Chauve souris

Chauve souris

セクピスパロ(カルデア編)

このSSは『SEXPISTOLS』というBL漫画の設定・世界観を取り入れたパロディ小説です。

そのため、恋愛描写はありませんがBL・腐要素があります。





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「マスターは先祖返りなんだっけ?」

「そうだよ。犬なんだって。驚いたりすると時々尻尾が出ちゃうんだよね」

「マスターはまだ訓練したてだから、そのうち慣れてくるよ」


 マスターはカルデアで初めて斑類という存在を知ったらしい。それまでは猿人としてごく普通の学生生活を送っていたらしいが、カルデアに来て、そして人理焼却で人類最後のマスターとなったときに先祖返りとして目覚めたのだそうだ。


「うん。それにしても、ここってすごく斑類の人多いよね。もう慣れたけど」

「まあ、そりゃ英霊だし。現代ならともかく、英霊が多くいた時代では個々の強さが大事な訳だから、そういう意味でも牙や優れた五感、翼とか持ってる方が有利になったりとするからじゃないかな。それに、太古なんか斑類珍しくなかったって言うし」


 カルデアには斑類がとても多い。サーヴァントだけでなく、スタッフの大半も斑類だ。

なんでも魔術師の多くが斑類で、その中でも優秀な魔術師はやはり斑類が占めているのだとか。

もちろん猿人でも歴史に名を残すほどに凄い人は沢山いるし、サーヴァントの中にもスタッフの中にも猿人はいる。それでも、富裕層や権力者はどうしても割合が高くなってしまうのだ。これは斑類の特殊な社会構造が関係しているのかもしれない。


「そういえば、俺の周りってみんな翼主だろ?十二勇士はほとんど翼主だったし、それだけじゃなくて、城にいる人の多くがそうだったんだ」

「へえ〜そうだったんだ。すごいね」

「でも俺だけは翼主じゃなかったんだ〜。あのお父様の息子だったのにね!」

「そ、そっか…でも猫も素敵だと思うよ」

「ありがと。それでね、俺は時々魂現出しちゃう時があって、よくみっともないって言われたりしてね」

「へ、へえ…」

「だからね、俺は城には相応しくないんだってよく言われたな」

「そんなこと、」


「たぶん、俺はほんとは王子なんかじゃないんだ。どっかの道端で拾われてきたんだよ!」


あはは、と笑いながら俺はそう言った。


「……それは、言っちゃダメだよ、シャルロ」

「え……?」

 立香の声は固く、しかしその目は俺の心を射るように鋭い。その時俺は、部屋の空気が冷え切っていることにようやく気がついた。


 笑みを引っ込めた俺に、立香は俺を優しくたしなめた。


「それはシャルロのお父さんとお母さんを馬鹿にしていることになるし、何よりシャルロを傷つける言葉だから、シャルロはそう言われたら笑っちゃダメだし、何よりもシャルロがそんなこと言っちゃ駄目なんだよ」


「……ごめん、もうしない」


 部屋に戻ると言って、俺はその場を去った。



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 ああまた、失敗した。

『恥晒しめ』

『どうしてあの方からお前のような出来損ないが生まれてきた』

『どうせ血が繋がっていないのだろう?』

 みんなこう言って笑ってたけれど、現代だともうそれは面白い冗談ではないらしい。


───”それはシャルロのお父さんとお母さんを馬鹿にしていることになる”───

「また、泥を塗っちゃった…」


 昔は、どうして俺だけが違うんだろう、どうしてみんな俺のこと悪く言うんだろうって思ってた。でも…。

 ローランの羽ばたきはとても力強く、どんな逆風だって物ともしない。アストルフォの羽は色とりどりで、広げるとまるで花畑の中に居るかのようで楽しい。ブラダマンテの透けるほどに薄い羽根が光に当たって輝く様は思わず息を飲んでしまう。

 そして、人ひとりを簡単に包み込むほどに大きく、時折太陽の光で青くきらめく純白の翼。誰に聞いてもこれ以上の翼は見たことがないと言う程の、神々しいその姿。

 俺は、そんな翼を見て、俺はみんなとは違うんだと思った。城の人達の悪口も嘲りも受け入れた。彼らと同じように空を飛ぶことも諦めて、魂現も隠すことにした。



 暗闇が支配する自室。そこはまるで暗く湿った洞窟のようだった。俺はため息をつきながら、本当の魂現を目の前の鏡に晒す。

 鏡の中の俺の背に翼が伸びていく。しかしそこには彼らのような羽根は一本も生えてはいない。骨と皮だけのような貧相な翼。広げると、辺りがより一層暗くなったような気がする。


 獣とも鳥ともつかぬちぐはぐで不気味なその姿。

 夜にだけ現れる不吉の象徴。


───そこには、誰よりも醜く愚かな翼手がいた。



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