Happy Valentine in Pirates2

Happy Valentine in Pirates2



カイドウの経験話を聞いた麦わらの一味は緊張感溢れる空気をルフィの能天気な発言で打ち消されていた…

「…“お祭の精霊”か…確かに海兵の間でも聞いたことはある、海軍での規律に【海を行く者“お祭の精霊”に逆らうべからず】と言うのがあるからな…尤も目撃されているのはもっぱら新世界側らしいが…そいつがここに?」

「可能性はある、何せ今日はバレンタインデーだろう?まぁ不機嫌を買わなきゃどうにでもなるが…間違っても戦おうだなんて思うんじゃねぇぞ、食い物に変えられるからな」

「カイドウがそう言うってこたァ相当だな、周りの警戒を強めて…」

ドレーク、カイドウ、ゾロの3人が警戒を強めていると、ルフィが徐ろに叫び出す。

「うっひょー‼︎見ろよお前ら‼︎チョコの海だァ‼︎」

「…手遅れのようだな」

「こう言う運だけは強いからな、うちの船長」

言うが早いか既に海上にはチョコレートの甘い匂いが充満している、甘さに弱い者は胸焼けで倒れてしまうだろう、するとやはり例の人物も現れる。

「チョ〜コッコッコッコ‼︎野蛮なパイレーツ達‼︎happy Valentine‼︎元気にしてたかしら⁉︎今日はめでたいバレンタインデーよ!イケイケな男から冴えない男まで、みんなに甘ーいチョコレートをプレゼントしちゃう‼︎」

やはりやってきた、お祭の精霊だ、背中にはいつか空島で見たのより立派な羽、そしてチョコレート色のドレスとホワイトチョコ色が入り混じった杖を携えている、そしてその姿はどうも一味の面子は見た事があるようで…?

「え〜⁉︎ウタァ⁉︎なんでこんなとこにいんだ⁉︎」

「あら?ラブリーな麦わらボーイ、貴方には私がそう見えるのね?生憎だけど私はそのウタって人じゃないのよ、ごめんなさいね?でもそう、その姿があなたにとって大事な人なのね、他のボーイ&ガールズ達にも違った姿が見えてるんじゃないかしら、大事な人って千種万別だもの‼︎」

とんでもないことを言い出す精霊だ、なるほど、人によって見える姿が違うなら捕まる通りはないだろう、そして精霊というのもあながち間違いではないらしい、現に見聞色に長けた者達が察知しようにも感じ取れるのは“ヒトではないナニカ”であるということのみ、動揺を隠せない一味だが…

「お前がカイドウが言ってたお祭の精霊だな‼︎」

「カイドウ…?あぁ‼︎あの時のツノボーイね、立派に育ったのねェ…何故か縮んでいるみたいだけども」「放っとけ」

「警戒して戦闘態勢に入ってもらってるところ悪いのだけど…私には戦う力ってのがないのよね…一方的に物に変えることはできるけど強いて言えばそれだけだもの、それに戦闘なんて私の本分じゃないし?それは別側面の役目…私はみんなにチョコレートを配りにきたのよ‼︎そこの懐かしい麦わらを被るラブリーボーイ‼︎貴方…チョコはお好き?」

「大好物ー‼︎」

「まぁ即答‼︎嬉しいわ‼︎ちょっとサービスしちゃう‼︎」

そう言うとボンッと愉快な音を鳴らし現れたのはチョコの山だ、かなりの量があり通常ならば食べ切るのに時間を要するだろう…通常ならば

「チョコ好きな貴方にはサービスしちゃう‼︎さぁ食べていいわよ‼︎」

「分かった」シュバババ 「もっとくれ」

「「手品か‼︎」」

何時ぞやのアラバスタの如く瞬殺…基瞬食を見せるルフィ、もはやその場にチョコがあった時間の方が短い、これにはお祭の精霊も唖然だ。

「…まぁ、そんなに直ぐ食べ切るなんて…こんなにチョコが好きな人間ってあの時のピンクガール以来‼︎燃えてきたわ‼︎いいでしょう‼︎あなたにチョコレートの天国を見せてあげる‼︎“チョコレイトファウンテン‼︎”」

