Dear yellow hyacinth

Dear yellow hyacinth

もしもドゥウム兄さんがクソボケ(自覚あり)だった場合のはなし

ドゥウム兄さんがクソボケの振りをしているだけだったら。

ツララちゃんはクソボケのままです。

この物語はifでありフィクションです。

実際の人物、団体、スレで出てきたドゥツラ概念には一切関係ありません。

本編ドゥウムはまごうことなきクソボケです。

本編ドゥウムはまごうことなきクソボケです。(大事なことなので二回言いました)




そうだな…おそらくそれは一目惚れのようなものだったのだと思う。

まあ私は目が見えないのだがな。

…ここは笑うところだぞ?ジョークだ、ジョーク。

ただ、美しいと思ったんだ。

彼女の魔法が、戦い方が、何より心が。

だから彼女になら神覚者を譲ってもいいと思ったし、できることなら友人になりたいと、あわよくばそれよりも近い関係になりたいと思った。

目が見えないことを気にしたことなどなかったし、むしろ都合の悪い時の言い訳にしたりもしていたんだが、あの時だけは目が見えないことを悔やんだりもしたな。「どうして私は彼女の姿を、瞳を見ることができないんだろう」とな。

家族以外でどんな姿をしているのか知りたいと思ったのは彼女が初めてだった。

それから共に魔法局に就職して、親交を深めていって。

森育ちで常識に疎いのと、彼女が寒がりなことをいいことに少しずつ、少しずつ距離を詰めていった。

彼女は何も気づいていない。

周りが恋人同士だと誤認するほどの距離になったことが私の思惑通りだということも、彼女が私に笑いかけるたびに優越感に満たされていることも、彼女が私以外の誰かと親しそうにしているのを見ると腹の奥底でドス黒いものが湧き上がってくることも。

いつか、私が彼女を閉じ込めて、他の誰も見れないようにしたいと考えていることだって。

私が彼女に対して仄暗い感情を抱いていることなんて微塵も考えずに、私が見ることのできない眩しい顔で笑うんだ。

だが、今はそれでいい。

どれだけ時間をかけたとしても、最後には彼女の隣に私が立っていられるように。

私なしでは、彼女が生きていけないように。

…実を言うとな、割と最近までは…いや、今もか。

殺されるなら彼女が良いと考えていた。

マッシュを匿っていることがバレたら、イノセント・ゼロのことがバレたら、世界を敵に回したとしたら…

まあ自惚れではなく私たち兄弟は強いから、それでも平気だろう。

しかし、数の力というものは絶大だ。いつか限界が来る。

そうした時に、私を終わらせるのは彼女が良い。

何よりも美しい、彼女の魔法が良い。

そうすれば、心の臓まで冷え切ったのだとしても、幸福の中満足して死ぬことができるだろうから。

追われている時点でそんなことを望めるような立場じゃないことは分かっているのだがな。

彼女はとても優しいから、私を終わらせてくれるんじゃないかと少し期待してしまうんだよ。




「とまあ、こんな感じなわけだが」

「嘘だろ。嘘だろお前」

「うっわあ………」

「自分から聞いといたくせにドン引きするのどうなんですか」

「いやドン引きするだろこれは」

「実際ツララのこと好きなんだろ?って軽い気持ちで聞いた数分前のオレ様をぶん殴りたい」

「ライオさんは悪くありませんって。こんな激重感情隠し持ってるとか思えないでしょ」

「今すぐツララに逃げてと言いたい」

「やめろ言ったら消されるぞ」

「そんなまさか。言う前に消します」

「ひぇ…」

「別に何をしろと言っているわけではありませんよ?ただ邪魔さえしないでいてくれれば」

「分かってますよ」

「馬に蹴られたくはないからな」




一応言っておくとここにいるのはツララちゃんとデリザ、ドミナを除いた神覚者です。

ナチュラルボーンクソボケもいいけどクソボケに見せかけた激重もいいよね。

ちなみにヒヤシンスは冬の花。

黄色のヒヤシンスの花言葉は「あなたとなら幸せ」「勝負」です。

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