『Ca社』
Part16 - 152-155アンジェラ「……ちょっといいかしらローラン?」
ローラン「どうしたんだアンジェラ?」
アンジェラ「一応聞いておきたいのだけれど、貴方はCa社のCEOには面識があったりしない?」
ローラン「うーん……会ったことは、あるっちゃある。Ca社の巣で良からぬことを企んでる連中を潰してくれって依頼を受けたことがあってな」
アンジェラ「それは……おかしくないかしら。戦力という意味ではあの翼は過剰過ぎるほど抱えてると思うのだけれど」
ローラン「今のCa社じゃなくて旧C社の傘下企業だった頃の話だよ。あの頃はそこまでデカくなかったし、影響力もずっと低かった。具体的にどんな事業をやってたのかは詳しくは知らないけど、戦力は割とカツカツな様子だったな」
アンジェラ「そんな状態から今の規模まで成長したなんてどんな魔法を使ったのかしら」
ローラン「俺の方が聞きたいよ。で、CEOについてだったか?一言で言えば……小心者?」
アンジェラ「は?」
ローラン「別に冗談で言ったわけじゃないぞ。名前は確か……ユースティア。先代CEOからいきなり指名されて社長になった無名の誰かさんだ」
アンジェラ「社員ですらなかった……ってこと?意味がわからないわね」
ローラン「お前の感想の通り当時はそれなりに話題だった。ただ社員は誰も文句言わないし、事業もそのまま変化なく行われていたんだから不気味そのものだったな。噂じゃ傀儡として添えられただけで真の支配者は裏にいる!なーんて与太話があったくらいだ」
アンジェラ「あり得るわね、その与太話」
ローラン「それがそうでもないみたいでさ、社長としては普通に優秀っぽいんだ。見た目もいいし。性格はちょいと残念臭が滲み出てるが……思い切りのよさだけなら都市一かもな?」
アンジェラ「その口振りだと何かやったようね」
ローラン「ああ。社員が親指のトップ……ゴッドファーザーにセクハラされた時そいつの股を蹴り上げたらしい」
アンジェラ「は?????」
ローラン「いや……信じられないかもしれないけどマジなんだアンジェラ。社員に手を出された瞬間翼に匹敵する影響力を持つ存在相手に喧嘩を売りやがったんだあの女。……普段はビクビクしているのに変なところで思い切りがよくなるみたいなんだよな、あの人……」
ローラン「ともかくその事件以降色々ゴタゴタして、何かしらの裏取引の後親指はCa社と一切の関わりを断った。勿論ユースティアCEO様は五体満足でピンピンしてる」
アンジェラ「……親指の連中は面子や怨恨は忘れないタイプだと思っていたのだけれど、違ったようね」
ローラン「その分析は間違ってない。ただ親指の連中が『関わるだけ損』って判断して手を引いただけだ。実際、当時親指の手を焼いていた敵対組織の8割が突然壊滅的打撃を受けたらしいし」
アンジェラ「それが彼らの仕業ってこと?」
ローラン「証拠はないが、状況的にそれが自然だろうな」
アンジェラ「つまり『やるときはやる』人種、という事ね。理解したわ。……ところで、先代CEOについては?」
ローラン「知らない。本当だぞ。そいつについては一切の情報が抹消されてる」
ローラン「Ca社の設立者は現CEOとは別人なことは周知の事実だ。だが元々表に出てこないことも相まって、現CEOを指名したあと煙のように姿を眩ました。彼……もしくは彼女が何処からやってきて何のためにCa社を立てたのかは誰にも……いや、知ってそうな奴は一人いたな」
アンジェラ「……緋色の研究、ね」
ローラン「ああ。Ca社最古参の特色……創立メンバーの一人なのは間違いない。アイツなら行方を眩ました創設者やCa社の全貌は把握してると思う」
アンジェラ「ふむ……なら彼女に一度招待状を出してみるべきかしら」
ローラン「……警告しておくけどあの女にちょっかい出すのはお勧めしないぞ。対面した瞬間スリーサイズから恋人にも言ってない秘密まですぐさま丸裸になるからな」
アンジェラ「けど、豊富な知識があるのならば本にした時のリターンは大きいわ。やってみる価値はあると思う」
ローラン「はいはい、お好きにどうぞ。……忠告はしたからな?アンジェラ」