そう言うと精霊は技を使用したのかと思うと固まりチョコの海が大陸になった場所から大量のチョコ菓子が噴水の如く吹き出してくる。一瞬の間にこれだけのチョコを生成したらしく、ルフィは目をハートに変えゴムゴムの銃乱打の要領でチョコを掴み取っては口の中に放り込んでいく。

「あのボーイにはあれでいいでしょう…さてさて、後は残りのボーイ&ガールズ達ね…あなた達に合ったチョコレートを渡してあげるわ‼︎」

そう言うと各々に別々のチョコレートが手渡される、それぞれが口にするがどれも頬が落ちそうになる程美味なのだ、成程確かに、伊達に“お祭の精霊”とは名乗ってないらしい。

「どうかしら⁉︎世界一のチョコレートの味は‼︎今日はそれを幾つでも食べれるのよ、happyでしょう?」

そう精霊は聞いてくる、確かに美味ではある、しかし否定したのは意外にもルフィだった。

「美味ェのは美味ェけど…んーおれはやっぱサンジが作るオヤツの方が好きだ‼︎」

「え…」

衝撃発言だ、何せ自分が作ったものより他人が作ったものの方が美味いと言われては精霊の矜持に傷がつくのだろう、とそう思った一味だが精霊の反応は思ってたのとは少々異なった。

「そんな…そんなのって…くぅ〜ッ‼︎イイ‼︎凄くいいわ‼︎貴方‼︎そうよ‼︎バレンタインデーはそのチョコにどんな思いが込められてるかも大事ですもの‼︎貴方のような純粋に楽しめる子なんて“あの人”以来よ‼︎」

「“あの人”?」

「んン…失敬、興奮しすぎちゃったわ、さてさて、他にもバレンタインを待ってる子はいるし何よりここでの私の役目はおしまいなのでェ…私はお暇するわ‼︎じゃあね、“太陽”に愛されし“麦わら”を被りし少年‼︎あなたならいつか真実までいけるでしょう…貴方にこれからの旅の加護ありますように‼︎」

そう言い精霊は去っていった…なにやら面倒な事も言っていたような気がするが、気のせいだろう。

「んで、どうすんだ船長、チョコはもう大量に食ったが…」

「まだサンジとモネが作ったチョコを食ってねェ‼︎」

「だろうな、すぐ準備するよ楽しみにしてまっとけ」

そう言いサンジとモネは厨房に戻っていった…

【遥か空】

──ふふふ、まさかアレがあの子に宿ってるとはねぇ…世界ってやっぱり面白い‼︎さぁて…多分他の面もあの子には会いたがるんでしょうけど…んーこれは同調しなくてもいいわね、自分で見つけてほしいし…ね?

Fin


おまけ、他の面子のから見た姿ともらったチョコレート一覧

ゾロ:成長したくいなの姿(まんまたしぎ)

サンジ:今は亡きお母様

モネ:ちゃんと成長して大人になったシュガー

チャカ:ビビ

ドレーク:意外にもおつるさん(ドレーク母は経歴が不明の為)

ロー:成長したラミー

カイドウ:結婚した女(ヤマトの母)

キング:母親

ドラゴン君ちゃん:“本来の”精霊の姿(動物故の超直感)


チョコレート

ルフィ:大量のチョコ菓子(一つ時価相場で数千Bはするかと言う高級チョコばかり)

ゾロ:ヴィタメール(酒に合うチョコから)

サンジ:ジャン=ポール・エヴァン(サンジのイメージ国、フランスでの有名ブランドチョコ)

モネ:ガトーショコラ(シュガー繋がり)

ロー:Halloren(イメージ国、ドイツに今も実在するドイツ最古のチョコレート製造会社)

ドレークGODIVA(元々ベルギー創業だが今はドレークのイメージ国、トルコの会社の傘下)

チャカ:Patchi(アラバスタのイメージ国エジプト、及び中東のGODIVAと称されるチョコレート)

カイドウ:Damontei Chocolate Sake Kasu(こちらもゾロと同じく酒に合うチョコ、こちらは日本酒)

キング:月光(実在するチョコレート、ルナーリア族からルナ→月という事で)


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