Fンダ同棲
このふたりはイチャイチャしすぎてない関係も良い「そんなとこで寝てたら風邪ひくわよ、ちゃんと布団入って寝なさい」
ソファに腰かけて少し眠っていたところ、通りがかったらしいソダシに注意されてしまった。手にはブランケットを持っているから、もしかしたら俺を気遣ってくれているのかもしれない。
「そうだな。ところでソダシは何故ここに?」
平然と会話をしてしまったが今日は休日で、俺はひとり家にいたはずだ。そう疑問を口にするとソダシはあきれ返ったようにため息を吐いた。
「なに、寝ぼけてんの?」
「そこまで深くは眠っていないはずだが」
「ならあんたは大アホね」
「ひとをアホ呼ばわりとは」
「だって忘れたんでしょう?この間からあたしと一緒に暮らしてること」
何を今更、といった様子で言い放ったソダシに、寝ぼけていた頭がスーッと覚醒していったのがわかった。
「そう、だったな」
「一緒に暮らしてる彼女を忘れるなんて、ひどい男ね」
「……そんなつもりは」
「わかってるわよ。ほら、そっち詰めて」
「?」
「ソファ半分開けてって言ってるの。あたしも座るから」
グイグイと体を押されて、言われるがままに横にずれる。すると、ソダシは開いたスペースに座って、向かいにあるテレビにリモコンを操作し始めた。
「何か見るのか?」
「だいぶ前、観に行こうって言ってたけど行けなかった映画あるでしょ。あれがサブスク解禁されたの」
「そうか」
「あんたも一緒に観るのよ」
そう言われてソダシのことがどうしようもなく嬉しく、愛おしくなった。元はと言えば俺が体調を悪くして観に行けなかったのに。
「少し待ってくれ。飲み物を用意してくる」
「ならあたしカフェオレね」
「……作れと」
「嫌ならいいのよ」
「いや。作らせてもらおう。多少時間はかかるぞ」
「構わないわ」
珈琲から淹れるのは面倒だが、それくらいのことでソダシが喜ぶのなら造作もないことだ。菓子を用意して、湯が沸くのを待つ。
休日はまだこれからだ。