Corrupt Engineer

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ヒビキ&ウタハ敗北砂糖堕ち

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私達エンジニア部は、アビドスに対する憎しみで非人道的な殺戮兵器を開発していった。

セミナーの書記であるノア先輩が秘密裏に新たな生徒会長となり、ミレニアムの全てを支配したノア会長は、兵器開発の隠蔽と製作用の資金提供をしてくれた。


…ユウカを、ゲーム開発部を、ハレを、大勢のミレニアム生を蝕み壊した砂漠の狂人共を皆殺しにするため、ウタハ先輩と共にアビドスを葬るための兵器を考案し次々と完成させていく。

コトリだけは反対したが、彼女は強制的に拘束して開発作業へ従事させた。

ヴェリタスのチヒロ先輩、コタマ先輩、マキを含む穏健派生徒達も、下手な真似をしないようコトリと同じく拘禁して、反アビドス連合へ内情を暴露されたりしないよう手を打った。



こんな悪行は決して許されないだろうという思いを抱えつつも、憎しみに溺れた私達はアビドスを滅ぼす準備を続ける。



そして遂に

数多の兵器を携え砂漠へ向かった私達はアビドス奇襲作戦を開始した。






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しかし、私達の作戦は即座に叩き潰されてしまった…


アビドスが持つ組織力の強さと、個々人が持つ戦闘能力の高さは、私達の予想を上回っていたのだ。



元は風紀委員会や正義実現委員会だったであろう生徒達の軍勢に次々と破壊されていく兵器。

電子戦においても、ヒマリ先輩を超えるかもしれない謎のハッカーによって完敗を喫した。

切り札用に準備したアヴァンギャルド君ベースの大型兵器「ラジカル」は、突如現れた空崎ヒナによって、ものの数分で大破させられてしまう。


こっちから攻め込んだはずが、逆に怒涛の勢いで攻め込まれしまい…

私達ミレニアム過激派は全員捕縛されてしまった…




なんで…なんで負けたんだろう

見誤ったなんて信じたくない

私達は正義のはずなのに

こんなの認められない


そんな悔しさと怒りを滲ませつつ、私はアビドス自治区の一角にある地下室へと連行される。

そこにいたのは…ラジカルを数分で破壊した怪物、空崎ヒナだった──




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ヒナ「ミレニアムサイエンススクールのエンジニア部、猫塚ヒビキね。ようこそアビドスへ…とは言っても貴女達は戦争を仕掛けた敵対者だからまだ歓待しないけれど」

ヒビキ「…こっちだって願い下げ。処刑したいならさっさとやって」

「そう邪険にしないで。正直に言うと、私は感心してるの」

「感心…?」

「ええ。貴女達は連合に与さず、自分達の自治区内でアビドスを攻め込むために努力してきたんでしょう?学園内に言論封鎖を敷いたり、作戦の邪魔になりそうな生徒を監禁したりして…先生達にバレないようここまでやれたなんて、賞賛に値する偉業よ」


わざとらしく拍手を送るヒナ

そんな挑発にイラついてくる


「…どうせ、そんな事思ってないくせにほざかないで。イライラで頭が壊れそうになる」

「はぁ…まあ今言った言葉は半分くらいだから。もう半分は…呆れたというべきかなと思う」


ヒナはそう呟き、椅子に縛り付けられた私のもとへ近づく


「生徒達を縛りに縛って、このアビドスという楽園を破壊しようとするなんて…愚かとしか言いようがない。兵器製作は天才的だけれど、物事の判断に関してはバカなの?」

「楽園?人を狂わせて、依存で苦しめておいて、よくもまあそんな事言えるね。こっちからしたら貴女達の方がよっぽどバカだと思うよ。そんなものに頼ってるから貧相な身体のままなんでしょ?運動苦手な私の方が貴女より成長して…」


(バシィッ!)

