GIVE A BC

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「さあ帰ってあげな きっとこんな時間でも目をこすりながら待ってる」

雪緒はそう言って一護を帰るように促しチャド井上も一度帰路についた

残ったのはXCUSIONの昔からのメンバーだ

「一護の完現術も完成した 月島も本格的に動きだした今が山だな」

「"山"ですか 少しばかり不安になりますね」

山という言葉に少し反応したギリコに銀城は励ましの声を掛ける

「山とはいえ決して乗り越えられないわけじゃない 一護の奴も頼りにしてるが俺自身も頑張って...!?」

異変は唐突に起きた アジトのドアが開いた 暗号を間違えずに一発で解いて

「誰か忘れものでもしたか...それとも月島か…!」

少なくともXCUSIONのメンバーは全員いる 一護たちは帰したがそれが帰って来ただけなら杞憂で済むが

立っていたのは小さく俯いた人物 小学生くらいに見える...銀城には少しだけ心当たりがあった

「小さくて紫色の髪で...和服 お前『虎屋翼』か?」

自力で脱出したのか?月島が外にでて戦闘を行っている間の隙を突いたのかと考えた銀城に対し周りのメンバーは全力で戦闘態勢を取った

「おい!?待てお前ら!まずは事情を聞いてから...」

『虎屋翼』が顔を上げた その全身は満遍なく焼かれ酷く痛々しい

「月島...あいつ力を手に入れるためにここまで‼」

義憤に駆られる銀城は気づいていない 周りの皆が青ざめ腰が引けている事に


「......」

未だ『虎屋翼』は何も語らない そもそも喋るのが辛い可能性すらあると判断する銀城だが漸く事態は動き出す

瓶が一つ投げられた ゆっくりと重力によって落ち瓶は割れる

「...最悪だ『毒』とかじゃない『病』だ」

先ほど一護の修行の為にバッテリーをかなり消耗している雪緒が冷汗を流しながら伝えてくる

「正気かい!?こんな密室で自分事巻き込んで!?」

「月島に自爆特攻させられているのか!」

「止めるのは無理だよ それ以前にこのアジトから直ぐに出ないと僕らがその前に死ぬ」

ジャッキーが翼が自身を巻き込んだことに困惑し雪緒は銀城を止めた

「...私が彼を退かせます 今は少しでも"時間"が惜しい」

このアジトはかなり頑丈で無理やり抜け出すとなると時間がかかり全員が感染する危険性が高い ギリコは翼を退け玄関から皆が出る方法を選んだ

「『タイム・テルズ・ノー・ライズ』!」


だが拍子抜けなことに翼はギリコが放つ数字の群れを避けるのみ 話に聞くような攻撃は一切してこない

「一護から聞いていた能力を使われたり攻撃をされたら不味かったが...まさか姿かたちだけ真似た偽物...?」

銀城はあまりに不可解なこの状況を理解することが出来ないまま玄関にひた走る

...危機は脱した 皆息も絶え絶えになりようやく一息ついた

「何がどうなってる...このアジトの暗証番号は当てずっぽうやハッキングで解けるとは思えねえ 月島が最初から知っていて教えたのか...今の段階じゃわからないことだらけだ一護にはアジトの場所が変わったことをどうにか伝えねえと」

「最初のアジト襲撃から直ぐにまた次のアジトへ全く時間通りいかず...ゴホ...失礼咳が ゴホゴホッ...」

銀城の話に相槌を打とうとしたギリコ少しだけ咳をした それを皮切りにどんどんと酷くなり...最後には吐血しながら咳き込みだした

「さっき言ってた『病』ってやつでもこれはおかしい...なんで中心にいた『虎屋翼』は平気でギリコはこうも早く重症化している!?」

「口じゃなく手を動かしてよ...治すのは無理だ 症状と進行を抑え込むようにするよ」

『インヴェイダーズ・マスト・ダイ』の仮想空間にギリコを入れ停止する 今できるのはこれが限界だ

「井上織姫の力を借りるか...そうすればギリコは治るはずだ」

「大丈夫だよ銀城 停止しているなら死にはしないだろうし...後は僕がみんなの面倒を見てあげるから ね 『みんな』?」

月島が銀城の前に現れた 銀城は仲間を奪われ一人になってしまった


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