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神永side in


「同盟…何でだ?あのランサー相手に俺たちは殺されかけてたろ」

横にいるライダーが不満気な表情で此方を睨みつけている、いやライダーが弱いとかそういう話では無いんだ。


「あれば貴方のライダーがあのランサー相手に相性が悪かったからよ、それに相手は宝具を一部使っていた」

呆れたようにため息を吐く。


「それに聖杯戦争は何が起こるかわからない、不測の事態に備えて同盟ってのも悪くないわ。貴方たちは聖杯戦争に詳しい私の知識とバーサーカーの力を、私たちは後詰のライダーとおまけ程度のペーペー魔術師が使える、互いに損は無いでしょ?」


「…ペーペーで悪かったな、でもそもそも俺が聖杯戦争に参加しないって可能性もあるだろ?」

そう、無意味な仮定を口にした。俺自身は一切降りる気もない

「無理ね、いくら半人前の魔術師とはいえ願いを叶えられる方法が目の前にあるのなら逃げられないわ」

その眼は冷たく、それでいてこちらの考えを見透かす鋭いものであった。


「…そうだな、じゃあその同盟受けるよ」

その一言を口にした瞬間美作はにんまりと笑みを浮かべた、…ほんと嫌な予感しかしない、こいつがこんな顔する時は大抵ろくでもないことが起きるのだ。


「ふふ、わかったわ。じゃあ私は一旦家に帰るから」

そう言って立ち上がり膝を払ってから

「明日、朝9時にここに来るわそれまでに外に出られるよう支度しておきなさい」

帰るわよ、バーサーカーと声をかけ玄関へと向かった

「それじゃよろしくね、神永クン」


「それで、主殿」

二人を見送ったあと、居間にてライダーに正座させられている。

「はい、何でしょうかライダー」

なんか怒ってる、絶対怒ってる。後ろの方になんか修羅みたいなのが見えてる…

「あくまであの時私がランサーに負けたのはすぐ後ろに主殿がいた事と宝具の開帳をしなかったからであって別に負けたわけではありません。いいですか、あくまであれば様子見だったのです、もう一度戦えばあの髭面の首を主殿に献上することだって──────」

そう、すごい勢いでまくし立てられた…

「…とりあえず首は要らないな」

小さい声でそれしか言えなかった…


「…気を取り直しまして、主殿これより私は貴方の刃となり敵を討ち滅ぼしましょう」

「…そうだな、よろしく頼むよライダー。」

…そういえばサーヴァントは過去の英雄を呼び出した存在なんだよな

「そういえばライダー、お前の真名って何なんだ?」

「…教えられません」

「は?まさか記憶喪失とかそういう感じで?」

「いえ、単純に主殿は魔術師としては半人前、そして相手になるのは海千山千を越えた魔術師です、主殿から記憶を抜き取るなど簡単にできるものもいるでしょう」

それを突かれると痛い…確かに俺自身は魔術師としてみたら半人前もいいとこだ

「それは確かにそうだな、ならライダー真名はお前が明かしてもいいってタイミングで教えてくれ」

「はい!それとあと一つだけお願いがありまして…」

ん?なんかしおらしくなってないか?

「えーっとですね、私と主殿との霊的な繋がりが若干弱くなっているので繋ぎ直していただきたいな…と」

…サーヴァントとのパスか、どうやって繋げばいいんだ?

「…ちょっと待ってくれ、少し聞いてくる」

そう言って携帯を片手に隣の部屋に行った


『は?サーヴァントとのパスの繋ぎ治し方?』

美作の自宅の電話に携帯電話で電話をかけた、あいつ本人の携帯電話の番号なんて知らないから昔の連絡網を引っ張り出して来る羽目になった。

「そう、分かるか?」

『使い魔とパスを繋ぐのと同じよ、それすらできないんだったら性行為って方法もあるんだけど…』

変な方法が聞こえた気がしたが聞こえないことにした。

「なんだ、使い魔とパスを繋ぐ方法と変わらないのかなら大丈夫だ」

『そう、全く同盟組んで最初の相談がこれって大丈夫かしら』

ブツブツと文句を言われつつ通話を切った。


「とりあえずやり方は理解したからその鎧外せるか?」

我ながら女の子に言うようなことでは無いなと思いつつも礼装の筆と墨を用意する

「わかりました、その…中の肌着は…」

「脱がなくていい、単に鎧は邪魔になるだけだから」

「わかりました!」

その一言と共に鎧が虚空へと消える、おそらくエーテルで編まれていたのだろう

「それじゃあ後ろを向いててくれ」

はいと元気よく答えたライダーは背中をこちらに向ける。作業の為なのもそうだがインナー姿になったライダーは思春期の俺には刺激が強すぎる…

「…解錠(セット)」

回路を開き、左手に墨で術式を刻む。触れたものとの霊的な距離を近づけるだけの簡単な術式だ、音に聞く時計塔の魔術師なんかはこんな小細工をしなくとも簡単にパスを繋げられるのだろう

「我が身は墨、汝は紙…」

詠唱は短いものだがそもそも自分の集中度を高めるためのもの故問題は無い、目を閉じパスを知覚する

…自分のイメージが紙の上に走る墨の1本線だからなのか違和感しかない、本来なら筆で引いたような太い線のはずなのに細いボールペンを引いたようなパスしか繋がっていない、これは確かに何とかしないといけないだろう

自身の魔力をパスの上に重ねるように何度も延ばしていく、徐々にパスが太くなっていき最終的にいつも自分の使い魔と同じくらいの太いパスを繋げることができた

ゆっくりと目を開けライダーに声をかける

「…無事に終わったぞ」

「……そ、そうですか。確かに主殿がより近くに感じられますね!」

どこか頬を赤くしたライダーが此方を向いてくる…

施術中に聞こえた声はライダーのものか…

「とりあえずこれでいいとは思うがまだ馴染み切ってない、可能ならなるべく近くで過ごしてもらいたいんだが…」

「でしたら主殿の布団におじゃまさせていただきますね!」

何を言っているんだこの美少女は

「あのなぁライダー、流石に同衾するのは」

「ですがなるべく近くの方がいいのですよね?」

首をかしげられた、なんだろう美少女なんだけど頭の中大型犬とかそんな感じなんじゃないかコイツ

「…俺の布団はそこまででかくない、せめて隣に布団を引くからそっちで寝てくれ」

「はい!」

なんかもうどっと疲れた…


神永 side out

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