DEATH WITHOUT SENTIMENTSLITY
1鯨の死によって多量の血液が撒かれた戦場で死神二人と被造死神一人が共同の戦線を組み 二人の滅却師を相手取る
「で 俺と乱菊はどうすりゃいい」
「ダルヴァじゃないほうを抑えてくれ ダルヴァは俺が殺すからな」
マツィヤが吠えた それに呼応しバズビーも吠える
「良いぜ 焼き氷だけじゃ物足りなかったところだ...焼き魚にしてやるよ!」
「あんまり油断はせぬようにな~」
呑気しているダルヴァはさておいて双方駆け出し克ち合う
「乱菊...!」「分かってます!」
日番谷と乱菊は灰猫を用いた耐熱性の高い氷で滅却師二人を滅物理的に分断する
その氷を解かそうとバズビーが指に力を籠める そして指は赤熱し赤い"光"を放つ
「あんま光ると危ないぜ もう既に放ってあるからな...」
鯨の血から長細い魚が勢いよく飛んでくる...駄津(ダツ)である 生身の人間であれば首に突き刺さり死に至ることもある
更にこの魚は群れを形成し 光に向かって勢いよく飛んで行く!
結論を言えば駄津がバズビーに大量に突き刺さりに行った 静血装でバズビーは守りを固めたため事なきを得たが 同時に二人の合流は妨げられた
ダルヴァは多少焦っていた 自身の死だとか怪我では無く援護が十全に出来ないことについてである
かつてのダルヴァであればここで前に進み氷を叩き割るなり敵を足止めするといった行動を取っていたが今は違う
『後ろに下がり』 ダルヴァの腕から発生した斬撃は枝分かれし小さな斬撃となって
敵である日番谷やマツィヤに降り注ぐ
敵へ攻撃し相手に回避を強要 相手の更なる攻勢を未然に防ぐ...ある種一般的なセオリー通りであり かつてのダルヴァのセオリーとは真逆の行いである
それ故にマツィヤに後れを取った
「散在する獣の骨 尖塔・紅晶・鋼鉄の車輪 動けば風 止まれば空 槍打つ音色が虚城に満ちる」
枝分かれした斬撃のいくつかがマツィヤを切り裂いたがマツィヤはそれを無視して詠唱を終える 出来た傷口からアジが口に飛び込み数十匹ほどの苦虫を嚙み潰したような表情をしながらマツィヤはそれを飲み込んだ...傷がある程度塞がり手に集った霊圧が更に増す
真っすぐに伸びた鬼道がダルヴァの半身を貫く 肉が焼け既に無くしている腕よりも更に内側を焼き消されていく
「やるのう...!いやはや想定よりも火力があって...」
なにやらブツブツと言いながらダルヴァは倒れた バズビーが防御を解き攻勢に出ようとしたところで更にマツィヤは仕掛ける
「"殺人の手"(キロネックス) "アポリジニの海の怪物"(イルカンジクラゲ)」
バズビーの既に服や肌に付いていた駄津の血からモリモリと透明な生物が溢れ出した
「下手をこくなよ ダルヴァよりもよっぽどひどい目にあって死ぬぜ?
俺としては全然良いけどなあ!」
「クソッ...イルカンジってなんだよ イナイ感じもあるのかよ?」
悪態を吐きつつバズビーはクラゲを振り落とそうとする だがそもそも発生源が服や肌であるため対処が難しく手間取っている
「いや アポリジニの部族の名前だからイルカンジは固有名詞だ イナイカンジクラゲはいない感じだ」
マツィヤは冷静に軽い説明を吐き捨てた