CRASH WAVES
稲生・紅衣・メメ・虎屋のスレ主「思っていた以上に怪我人が多い...」
稲生五席や虎屋家の少女らと共に敵から逃れた私だったが死神が陣を構えている場所には厳しい現実が待っていた
「吾は堅獄鴉を用いて回道を請け負わねばならん そこの二人を連れて浮竹たちの居る所まで向かうのじゃ」
稲生五席は多数の怪我人がいる方へと歩を進め清音殿と共に仕事を始めた
「ひとまずは隊長達のいるところへ向かう お前達も来てくれるか」
私がそう問うと少年少女らは頷いた 隊長たちは霊圧からして開けた場所に三人ともいるらしい
「朽木ルキア ただいま戻りました」
「よかった...五体満足で帰ってこれたようで 稲生君には感謝しておかなくては」
浮竹隊長は目立った怪我は無く落ち着いた様子だ
周りをぐるりと見渡せば少なくない傷を負った隊士たち、外傷はないが明らかに弱っている虎屋家や比較的壮健な分家の滅却師といった具合で目に入る
「浮竹隊長 彼らとも相談しておおよその指針は立てた...それに彼らも動き出したようだしそろそろ備えよう」
藍染隊長は大きい物はそう無いが多数の傷を負っている...周りの声によると隊長格相当は有ろう敵から隊士や虎屋家らを守るために殿を勤めていたらしい
「藍染隊長 その...お怪我の方は...」
「僕は大丈夫さ...怪我人を隔離している方向から来ていたけどあっちは大丈夫だったかな?」
「聞いた限りだと死傷したものは居ないと...」
「そうか!...よし ここから切り替えて彼らの好きにさせないようにしないとね」
気合を入れるために頬を叩き怪我のせいで「いたた...」と小声で呟く藍染隊長を見て全体の緊張が少しほぐれたように感じた
先ほど言っていた指針を話すためだろう死神,虎屋家,滅却師をみな集め会議を始めた
やることは単純明快で隊長格を前に出し後方から滅却師の狙撃によって彼らを迎え撃つ 隊士や虎屋家は滅却師のサポートに回るといった具合だ
共通の強敵を持ち各々不満や不平は表に出さず持ち場へと移動し始めた...私はそのまま少年少女を守る担当になった 虎屋家の少女の方は前回『第六感』とやらを使ってから顔色が優れないがそれでもやる気は満ちているらしい
そういえば涅隊長が居ないなと考えていると遠くから稲生五席を抱えて現れた
「わ...吾は生まれてから今まで完璧健康優良児じゃぞ...本当じゃぞ...」
「血を吐いて倒れている暇があったら肉壁を出すなり労働をしてもらうヨ」
血を吐き虚ろな様子の稲生五席に怪しげな注射を刺しているのが見えたが...まぁ大丈夫だろう
敵は五人...内訳はサングラスが一名 青年が二名 少女が二名
「左からキルゲ ヨルダ バルバロッサ リリー カワキ...らしいよ 家の爺ちゃんの第六感情報だけど」
調査も無しに情報を得られるのは便利だが裏付けはない...名前くらいなら最悪違っても良いが
事前に会議に伝えられたのは名前だけではない
『藍染隊長の始解を使った場合 我々は全滅させられる可能性が非常に高い』
という虎屋家の第六感から最優先で伝えられた情報だ...可能性としては同士討ちの際に全体を巻き込み敵味方問わず全滅するのでは?という風に考えられ藍染隊長の始解は最終手段とすることになっている
そうして我々は交戦を開始した
滅却師サイド
「陛下の予想通りですねえ...」
死神,虎屋家,滅却師は共通の敵である我々を呉越同舟を体現するように徒党を組んでこの場に居座った
完現術師...いえ我流滅却師と言った方が良いでしょうか?彼らの作戦にとって邪魔な三名をこの場に釘付けにすることには成功したと言っていいでしょう
・霊王宮へと至る道を探す藍染惣右介
・霊王に関連する知識を持つ浮竹十四郎
・様々な状況に対応できる涅マユリ
我流滅却師達がどういう目的で動いているのかを察知できる死神はここで留めねばなりません
「...鏡花水月を使う動きがあれば僕の目を使って構わないと陛下からの御達しを受けている その時は"確実"に止めるよ」
ヨルダ様なら遠距離でも確実に止めることが出来ますし完現術で接近も容易...使ってくるとは限りませんがね
「罠は...地雷の類が既に付近にあるね 危険な物があれば随時伝えるよ」
バルバロッサ様は罠に一家言ある方ですし頼もしい言葉ですよ
「彼らは狙撃を得意としているようですが...いっそ狙撃される前に撃って無力化を狙った方が良いかもしれませんね」
リリー様はお優しく先ほどの戦いでも武器の破損に留めていました...壁絶した能力をもつが故に出来る不殺だと言えるでしょう
「一つだけ忠告しておくよ...動血装は一切使わずに静血装のみに注力しておいた方がいい この程度の傷では済まなくなる」
殿下は喉元の怪我を指さしながら澄ました顔で語る...敵の攻撃はなかなか厄介そうですねえ
既に敵である隊長格は見えているどう来るのか
──遠くの茂みから三つ青い光が見え...ッ!
咄嗟に神聖弓を構え放つ...一つ弾いた 二つ目を弾いた 三つめが先ほど弾いた弾と偶然にもぶつかり合い...私の耳へと殺到した
どうにか静血装を鼓膜へと間に合わせたが衝撃までは殺せず三半規管を大きく揺らされる
歪む景色を見れば他の四人にも目などの急所狙いで攻撃が飛んでいたがどうにか凌いだらしい
「不甲斐ない自身の未熟さに眩暈さえ覚えますねえ」
衝撃のせいかあまり聞き取れないが隊長格も動いている
情報(ダーテン)を揺れる頭で紐解けばおおよそ分かった
十二番隊長の卍解『金色疋殺地蔵』の撒く毒を五番隊隊長が破道の五十八 闐嵐(てんらん)を用いて制御している
十三番隊隊長は始解の『双魚理』で我々の攻撃を捌き相殺するつもりらしい
私の他の四人は既に敵への対策や攻勢へと出ようとしているようですし...
「さて どうしましょうかねえ」