【FGO×蒼き雷霆ガンヴォルト爪】新しい青写真

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金髪の少年と、緑がかった黒髪の少女が歩く姿を遠巻きに眺める。


「本当に良いの? 何も言わなくて」

「…うん。元々別れは覚悟してたし、何よりわたしはGVにとって“呪い”だから。わたしに邪魔されずにオウカと歩けるようになって、“神園ミチル”っていう都合の良い存在に希望を託すことまでできたのに、それを潰すみたいな真似できないよ」


問いかける立香に対し、金髪の少女……シアンは悲しげな表情でそう答えた。

───この特異点における戦いは、言ってしまえば『シアンが自身の恋に折り合いをつけるための戦い』だった。

第七波動(セブンス)と呼ばれる超能力を持つ人類が現れた、近未来のパラレルワールド。そこで勃発した戦いの中で一度……いや、ある意味では二度死んだ少女、シアン。そんな彼女の絶望に、世界を越えて流れ着いた聖杯は歪んだ形で応えた。

形成された特異的点で行われたのは、無意識下でのシアンの望みを叶えるべく、幾度も繰り返される聖杯戦争。GV……ガンヴォルトとアーチャー・エミヤ・オルタの主従をはじめとする各陣営が入り乱れる異形の聖杯戦争を、立香はなんとか勝ち抜いた。

そうして虚空の円環を脱し、シアンの恋に一区切りをつけた立香は、シアンのサーヴァントだったセイバー・斎藤一から彼女を託された。『自分やガンヴォルトに変わって、シアンの望みを叶えてやってくれ』と。

…今のシアンは実体なき精神生命体ではなく、聖杯の力を受けた一種のサーヴァント。さらに、クロやエリセのようにカルデアへと連れ帰ることが可能な客人だった。これならば、セイバーの願いを叶えることは可能だろうとカルデア側は判断。シアンの持っていた聖杯と共に彼女をカルデアに迎え入れることが決定した。


「行こうか、カルデアに」

「うん」


翡翠の瞳を伏せたシアンが、淡い金髪を翻す。まるで蝶が舞うようなそれは、幻想的な光景となって立香を見惚れさせた。


───


カルデアでの生活は、シアンにとって驚きの連続だった。

まず、セイバーと再会した(別召喚なので記憶は引き継いでいなかったが…)。

右を向いても左を向いても超常の力を持つ人達ばかりで、自分の力が強力ではあれど何ら特別ではない状況に置かれた。

(少なくとも外見上は)同年代のサーヴァントと共にゲームやスポーツで遊んだりした。サーヴァント故にある程度の身体能力が保証されているのは、巨大組織に幽閉されて運動とは縁遠かったシアンにとって嬉しいことだった。生前も同年代の相手と遊んだことはあるが、その時は今程動けなかった。だから武闘派のサーヴァント程でないにしろ、アスリートの端くれくらいには動ける今がとても新鮮だった。

何より驚いたのは…。


「ぅあ゛あ゛あぁぁっ♥♥♥ それっ、それすごいっ♥♥♥ すごいぃぃ♥♥♥」


立香と交わす、セックスの気持ち良さだった。

…そして、対する立香もまた、良好な抱き心地と膣の具合に舌を巻いていた。

美しい外見、小さく愛らしい身体、離したくないと締め付けてくる膣内、飲み込みの早い頭…。…とてもけなげだ。ガンヴォルトが置かれたレベルの極限状態でなければ、早々手放そうとは思うまい。


「シアンのナカ、とってもイイよ…! セックスに貪欲な女の子は好きだな…!」

「あっ♥ 嬉し♥ 嬉しいよぉ♥ そんな風に褒めてもらえて、わたしッ…♥」


シアンの言葉を聞いた立香は「褒められたことがほとんどないのだろうか?」と内心で考えた。

…無論、そんなことはない。シアンとて歌の上手さで褒められたりしたことくらいはある。第七波動“電子の謡精(サイバーディーヴァ)”の力がなくとも、歌姫になれる素質はあるのだ。

しかし、精神生命体となってから受けた仕打ちの数々は、シアンの自己肯定感を徹底的に打ちのめしていた。

悪意ではなく、善意に根ざしたそれらに異を唱えることはできなかった。結果として、シアンはGVとの未来を諦め、そしてこうなった。


「あっ♥ あぁぁ…♥♥♥」


立香にのしかかられ、激しい種付けプレスで幼げな身体を蹂躙されながら、シアンは考える。


(GVは、オウカとこんなイイことをしてたんだ。…わたしにはなんにも教えてくれなかったのに)


過去を想う度、自分はGVにとって妹分でしかなく、対等な関係などではなかったのだと実感させられる。

現在を想う度、シアンは立香に必要とされている、愛されていると実感できる。

未来を想う度、目の前には虹色に輝く明日があるのだと期待できる。


(…あぁ…)


…もう、叶わぬ初恋という蛹は脱ぎ捨てるへきなのだとシアンは感じた。地を這う芋虫から綺麗な蝶になって、立香と共に自由な空を舞うのだ。

───だから。


(…さよなら、Gぶ……ぅぉ゛っ♥♥♥)


立香の精液を受け止める瞬間、シアンの脳裏に初恋の人の姿が浮かび……白濁とした幸せに呑まれて呆気なく消えた。

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