FINAL PLUSより抜粋(捏造)

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「ようやく……墓参りできたよアサギさん」

 C.E.74年、ギルバート・デュランダルの提唱した『デスティニープラン』は阻止され、オーブとプラントは停戦協定を締結した。

 キラ達がオーブの慰霊碑に足を運んだ最中、オウ・ラ・フラガはキラ達と別れ一人違う場所に居た。それは、第二次ヤキン・ドゥーエに散ったオーブ軍兵士を祀る慰霊碑……オウはその墓碑に刻まれた名前をなぞる。

『アサギ・コードウェル』

その名前は、オウがヤキン・ドゥーエで守れることができなかった、オーブM1アストレイ部隊の一人であり、親しくなった女性の名前であった。

 花を添え、手を合わせるオウ。彼女が死に、兄たるムウも生きていたなど思えない最後を直視したオウは、発狂してアークエンジェルから消え、宇宙を彷徨う幽鬼に成り果てた。しかし、また戦争が彼をアークエンジェルに引き戻し、また戦って、ようやく全てに蹴りがつきこの場所をカガリに教えてもらったのである。

「まだまだ平和に程遠い、やっと一歩進めただけかもしれませんが、俺もキラ達と頑張ろうと思います」

自分なりの決意を慰霊碑に語り、オウは用は済んだなと振り返る。そうしてオウさ驚いた。

「あの……」

「あ……ミーアさん?」

 まさか、ここまで近づかれるとは気づかなかったと、オウは驚いた。そこに立っていたのはラクス・クライン……ではない。同じ顔を持つ美女……ミーア・キャンベルであった。

『ミーア・キャンベル』

 ギルバート・デュランダルが、ザフト軍の鼓舞と政治活用の為に、ラクス・クラインの威光を利用する為にオーディションを開き選ばれて、整形の果てにラクス・クラインとなった女性。

 だが、本物のラクスが表に出たことによりデュランダルに切り捨てられ、ラクス暗殺の為に彼女に助けを求め呼び出した。その暗殺は失敗……その時にオウは彼女を助けアークエンジェルに連れて行ったのである。

「どうしてここに?」

「あなたのお兄さんから、多分ここに行ったと聞いて……」

「兄貴がですか……」

 わざわざ自分を尋ねに来たのか、兄から行き先まで聞いてとオウは頭を掻いた。

「……少し話しませんか、ミーアさん」


 オウは……自らの身の上を彼女に語った。というのも、彼女と自分には少しばかり似たような立場に居たから、という同族意識があったからである。

「では、貴方も地球連合の……」

「コーディ嫌いからすれば、キラの存在と手柄が厄介だったんですよ、俺はそれを被らされたんです」

 オウもまた、地球連合からはエースパイロットとして扱われた。キラの手柄を全て押し付けられ、当時の最新機を配備された『タイガーキラー』と異名をつけられ、地球連合の英雄に担ぎ上げられた過去があったのだ。

「自分も……キラと共に戦って生き抜いてきたから、ガキであったからか……強いと勘違いしててね、その結果自分だけ生き残ったんです……あそこには、俺とキラの組んだOSを載せたMSの兵士、守れなかった人が眠ってるんです」

「そんなことが……」

 海を望む道路沿いの欄干に手を置き、沈む夕日を眺めながらオウは語る。利用されながら、それに乗せられてそして突きつけられた無力を彼女に語った。

「あなたはまだマシな方だ、ラクスでありたいと言ってたけど……確かに、ラクスになろうとしたけど……その歌声も元気も、ザフトの兵士はしっかり貰ってただろうさ」

 互いに利用された者同士、だがそちらはまだ人を救えたからマシだと卑下するオウに、ミーアの表情が少し曇った。オウは焦った、いかんと、言葉を間違えたと。

「あーつまり……えっと、なんだ……キミがその、ラクスの顔じゃなかろうと、しっかり歌で人気も士気も上がってたさ、デュランダルは惜しいことをしたなー……なんて……はは」

 何とか繕おうと無様な言い訳をしてしまうオウは自らを嫌悪した、カレッジ時代のナンパですらこんな酷くなかったなと自嘲した。

「えっと……ごめんなさい、帰ります……」

 何がしたかったのか、彼女をどうしたかったのか……オウはあまりに無様な自分に嫌気がさして背中を見せた。

「わ、私……これから!戦地の慰問に行こうと思ってるんです!!」

 それを呼び止めるように、強い声が背中に叩きつけられ、オウは止まった。

「ミーア・キャンベルとして、被災地や戦場に……それで、あなたの兄さんから聞いたんです!ギターが上手いって!」

「は、はぁ……」

「だから……一緒に来てくれませんか!バックバンドの一人として!!」

 唐突な誘いであった、何故自分なのだと、オウは考えた……。

「お、俺でよかったら……」

 その時は、オウも、ミーアも全く予想もできなかっただろう。利用されたナチュラルの英雄とコーディネイターの歌姫が、共に道を歩み始めた二人が、恋を知り、愛し合う仲になろうなどと。

 隔たりを超えた象徴が、生まれようとしていた。



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