EATraining
1「おんしが虎屋翼じゃな!おんしにも霊王宮に来てもらう」
「私もですの?怪我なんて碌にしてませんし刀も折れてませんわよ」
和尚が翼にそう言い渡し翼が疑問に思い言い返すと麒麟児が食ってかかった
「お前えはよ!そんな魂魄をほぼ全壊させて金継ぎ染みたやり方で直した振りしといて何言ってやがんだ痛えなチクショ───!」
「そう強く言っちゃ駄目だよ!ともかくこの子はアタシが面倒みるからね!」
桐生と名乗った太った女が麒麟児を叩き翼の前に立つ 物理的な怪我はどうやら麒麟児が診て魂魄に関しては桐生がどうにかする気らしい
そして今 翼は延々と食っちゃ修行して寝てを繰り返していた
「もうちょっと修行させてほしいのですけれど...」
「ただでさえ傷が深いんだから!しっかり食べて治してを繰り返さないと駄目だよ!」
翼は一日十食かもしくはそれ以上の食事回数(間食を含む)を挟みながら修行を繰り返していた
桐生が言うには井上織姫の治療は出会う以前の傷に関してはノータッチであり死神代行の偽装という負担も相まって魂魄は限界を少し踏み越えた状態でとどまっていただけだと言う
グレミィの能力が無ければ案外ぽっくり逝っていたらしく「これ以上無茶をするんじゃないよ!危ないからね!」と口うるさく言われ続けている...修行も無理に止めて抵抗の結果傷つく方が深刻だからと向こうが仕方なく折れてくれたため出来ている
一度食事処を離れて千手丸の所で採寸すらなくただ雑談だけされたが...翼自体には特に興味は無く 翼の着ている先祖の形見の服が気になっているようだった
先祖が孫の為に自身を狂わせながら機を織り縫い上げた着物を見て『素人であろうと才を持つ者が何もかも売り払って織っただけはある 妾が織ろうと三日では到底織りきれぬじゃろうな...服の詳細だけは見せてもらえるかえ?』
翼は着物を預けてすっぽんぽんで三時間修行をしつつ待っていた 和尚が時間がかかり過ぎだと様子を見に来て千手丸は少し怒られていたらしい 更に三十分してようやく服が帰って来た
ひたすらに喰い傷を癒し ひたすらに本物の滅却師の力の使い方を慣らした...後はユーハバッハへと刃を向けるのみ__