなた、あにまん民、ですか?」


 やや片言なしゃべり方でいきなりあにまん民かどうか聞かれて困惑し、やや反応が遅れた。


「え、はい。僕はあにまん民、ですけど…」


「じゃあ、エッチ、しましょう!」


「いやちょっと待って…ください!」


 あにまん民だと答えたらいきなりエッチしようと言われてますます困る。確かに尾花栗毛のナイスバディウマ娘だけど、名前も、どこの誰かも知らないのにそういうことをする気には当然ならない。


「何がどうなってるのか、説明してください」


「せつめい、せつめい……わかりました、します」


 片言で金髪だし外国人?と思ったけどとりあえず言葉は通じているようだ。


「えっと、ワタシ、留学生で、フランスからの。アニメ、マンガ憧れて、日本文化学ぶため、来ました」


「それはいいんだけどウマ娘なのはなんで…?」


「ウマ娘、なってるですか?成功ですね!…ああ、それで参考書読みながらネット見たら、ブートン出てきた!」


「ブートン?」


「はい、『ウマ娘になれる代わりにあにまん民と強制的にエッチさせられるボタン』って出てきて、可愛いウマ娘、興味あったので、押しました!」


「なるほど、それでそのボタン…?押したらウマ娘になったと」


「はいです」


 とりあえず経緯は分かったけど、にわかには信じがたい話だ。押すだけでウマ娘になるボタンなんて。

 それに、ウマ娘になるだけでなく。


「ちょっと待てよ…あにまん民と、強制的にエッチ…?」


 そう、彼女(?)は確かにそう言ったはずだ。先ほど出会い頭にエッチしようなどと言っていたのは、つまり。


「はいでーす、だから強制的になる前に、しようと思って」


「うーん…申し訳ないけど、ちょっと後回しにしてもいいかな……いきなりそういうことは、さすがに無理だ」


「わかりました…あと、しばらくここ、居ていいですか」


「ああ、それはいいけど」


 急に現れて困惑したけど、この子自体は悪いひとではなさそうだし。


「よろしくです」


「うん、よろしく」


 そうして僕は、尾花栗毛の留学生ウマ娘と同居することとなった。





 その後数日が経った朝。なんだか違和感がして目が覚めると、布団がモゾモゾしており、バッとめくるとそこには。


「ちょっと、何して…?!」


 朝立ちしたソレを、豊満なバストで包んで上下するウマ娘の姿があった。


「すみません、体が、あつくて、うずうずして、エッチなコトしたくて、たまらないです」


「急にどうして……あっ」


 彼女が押したというボタン、その条件についてふと思い出した。『ウマ娘になれる代わりにあにまん民と強制的にエッチさせられるボタン』、その「強制的に」という内容がどんなものかと思っていたけど、どうやらこういうことらしい。


「その…すれば、治るんだろうか」


「わかりません……でもワタシ、アナタならいいですよ、エッチ」


「僕も…その、うん……。しよう、か」


「…はいです」


 僕は彼女と体勢を入れ替わって、その上に被さった。





「はあ……ふぅ……どう、かな?平気になった?」


 行為を終えてベッドの上で並んで横になる。初の経験で、気持ちよかったとか、上手くできたかとか、いろいろ頭に浮かぶことはあるけど、まずは当初の目的について。


「はい、スッキリしました」


「それなら、よかった」


「……あの」


 彼女がこちらに顔を向けてきたので、僕の方も目を合わせる。


「ワタシ、まだここにいていいですか?」


「……ああ。気が済むまで、いいよ」


 ありがとうございます、と言ってはにかむ彼女を見て、今後の生活について考えるのだった。




留学生尾花栗毛ちゃん



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