Emulate The Creator
1黒腔を一護ともに駆ける 卯ノ花隊長とは一度離れ藍染の許へと突き進む
チャンスは一度きりでありとにかく強い一撃を最大限活かして藍染に届けなければなならない
「...ダルヴァならどうすんのかな 俺の立場なら」
一撃に神経を研ぎ澄ませようとしている一護とは裏腹にマツィヤの意識は一度ダルヴァの事を思い出した
なんだかそれが嬉しいようなあんなジジイ思い出したくないような不思議な感覚だった
黒腔の中で詠唱を少しずつ丁寧に一節一節を読み上げる
「散在する獣の骨 尖塔・紅晶・鋼鉄の車輪 」
黒腔を出た 藍染がいる 背後を取った 一護が月牙天衝を放つ
(たぶんダルヴァなら『月牙天衝を喰らいながら進む』...!)
「動けば風 止まれば空 ...槍打つ音色が虚城に満ちる」
詠唱は決して止めない ダルヴァ程ではないがマツィヤだって大概堅牢なのだ
「破道の六十三『雷吼炮(らいこうほう)』!」
「久しぶりだね 旅禍の少年──そして君は初めましてかな被造魂魄
互いの表情を見るに攻撃に飛び込んで不意打ちを狙ったのはアドリブだったようだね」
藍染にいくつか火傷の跡が見えた 破道の六十番台とはいえ月牙天衝を防ぐために防御の大半を割いていたために藍染に直接鬼道を浴びせることが出来た
「大丈夫かよお前!?月牙天衝をもろに喰らった上でなんて」
「オレンジウニ テメェが何言っても俺は反省する気はねえからな 攻撃に混ざったことを恨みたけりゃ『生半可』な攻撃をした自分を恨めよざぁこ♡」
「残念だがそれは思い違いだ旅禍の少年 君が虚化して撃ったとして私を一撃で倒せるなどという...
話している短い時間でいつの間にか藍染の傷は塞がり果てには消え失せてしまった
一護が虚化して月牙を放ってもまるで話にならないほどの壁絶とした実力差があった
先程の一撃自体が一護の月牙天衝の威力の高さを逆手に取った一発芸だ...同じ手は通用しないしそもそもまた同じ当たり方をしても怪我をするかどうかすら怪しく感じるほど藍染との『差』に圧倒されていた
一護が藍染の問答に飲まれかけ狛村隊長に止められた後マツィヤは
「俺はこれでも回道が得意だからな テメェらの中で割と早めに潰れたざぁこ共♡がいたら治して回ってやるよ」
「う...うむ?協力してくれるのはありがたい話だが...?」
適当な問答を済ませて裏方で治療をしに回ることにした