突如左頬に激痛が走る

衝撃で眩暈を起こすが、なんとか視界を戻す


ヒナの右手は振り抜かれていた

つまり私は今、頬を引っ叩かれたのだ

痛みで涙が溢れそうになるも、弱い所を見せたくないので睨みつける


「言葉に気をつけなさい。頑固に砂糖の素晴らしさを知ろうともせず、アビドスという楽園を攻撃して壊そうとした狂人めが。殺戮を計画した方が狂っていると思うのだけれど?」

「っ…身体の貧相さ指摘されて、ムキになっちゃった?貴女達…いや、あんた達は、自分達を善だと思っているどす黒い悪なんだよ…!どうせ砂糖でどろどろに甘く溶けた頭じゃ言っても理解できないだろうから、自分達が間違ってたと死を以て教えてあげようとしただけ!むしろ感謝すべきじゃないかな!?」


ヒナの目から、威圧を込めた怒りの視線が向けられる

でも私は、今まで溜め込んできた憎しみをぶつけたくて仕方がなかった


「あんた達はキヴォトスにおけるバグ…存在しちゃいけない…ミレニアムだけでなく他の自治区からしても害でしかないバグなんだ!だから私は、ウタハ先輩や協力してくれたみんなと一緒にバグ取りをしてあげようとしただけ…!あんた達麻薬カルテル集団を止めるには全員殺し尽くすしかない!そうすればきっと先生やユウカ達も褒めてくれる…!みんながまた平和な日常に戻れるんだよっ!あはははははははっ!!!」


前の自分では想像出来ないほどの激情を曝け出し、目の前に佇む怪物に向かって嘲笑の笑い声を浴びせる

こいつらを殺せばキヴォトスは救われるはず

先生もユウカもアリスも…

大事な人達はみんな喜ぶはず


だから殺せないのが残念だ

すると、ヒナは私を見下ろしたまま口を開いた


「………重症ね。もうこれ以上話すのは無駄。さっさと処罰する。」


そう冷ややかに告げると、近くにある机から一本の注射器を取り出した



「…何?薬殺刑?随分と甘い処刑方法でやるんだ?私が苦しみ悶える姿を見たくないの?」

「勘違いしないで。これは薬じゃなくて濃度20%の純粋な砂糖よ。」

「────えっ」


砂糖…!?


「そうね、苦しみ悶えるのとは少し違うかもしれないけれど、絶望した姿は見ておきたいから…モニターを見なさい」


するとヒナは、部下達に大型のモニターを地下室へ運び込ませて電源を入れた

そこに映されていたのは…



ウタハ『いやだっ!やめろぉ゛っ!』

ハナコ『もう、ウタハさんったらそんなに抵抗して…♡自らの過ちを認めれば、早く楽になれるのですよ?♡』

『っく…!断る…っ!』

『悪い子ですねぇ♡では次、左の太腿へ一本♡』

『い゛ッ…!?ふあぁぁぁ…っ!』


砂漠の魔女として悪名高い浦和ハナコがウタハ先輩の身体に注射器を刺していた

床には空の数本の注射器が転がっている

注入されたウタハ先輩の顔が蕩けていく



「そ、んな、ウタハ先輩…!」

「アビドスは敵対者であっても歓迎する楽園よ。それ相応の罰こそ受けてもらうけれど、砂糖の素晴らしさを理解させるためにこうして矯正させる事もある。」


そう言って、ヒナは注射器を私の左腕にあてがう


「ひっ!?」

「ハナコは…そうした“悪い子”を再教育させる部門、“補習授業室”の室長なの。私は彼女ほど上手くはやれないけれど、それでも同じような処罰…再教育を施すくらいは出来る。ホシノからも頼まれたから、今から貴女の身体を砂糖に慣らしていくわね。」

「い、いや…砂糖なんか…麻薬なんか…味わいたくない…!いやだ…!」


必死に拘束を解こうと暴れるが、椅子にがっちり縛り付けた腕の縄を解く事など私の腕力では叶わない


「…無駄な抵抗をするな」


(ドンッ!)

