Jane Doe
だめーだ陵辱わかんねえやマキが行方不明になってから2ヶ月。
ヴェリタスの面々の間では重苦しい雰囲気が常に付き纏うようになっていた。初めは警察に補導されてゴネているだの落書きに夢中になっているだのと軽く考えていたが、流石にこれは異常だ。
チヒロは各企業へセキュリティアドバイスをする合間に聞き込みを行い、コタマとハレはあらゆる監視装置にハッキングを仕掛けマキの足取りを追っていた。
そんなある日、ヴェリタスの元に1通のメールが届く。
「ハレ、なんでしょう、これ。件名も宛名もないメールにファイルが添付されています」
「……なんだろ、ウイルスのチェックはした?」
「ええ、ただの動画ファイルのようです。2時間もありますけど」
「うーん、とりあえず再生してみようか」
『う゛わ゛ぁ゛ぁ゛……♡♡♡もうやだぁ♡もうやだよう♡きもちいいのやだっ!やなのぉ……こわい!こわいからやめてえ……♡♡』
「ひっ!」
「ひゃっ!」
モニターいっぱいに映し出される裸体の少女。
粘性のある液体に濡れ、肌に張り付く赤い髪と、快楽に溺れて濁り切った青い瞳。嬌声を漏らし唾液を溢す、だらしなく開いた口。あまりにも印象が違うため、二人はそれがマキだと言うことに気づかなかった。
いや、メールが届いた時点でなんとなく、マキの手掛かりではないかと言う予感はしていた。していたのだが、こんなに乱れた少女があのマキだとは信じたくなかった。
画面の中のマキはそれはそれは苦しそうに喘いでいたが、どこか悦んでいるようにも見える。それが本当に悦んでいるのか、そうでもしないと心が保たないのか、少しでもマキには苦しんで欲しくないと願うコタマとハレの見た幻覚なのかは定かでない。
ただ、確かなのは少し髪の伸ばしたマキは快楽責めにあい、幼児退行するほど参っているということである。
『あ゛ーーーーっ♡♡♡吸わないでっ!だめ!やだ!!うわ゛ぁ゛ぁ゛あ゛♡♡……たすけで!だれかぁ!!もうやだ!やだあ!!」
小さな身体には不釣り合いな大きさの触手を捩じ込まれ、それは長いストロークでゆっくりとピストン運動を繰り返していた。
触手が引き抜かれる度にマキのヘイローは薄れて行き、腹部の膨らみが窪みに変わる。膣口周辺の肉が触手について行くように引っ張られる。物理的にも吸引されている上に、もっと根本的で重要な、何かを吸い取られているようだ。
『きえ゛……っお゛お゛っ゛♡わたしが、きえちゃ……んお゛っ♡お゛っ!お゛ぉ゛♡♡ばかになる♡だめ……あたまからっぽになりゅのぉ゛お゛お゛……♡』
徐々にマキの絶叫から気迫が失せ、呂律が危うくなる。触手がジリジリと押し込まれる合間にマキのヘイローは少しずつ回復するが、吸引の頻度に対してまるで間に合っておらず、着実に消失へと向かっていた。
意識が、人格が、心が奪われている。
今まで積み上げてきた過去と、これから築く未来が食い潰される。
そしてその、ぽっかりと空いた空洞に快楽を注ぎ込まれては満たされ行く。自分が置き換わって行く。都合のいいように作り替えられる。心地良い。
お腹の内側をたくさん擦ってもらえて気持ちがいい。奥をたくさん突いてもらえて気持ちがいい。食べられるのが気持ちいい。辛いこと、嫌なことから解放してもらえて気持ちいい。
『あ……だめ、これっ、死……っ♡』
最後の一滴を残さないよう、一際吸引が激しくなりマキのへイローが完全に消失する。マキの抜け殻を満たすため、絶頂のデータが胎内に直接流し込まる。
ニューロンが焼き切れ、遂に言葉もなくマキは痙攣し、ぼたぼたと涙と唾液を流してやがて動かなくなった。
ブチっ。コタマの手によってモニターの電源が直接落とされる。
「はぁっ!はぁっ!……なんてことを!」
「こ、これ……」
コタマは怒りと嫌悪に顔を歪め、ハレは悲嘆と絶望に暮れる。
「マキ、マキです!信じたくはありませんが……とにかく、まだ生きています!発信元の特定を!」
「そんな、そんな、マキが……」
「……ハレ!気をしっかり!まだ間に合うかもしれません!」
コタマはへたり込んでしまったハレを揺さ振り、なんとか再起させようとするが、ハレは一点を見つめてされるがままだ。
せめて自分だけでも、と立ち上がった瞬間物質のドアが開く。
「副部長ッ!先ほど……えっ、マキ?」
コタマの視界に飛び込んだのは赤毛の少女。いつもの髪型、いつもの服装、いつもの笑顔にいつもの銃。
普段と変わらない様子の小塗マキ。そのヘイローの中心には白蛇がとぐろを巻いていた。