ヒナは注射器を持っていない左腕を私の胸元に叩きつけた


「あ゛ぐっ!?」

その強い衝撃で身体が麻痺してしまう


「これからじっくりと再教育して、砂糖無しじゃ生きられなくしてあげるわ

──これで貴女も、アビドスの仲間よ」




チクリとした痛みを感じたと同時に──

「あ゛ぁ゛っ…!やめ、やめてえええええええぇぇぇぇっ!!!」

叫んだものの、私の意識は甘く蕩かされてしまう

濃度20%で…これ…!?


ダメだ

頭がおかしくなる


「あ゛ぅっ…ひく、ぅ゛ぅぅぅ…!」

全身に力を込めて砂糖の浸食に抗おうとする


「次、右腕。」

「くぅ、あ゛ぁぁっ!も゛、もうやめ…ふあぁぁぁっ…!?」


さっきは脳の左側が甘くなっていく感覚だったが、今度は右側が甘くなっていく

このままじゃ…戻れなくなる…

いやだ

こわい

やくちゅうのなかまになりたくない



「いやぁ゛ぁぁぁっ!だれか!だれかったすけてぇ゛っ!!!ウタハせんぱい!コトリっ!せんせい゛っ!みんなぁっ!さとうなんか、いやぁ゛っ!!!」

「煩いわね…そんな叫んだところで誰も来るはずないのに、無駄でしかない…」



右太腿

「んぎぃ゛ぃぃっ!もうやめでぇ゛っ!あだま゛おがじぐなる゛がらぁ゛っ!」


左太腿

「わだひが、わ゛るがったでひゅぅっ!ごめんなひゃい゛!ごめんなひゃい゛!もぉ゛ちゅ゛ぅしゃやだぁぁぁぁぁ!」



「仕上げは食べさせる…っと。ヒビキ、口を開けなさい。」

「あ゛ぁ゛…っや、やらぁ゛…!くぅ、んん゛っ!」

「はぁ…あくまで抵抗するのね。面倒…歯折ってやろうかしら」


ふりあげたこぶしがみえる

こわい

いたいのやだ

さとうはもっといや


いや、なのに…

ヒナのてにあるさとうが

キラキラひかってるようにみえて

きれいにみえて

ほしくなって………


「ん゛…あ゛ぁ…」

あけちゃった



「良かったわ。私も歯を折るなんて真似したくなったもの。さぁ、これで貴女も私達アビドスの仲間よ。」





ほうりこまれたさとうのかたまり

あぁ…したがとけそうなあまさ

おいしいな

いやだったのに

おいしくてしかたない


ウタハせんぱいもおいしそうにしてる

コトリやせんせいもあじわってほしいな


さとうって

すてきだなぁ





「あひゃはははははははははははははははははははははははははははっ!」




「ようこそ楽園(アビドス)へ…今度こそ歓待するわ。ヒビキ、ウタハ。」






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その日以降
アビドスは様々な兵器を運用するようになって、より一層強大さを増した


ミレニアムに残されたコトリは、数日後穏健派ミレニアム生によって救出されたものの…ヒビキとウタハがアビドス側に寝返った事を知ると、絶望のあまり言葉を発せなくなり廃人同然の状態となってしまった


ミレニアムの臨時生徒会長となり過激派を主導していたノアは、作戦失敗により非人道的な計画を元穏健派から内部告発された結果弾劾され、ミレニアム追放という処遇を受けた

その後反アビドス連合へと向かい、自らの計画を包み隠さず供述したことで収監されることになる


治療中のユウカとゲーム開発部3人、連合に派遣されてたC&C、勇者として活動中のアリスと、皆を案じていた先生

彼女らは過激派の末路とエンジニア部を守りきれなかったことに強いショックを受けてしまい、それにより連合側の士気は著しく下がってしまった

これが後の反アビドス連合大敗の大きな要因となるのは、また別の話…



【こうして、アビドス勝利ルートはまた一つ開拓される…】

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